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 ワープポッドの詰まれていた物資をイクシオーネに搭載し残ったポッドをどうするか? とホシモリは相棒に相談する。


「これだけで何ができる訳でも無いがどうする?外装は軽くバラして相棒の壊れた装甲を補おうと思うが……」


「私の装甲に比べれば性能は落ちますがワープに耐えるほどの素材ですから応急措置には十分です。ポッド内のコアモジュールですが電力さえ確保できれば使用用途は多岐にわたります」


「じゃあバラして出発だな」


「はい。ですが問題があります。コアモジュールは大きく精密機械なので迂闊に大気や衝撃に触れることは避けた方が良いのでコックピット内に保存という形になりますので相棒が私に搭乗するのが不可能になります」


「かと言って連合軍に連絡するにはコアモジュールがいるようになるしな。ここに帝国のプラネットがいるとは思えないし大丈夫だろ。まぁ余程の時はコアを捨てて俺を乗せてくれ」


「了解しました。ワープポッドの外装でですが私のデータにあった合金と一致しました。先ほど手に入れたヒートナイフの形式ならば最大出力を出せば切断が可能です」


「了解っと。宇宙航行技師の資格を取ってるからワープポッドの何処に何があるとか分かるな。勉強って大事だな」


「知識があって楽しめる事も多いですからね」


 ホシモリが切断しやすい様にイクシオーネがワープポッドを支えヒートナイフの出力を最大に設定し外装に刃を当てると切れ味の悪い包丁で肉を切る様にゆっくりと切れていく。


 刃の本体から人体に熱が伝わる事は無かったが外装が切断された部分は赤くなり触れば簡単に火傷するほどの熱を発生させた。



「今の状態で切断を続けると熱せられた外装が高温になり周りの温度が上がるので、適度な休憩と水分補給をお願いします」


「了解」


 言われた通りに時折、休憩を挟みホシモリは慣れた手つきでワープポッドを解体し、外された外装をイクシオーネが丁寧に並べいった。


 そんな作業を三時間も続けているとようやく終わりも見えて来た様で先ほど話していたワープポッドのコアが露出する。


 球体でできたコアは様々なケーブルで繋がれており感電しないようにイクシオーネがエネルギーの流れを見ながらホシモリに指示をだす。


 そしてワープポッドからようやくコアが取り外され、イクシオーネがハッチを開きホシモリがいつも座る座席に乗せて動かない様にシートベルトで固定する。


「ケーブルとかはどうする?持って行くか?」


「必要な物ですが全てを持って行くとなると重量過多になるので置いていきましょう」


「あいよ。よっぽどいる時は取りに来ればいしな。この位置を登録しておいてくれ」


「了解しました」


 言われた通りにイクシオーネは位置を登録し、ホシモリは並べられ外装に寸法等を書き込んでいく。


 イクシオーネ正確なサイズや形を教えてもらいそれに合わせて先ほどと同じ様にヒートナイフで外装を切断して行く。


 指示通りにカットした外装はプラモデルをはめ込む様にイクシオーネのボディーにぴったりと合ったのでそれに気を良くしたホシモリは残りのパーツを切断して行く。


 全てのパーツが完成しイクシオーネに取り付けが終わる頃には陽が少し傾いていた。


「良し完成っと。動きを阻害するとかないよな?」


「はい。問題ありません」


「じゃあ日も傾いて来たし降りるか……と言うか今更なんだがあの恒星って太陽じゃないよな?こんな惑星が太陽が見える位置にあるとか聞いた事はないが……」


「近くで識別した訳では無いので正確な事は省きますが、私達がしっている太陽にとてもよく似た恒星です」


「なるほどね……まぁ他の銀河でも似たような星もあったしそこまで気にする事もないか。太陽っぽい星があって大気があって水があって植物があるとなると生命体が存在しても不思議じゃないな」


「はい。これだけの好条件がそろっているなら存在しない確率の方が低いです」そう言った瞬間にイクシオーネの大気探知装置が反応する。


「相棒。少し気をつけてください。全長15メートルを超える生物が時速約50キロほどでこちらに向かっています」


「了解。意思疎通ができればいいんだけどな」


 ホシモリとイクシオーネが自分達の方向にくる生命体に戦闘の意思はない事を伝える為に両手を挙げてまっているとその生命体が目視できる距離に現れた。


 その姿は地球という星に存在するトカゲという生き物にとてもよく似ており、岩山を楽に移動できる様に前足と後ろ足の筋肉がとても発達しており岩等にひっかっかる様に爪も大きく発達していた。そして口元には肉食獣を思わせる立派な牙が生えていた。


「他の星にも似た様のがいたがあれもトカゲって名前がついてたからコイツもトカゲでいいな……話しかけてみるか」


「はい。おねがいします」


「ないすつみーちゅー?」


 ホシモリの呼びかけに目の前の巨大なトカゲは唾液を垂らし一人とと一機の様子をうかがっている。


「まぁ……別の星で言葉が通じる訳ないよな」


「正確な発音はNice to meet you.です。相棒の発音に問題があるのでは?」


「ねーよ!。悪いが適当な星の言葉で話かけて見てくれるか?」


「判りました。やってみます」


 ホシモリに言われた様にイクシオーネは連合国公用語や帝国語、様々な星の言葉で話しかけるが目の前の生物には伝わらない様だった。


「あれか……言葉とかが分かるほど生物が進化してない感じか?」


「はい。そのようです。この個体だけという事は無いはずですので調べればコミュニケーションを取れる可能性もありますが……放っておいていいでしょう」


「じゃあ適当に追い払って行くか」


「了解しました」とイクシオーネが頷いた瞬間に目の前の大きなトカゲがホシモリに向かって飛びかかったのでイクシオーネはすぐに両者の間に入り自身の左腕でオオトカゲの噛みつきをカードする。


「大丈夫ですか?相棒」


「おう。ありがとう。噛まれてるけど大丈夫か?」


「はい。この生体の咬合力は1、24トンです。これぐらいでは私の装甲に穴を開ける事は不可能です」


 イクシオーネは鉄より遙かに固い材質でできた拳を握りこみ、右拳をオオトカゲの顔面に叩きつける。


 オオトカゲの顔の形が大きく歪み数本の立派な牙が折れた後に数メートルほど吹き飛ばし地面を転げ回った。


 まさか自身が反撃をくらうと思っていなかったオオトカゲは滑落するような速度で崖を駆け抜け脱げていった。


「あれぐらいだと俺でも倒せるかな?」


「はい。問題は無いですが解析されていない毒などがあった場合に供え私が戦った方がいいかもしれません」


「触っただけでアウトな毒ってあるもんな」


「惑星探査用のプラネットなら物質等を調べるの容易ですが、私のタイプは戦闘型の拠点防衛型なので時間を要します」


「何を今更言ってるんだが、こんな訳も分からない星にいるんだから何より火力が無いと生き残れないだろう。さてと降るか」


「了解しました。落石等には十分に注意してください」


「しっかしこの高い山から見てるのに建物が見えないって事は文明を作る生き物はいないのかね?」


 山を降りながら自身の義眼を操作し人間には見えない距離まで見ているがその瞳には森や高低のある丘が広がっているだけで人工物は一つも見えなかった。


 イクシオーネの同じ様にメインカメラを動かし辺りを探るが人工物はまったく写らず、代わりにかなり遠くに巨大な鳥が群れで飛んでいるのをホシモリに伝えた。


「さっきのオオトカゲにしろあおのデカい鳥にしろあんなのがいるならそこまで文明は発達しなさそうだな。オオトカゲとかも一般人では絶対に倒せないだろうし」


「その可能性は大いにあります。争いが多い惑星は知性をもつ生命体の進化の速度が遅いというデータが出ています」


「仮に人がいたとしてもさっきのにしたらいい餌だしな」


 危ない崖などは迂回し足元に生えていた植物などをイクシオーネのデータと照合し照らし合わせたりもするが似ているだけで全ての植物が未発見の物だった。


 耳が体より大きな兎の様な生きが群れでこちらを警戒し、そんな生き物に手を振ったりして一人と一体が進んでいくが思った以上にホシモリ達が降り立った場所は険しく、丁度あった岩がせり出した場所で雨風を凌げる場所があったのでそこで休息を取ることになった。


 ホシモリが近くで枯れ木を集めイクシオーネがせり出した岩が崩れないかを確かめ危険な場所があれば岩を運び補強する。


 集めてきた枯れ木を纏めてヒートナイフで火をつけ、自身の体温を逃がさない様に暖を作る。


 イクシオーネも火の近くに座りホシモリはイクシオーネに収納にした携帯食料を取り出し火の近くに座った。その頃には夜の帳がおり空には星々が顔を出していた。


 その星々を見ながら静かに携帯食料を食べるホシモリの横でイクシオーネは星を観察していた。


 ホシモリが食べ終わったのを確認してからイクシオーネが話しかける。


「全ての天体データを解析しましたが一致する星が存在しません。この惑星は間違い無く未発見の星になります」


「それっぽい気はしてた。月にも見えるがあれも似てるだけで自分で発光してる星っぽいしな」


「はい。あれも未発見の星です。訂正します。この空に映る全ての星がデータベースに存在しません」


「なるほどな」


「冷静ですね。相棒」


 イクシオーネの言葉に少し考えてから星を見上げ寝っ転がりながらホシモリは連合軍に帰還できる可能性を尋ねる。


 ホシモリの気のせいだったかも知れないがイクシオーネは少し言いづらそうに1%にみたないいい、人のような知性がある生き物がいた場合は1%まで上昇すると伝えた。


「宇宙文明レベルが1でもあれば飛行機くらい飛んでるしもっと大気が汚染されててもいいもんな」


「0,7もあれば液体燃料を使った航空機の製造が可能です。それが飛んでいないとなると知的生命体がいたとしても私達が帰還できる可能性は低いです」


「一人だったら絶望してるかも知れないが相棒もいるしな。何とかなるだろ。と言うか俺達がレギオンの試験受けた時に比べれば温いからな」


「そうですね相棒。あの時は連合軍に敵対する生命体が生息する惑星にワープさせられその巣破壊でしたね」


「俺達以外は全員死亡だし強酸の海に酸素とか全く無い惑星だしプラネットから降りた時点でアウトだったしな」


「過ぎれば良い思い出と聞きますが全くそんな事は無いない任務でした。できれば私もデータベースから消去したいデータです」


「あの時初めてお前にあったんだよなー。あの時はどうなる事と思ったけどな」


「作戦中。計436回私の事をポンコツ扱いしたのはとても良く覚えています」


「それは消していいデータだぞ」


「駄目です」


 自分達が全く知らない世界に飛ばされ帰る事はほぼ不可能だと一人と一機は分かったが連合軍に帰還する事を最終目標に設定し行動する事を決めた。


 そうしている内にホシモリの体に疲れが思った以上にでたのかイクシオーネが睡眠を取るように促す。


「相棒。そろそろ睡眠を取ってください。いくら強靱な戦士といえど十分な休息が必要です」


「分かった。悪いが見張りは頼むぞ」


「了解しました。体温が落ちない様に火の番もしておきます」


「分かった何か来たら起こしてくれ。それと言い忘れたが俺の最後は相棒が看取ってくれよ」


「了解しました。構造上、私の方が長く活動できますが……新型機が出た場合は乗り換えをオススメします」


「言ってろ。……おやすみ相棒」


「はい。おやすみ相棒」


 ホシモリが眠りについたのを確認してから、眠りを邪魔しない様に火に薪をくべ、辺りに自分達を襲う肉食動物がいないかをセンサーなどでチェックする。


 ホシモリが起きるまで六時間以上はこの場で待機が必要になるので辺りを索敵メインに大気を混ざる気体などを調べ時間を潰した。

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