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第二十四話 森の蛮族


 ワープポッド残骸を全てコンテナ入れると少しは余裕があったがホシモリやイクシーネが少し前に倒した様な大きなトカゲやキリンゾウガメが入る程は余裕はなかった。


「全部入ってよかったな」


「はい。これでワープポッドを組む事も可能ですし拠点を手に入れればそこにコアモジュールを設置しメインコンピューターとして使用できます」


「その変ってどうなんだ?相棒も計算とかできるからいらないと言えばいらないか?」


「いいえ。私の場合は活動や戦闘に容量を使用していますのでそこまで余裕がある訳ではありません。ワープポッドのコアモジュールはワープ時に機体を安定させたりと使用方法は他機に渡ります」


「って事は設置して使うだけならコアモジュールを使ってコンピューター作った方がいいのか」


「はい。上手く行くかはまだ分かりませんが街中に生物型ドローンを制作し情報を収集する事も可能だと思います」


「よし。帰られる確率が増えるな……王立都市か魔導工業都市に家が欲しいな」


「はい。ランバルト大尉を少し真似てレムザスの工房を開くのもありかと思います」


「それをやると戻った時に戦えなさそうだしある程度は戦いの中に身を置かないとな」


「相棒の場合は生まれてから戦場にいる方が長いので違う人生を歩むのもありかと思います」


 イクシオーネの返答にホシモリは少し考えたが今更そういう生き方は無理だなとバッサリと切って伝える。


 そしてイクシオーネが答えようとした瞬間に大きな鳴き声と供に何かが崖の下からかなりの速度で駆け上がって来るのが見えた。


 その生物にホシモリもイクシオーネも見覚えがあり、目覚めて最初に襲いかかってきたあのトカゲの様な生き物だった。ただホシモリ達が知っているものよりはかなり大きな物で体高も一回り二回りほど大きかった。


「倒しても全部持って帰られるんだよな?」


「はい。図鑑には都市近くの生物だけだったのでこの生物が貴重なのかも分かりません」


「……襲いかかってくるし、国が保護してる生物じゃないだろ。追っ払うか?」


「牙や爪ぐらいならコンテナの中に入りますので倒してトルキャット商会へのお土産にしましょう。相棒がコレクションにすると言った石も体内に確認できましたので」


「今日中に帰るのは無理だし肉も取って晩飯にするか……食えるよな?」


「はい。以前に未知の物質が検知されたと言いましたがあれのほとんどが魔力だったので食べられます。魔力は生命力の様な物と聞きましたので食べても問題は無いはずです」


 二人で暢気に話していると大きなトカゲがホシモリ達の所にまでたどり着いた。


 その大きなトカゲはホシモリを餌と認識したようですぐに飛びかかってくるが、すぐそばにいたイクシオーネの鉄拳をまともに喰らい少し距離を取る。


「前回の個体に比べ肉体が強靱になっているようです。たぶんですが成体でしょう」


「今ので歯とか牙が折れて無いもんな……生き物で試し撃ちとかちょっと嫌だがせっかく魔法銃買ったからな。試して見る」


「了解しました。それが終わり次第しだいヒートマチェットなどの武装を試します」


 軽く手を上げてからホシモリは流れる様な動きで購入した魔法銃を構える。そして火の魔法が入った魔莢を銃に詰めてボルトアクションライフルの様にレバーを引く。


 大きなトカゲの眉間に狙いを定めトリガーにかけていた指に力を入れた。


 火薬を使った銃とは違い反動がほとんどないまま銃口から飛び出た弾はすぐに炎を纏い大きなトカゲに向かっていった。


 ホシモリが使っているダストレールガンよりは弾速は遅かったがそれでも一般人には躱すことが不可能な速度で火球は飛んでいく。


 ドン!と言う爆発音と供に着弾し大トカゲに着弾し全身を炎が燃え広がる……ような事はなく、燃えるには燃えたが大トカゲが前足で何度か払うとすぐに火は鎮火し眉間の辺りが黒くなったぐらいだった。


 イクシオーネが何かを言おうとしたがそれよりも先にホシモリは水の魔法が入った弾を込めて撃ち出す。


 圧縮された水が打ち出されまたトカゲの眉間に飛んでいき少し傷を傷をつけた様で額からは赤い物が流れた。


 買った他の属性も次々に撃っていき最後の試しに回復弾という弾を撃ち込むと大トカゲの眉間流れていた赤い物は止まった。


「相棒。先に言いますがせっかく買ったので壊しては駄目です。風の魔法が入った弾の弾速は素晴らしい物があります。回復弾も支援としては役に立つでしょう」


 誰が見ても怒っていると分かるぐらいに額に血管を浮き上がらせ強化骨格を全で使用しすぐにでも魔法銃を破壊しようとするホシモリをイクシオーネはなだめる。


「そうだよな……無反動で撃てるんだし力が無い子供でも撃てるんだからいい銃だよな。うん。持ち手を選ばない銃って凄いよな。相棒が言うように風弾と回復弾は目を見張るものがあるしな」


「はい。相手が悪かったのでしょう。人間相手ならどうなっているかは想像できません」


「だよな。きっと目の前の大トカゲの皮膚が硬いんだそうに間違いない。ダストレールガンで撃っても弾くな。相棒、跳弾に注意な」


「了解しました」


 魔法銃を崖の下に投げ捨てそうになる気持ちをぐっとこらえ、一瞬でダストレールガンを構え大トカゲの眉間に標準を合わせる。


 そして撃とうとした瞬間に歴戦の戦士には希に戦場でほんの数秒先の未来が見えると言われておりホシモリのイライラと何かがかみ合いほんの少しの未来が見え大トカゲの頭が弾け飛ぶ映像が流れた。


 とっさにホシモリは大トカゲの右足を狙い撃つと豆腐でも撃ったかの様に簡単に貫通する。


 大トカゲは痛みで一瞬怯んだのでその隙にホシモリは背負っていた魔法銃を崖に向かって投げる。


 だがそれを読んでいたのか、イクシオーネがすぐにそれをキャッチし勿体ないですよ相棒と注意する。


「冷静になってください相棒。これを改良して実戦で使える様にしましょう。対人戦もまだです」


「そうだな……うん。そうだな」


「かなりイライラしていますね。あの大トカゲを譲りましょうか?」


「流石にストレス発散で命を奪ったら駄目だろ……という訳で深呼吸でもしてるから任せた」


「了解しました。弾に限りがある武器は使用せず充電のきく兵装で戦闘を開始します」


 本当にホシモリが大きく深呼吸を始めたのでイクシオーネは大トカゲに向き合いよく観察すると先ほど撃たれた傷がもうすでに塞がりつつあり生命力の高さを伺わせた。


 そして大トカゲの前足に標準を定めた後に手の平にエネルギーを集めてハンドイオン砲を放つ。


 イクシオーネの最大兵器のイオンレーザーカノンに比べれば遙かに劣る兵装だったが大トカゲ相手には十分だった様で狙った前足を焼き切った。


 肉が焼ける香ばしい匂いが辺りに広がると同時に大トカゲが咆哮を上げながらイクシオーネに襲いかかって来た。


 イクシオーネは背に収納してあるヒートマチェットを抜きエネルギーを刃に伝わせるとホシモリが持っているヒートナイフとは比べ物にならないほどの熱が発生した。


 赤とオレンジに彩られたヒートマチェットを大きく振り上げ凄まじい速度で大トカゲの首筋に落とすと何の抵抗も無く頭と胴体は切り離された。


 切ると同時に焼く武器なので大トカゲからは出血は無かった。ただそれが止血の様な効果を生んでしまったいまだ頭を体は動いていたのでイクシオーネは苦しまない様にハンドイオン砲で止めをすぐに差した。


「生命としては強い部類に入るであろう生物に私達の兵装は通用しますので魔獣に関してはある程度は戦えると思います。ただ生き物と言うのは数値では表せないので危険はいくらでもありますが」


「魔法に関してもそうだしな……今回が楽に倒せたからって次も同じじゃないしな。実際、魔法銃は置いといて、ダストレールガンで打ち抜いた場所すぐに治り始めたしな」


「はい。基本的に首を刎ねるか潰せばかなりの高確率で死亡すると思います」


「心臓は再生する奴とか宇宙にはいたしな……地球産のプラナリア兵とかだと頭とか潰しても再生するから油断はできないが……」


「プラナリア兵は国際宇宙戦争条約で禁止されましたから製造はされていません。ですが潰してイオン兵器で焼けば再生しないのでこの星の生物も確実に倒すならイオン兵器で焼いた方が良いかもしれません」


「戻ったらシルバさんとかベルナちゃんとかに常識とか魔法とか教えてもらわないと駄目だな」


「はい。それが良いと思います。私が精霊達に教えてもらった魔法等は人が使う物とは少し違う様なので」


 魔法や魔獣の危険性や有用性などを話しつつ倒した大トカゲの爪や牙などを解体していく。


 皮や鱗もプラスチックやアルミに比べれば強度あったので焦げたり痛んだりしていない所を剥いで絨毯の様に丸めてイクシオーネの背中のコンテナの上にくくりつける。


 そして肉をばらすついでにイクシオーネが言ったように心臓近くに光る石があったので回収しイクシオーネにしまってもらった。


「スピリットイーターみたいな持ち主に恩恵があるような物ってそんなに無いんだな」


「そうですね。大量に取れるのであればレムザスの性能はもっと高いはずですからなかなか取れないのでしょう」


 今夜はホシモリが前に立てて一度も使用しないままのだった小屋に泊まる予定だったので、夕食と朝食の分の大トカゲの肉を切り分ける。


 そして余った部分はこの辺りに獣等が集まっもダメなのでイクシオーネがハンドイオン砲で丁寧に焼き消し炭にした。


 目的だったワープポッドの残骸を回収できたのでホシモリはイクシオーネに登場し小屋へと向かう為に山岳地帯を下った。


 目的の小屋の位置は分かっていたので思った以上に速くついたが陽はくれていた。


 元からあまり光が入らない様な暗い森だった為に小屋に着く頃は本当に真っ暗だった。


 ホシモリの義眼やイクシオーネモノアイカメラには暗視機能がついているので真っ暗でも問題無く見えたので小屋を確認すると誰かが使った様な形跡は全くなく小さな鳥が屋根に巣を作っていた。


 その小さな家主に一言断りを入れると小さく頷いたのホシモリは礼を言ってから木を集めたき火を作った。


 それから大トカゲの肉を小さく斬って木で作った串に刺し持ってきた調味料で簡単に味付けをして火にかける。


「危険な山とか森と言う割りには魔獣とかに遭遇しないよな?相棒の移動速度が速いのもあるが……」


「私の索敵機能にはかなりの生物が引っかかっています。ですが知能が高いようでこちらの様子を一定距離より近づかずに見ています」


「俺達も知らない星とかに放り込まれ生物発見したら様子見するしな。相棒が隠れてないのもあるが迂闊に手を出さない臆病な者が生き残るしな」


「お互いにどんな能力があるか分からないですからね」


 そんな話をしているといい感じに肉が焼けた様でホシモリの鼻に香ばしい良い匂い届いたのので串を手に取り口へと運ぶ。


 いつもの様にイクシオーネがホシモリに感想を聞くとただの美味しい肉になっている様だったので少し安心しその光景を見守る。


 ホシモリが肉を食べる光景を眺めているとこの森にも精霊がいるようでイクシオーネの周りに蛍の様な光の球が集まりはじめ辺りを明るく照らし始めたのでイクシオーネはモノアイカメラのライトをモールス信号の様に光らせ東の森と同じ様に意思疎通を試みる。


「話せそうか?」


「はい。問題ありません。私達の事を東の森の精霊達に聞いた様で挨拶に来たようです」


「精霊ネットワークって感じか……というか挨拶に来たって何なんだろうな?」


「精霊達は自分達でスピリットイーターの様な魔物を倒せない様なのでこうして意思疎通ができる人がいれば集まって来て困っている事があれば頼むそうです」


「へー断ったらどうするんだろうな?」


「人間とは共生の様な物なので何度も断っていると力を貸さないとの事です。基本的には精霊使いにしか力を貸さないそうです」


「なるほどな……相棒の場合は寄生されてる様にしか見えん」


 ホシモリの言葉の意味が分かったのか少しだけ強く発光し抗議するように辺りを飛びはじめた。


「はいはいごめんごめん。どういう風に精霊を使うのが正解なんだろうな?相棒は意思疎通ができるんだから生体ドローンみたいな感じで使うのが正解か?」


「なるほど……ドローンの様に使うのもありですね」


「ドローンみたいに意思がない代わりに制御してる訳でも無いから重要な時には使えんだろうな。生きてて意思があるんだし」


「映像を私に送れる訳でも無いので正確な情報が欲しい時は難しいと思います。精霊達と知り合って間もないのでまずは話ながら何ができて何ができないかを調べようと思います」


「それがいいな。相棒が魔法を使える様になったら最高だな」


「そうなったら場合に私達が帰還すると確実にこの星で資源戦争が起こります」


 精霊達を含めホシモリ達が冗談を言い合うとても平和でゆっくりとした夜が過ぎていった。

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