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 元の世界でも基本的に寝る時は起きてすぐにイクシオーネに乗り込める場所で睡眠を取っていたのでベッドで寝る事で短時間ですぐに元気になり夜が明け薄暗い時間に目を覚ます。


 首を鳴らし背伸びをしてから戦闘服を整えるとイクシオーネから通信が入る。


『おはようございます相棒。起きるには少し早いのでは?』


『おはようさん。たしかに早い気もするが……二度寝するほどでも無いからな。とりあえずそっち行って大丈夫か?』


『はい。倉庫の裏が開いているのでそちらから問題無く入れます』


『了解っと』


 屋敷の中には使用人達が仕事をしている気配があったので邪魔をしない様にフードを被りクローク機能を発動させてから静かに部屋を出る。


 部屋を出るとメイド達が足音をさせない様に動きせっせと掃除などをしていた。


姿を消しているホシモリに全く気がつかない様だったので安心して倉庫へと向かった。


 イクシオーネが行った様に倉庫の裏口は開いていたのでそこから入り二人はもう一度、朝の挨拶を交わした。


「夜中中この倉庫を調べてたんだろ?何か面白い発見はあったか?」


「はい。ランバルト大尉から聞いたであろう武装を再現しようという試みが見て取れました」


 右手を挙げて壁にかけてあったレムザス様の兵装の解析データをホシモリの義眼に送り説明する。


「その兵装はプラネット用の超振動ブレードを再現しようとした様です。触ってはいませんが魔力が歯に干渉し振動を起こす様です」


「レムザスとか作れる技術があるなら聞いて想像がつけば作ろうとするよな。魔獣とかいるって聞くしな」


「他の都市もあると聞くので人同士の戦いもあるでしょう。奥に見える大型のレムザスの傷には装甲とは違う金属片が確認できました」


「クローク機能は森で出会ったデッカメレオンも使ってきたから開発とかはしてるだろうが……俺達の装備で見せない方が良い物とかあるか?」


「装備を奪われ解体後に解析されると構造が分かり真似をさせる危険がありますが現状は大丈夫だと思われます。相棒のダストレールガンにしろ私のイオンレーザーカノンにしろ見られた所でこの星で販売されている魔法銃と形は変わりません」


「ショルダーランチャーは?」


「ミサイルを直接見られれば少し問題があるかも知れませんが……発射した物を目で追うのは不可能です」


 見慣れない工具を触りながホシモリが大丈夫そうだなと話すとイクシオーネも問題ありませんと頷いた。


 兵装の話やレムザスについて話していると朝食の時間になった様でシルバがホシモリを呼びにやって来た。


「部屋にいらっしゃらないと思ったらここでしたか。ホシモリ様。朝食の準備ができましたのでこちらへどうぞ・イクシオーネ様は食事などは?」


「ありがとうございます。シルバ・トルキャット。私は食事を必要としませんので相棒のホシモリを連れて食事を楽しんで来て下さい」


 分かりましたとシルバは頭をさげホシモリはちょっと行って来るわと言ってイクシオーネに手を上げたので、イクシオーネも手を上げて答える。


 シルバが先頭を歩きホシモリがその後に続いた。


「シルバさん。この屋敷には使用人が多いがトルキャット商会ってかなり大規模な商会だったりする?」


「はい。レムザスの関係では上から二番目でその他を含めても、フライス国で五番内には入る大きさになります。


「凄いな……王立都市もフライスって名前だったから国の首都と大陸が同じ名前なんだな」


「そういう事になります。あと、この建物は別荘の様な扱いなので王立都市フライスにある本宅はもっと広く人も多いですよ」


「ほー。これだけで十分広いと思うがトルキャット商会は凄いんだな」


「はい。ランバルト様がかなり頑張られたのでここまで大きくなりました。ランバルト様もシモン様も質素な方が好きなのですが……貴族や王族との付き合いがあるとどうしても目に見える形での財力は必要になりますからね」


「それはあるな」


 赤いカーペットを歩き階段を上って進んで行くと目的の場所についた様で、シルバがここですと言ってからその扉を開ける。


 そこにはベルナとシモンがもうすでに待機しておりホシモリを待っていた。


 そして全員が朝の挨拶を交わすと三人が座るにはかなり多きなテーブルに座りシルバはシモンの近くに静かに立った。


 そしてパンやホシモリが見た事の無い様々な料理がメイド達によって運ばれテーブルの上を彩る。


 ベルナとシモンが祈る様な仕草をしていたのでホシモリもシルバにやり方を教えてもらいそれを真似てから朝食が始まった。


「ホシモリさんは他国の方ですからしなくても大丈夫ですよ?」


「ん?その星じゃなくて国には様々な作法があるからな。その国の事をしりたい時はそういう作法から尊重しようと思ってるからな」


「なるほど」


 質問をしてきたシモンが納得したので近くにあったパンを掴み口に入れるとホシモリがしっているパンの味が口の中に広がった。


「このパン……もしかしてランバルト大尉に教えてもらったのか?」


「はい。よくお分かりに祖父から作り方を教えてもらいトルキャット商会で販売しています。売れ筋もなかなか好評なパンなんですよ」


「うわー……懐かしい。ランバルト大尉がストレス発散でよく焼いてもらったわ。懐かしい」


 隣で話を聞いていたベルナは何の事だかよく分かっていなかったので頭の上に?マークを浮かべていた。


 たわいもない話で盛り上がり食事を楽しんでいるとシモンがホシモリにこれからの事を質問する。


「ホシモリさんはこれからはどうするんですか?ハンターとしてこの都市で仕事をこなしていくつもりですか?」


「いや、いくらイクシオーネが姿を消せるといってもずっと隠れておくのは無理だからな。王立都市にいってレムザスの資格の様な物があるんだろ?それを取ってイクシオーネをレムザスとして隠さずに運用するつもりだ」


「なるほど……」


「ガーランドさんって人に聞いただけだから王立都市とか魔導工業都市とか何処にあるのかさえしらないからな。まぁこれから調べてって感じだからいつ出発になるか分からないな」


 そうホシモリが言うと話を聞いていたベルナが王立都市や魔導工業都市に行くには運河を使っていくのだと教えてくれた。


「運河か……凄いな」


「はい。船も水竜が引く船とレムザスの技術を応用した魔導船があるんですよ。トルキャット商会はレムザスが主力なので魔導船なんですよ」


 魔導船と言う物に興味が出たホシモリはベルナにどういう物なのかと聞くと魔力を利用して船のスクリューを回す物だと話し、少し大人びているがまだ子供のベルナはこんなに大きいんですよ! と体を使って大きさを表現しホシモリを笑わせた。


「水竜とかいう生き物も気になるが魔導船も気になるな」


「水竜も凄く大きな生き物で船ぐらいの大きさがあるんですよ。しかも強いので船に乗っている時に襲われても自衛できるんですよ。魔導船は代わりに魔法銃とか積んでいるって聞きます。私はそれが使われている所は見た事は無いですが……」


「こっちに来て思うが……割と物騒な星じゃなくて国だよな」


「ホシモリさんがいた国には魔獣とかいなかったんですか?」


 窓から空を見上げ見つめる先は自分がいた宇宙の事だったが……良く考えなくても戦場にいたホシモリはあちこちの惑星を渡り奇妙な生き物や敵勢力と戦いまくっていたのでこの星以上に物騒だったと思いだし笑った。


「いや……ごめん。めっちゃいたわ。ビックリするぐらいいたわ」


「この国でも農作物や人にまで魔獣の被害が出ていますから……ホシモリさんの国でもそうなんですね。どんな魔獣がいたんですか?」


「そうだなー。大型レムザスよりデカい虫がいたり……体が気体でできてて吸うと肺に寄生されて卵産む奴とかいたな……」


「大きな虫はともかくその次が想像できません……ゴーストみたいなものですか?」


「俺はそのゴーストって言うのが分からないなー」



 ホシモリとベルナが笑いながら話をしているとその光景を見つつ考え事をしていたシモンが手を叩きホシモリに話しかける。


「ホシモリさん。王立都市や魔導工業都市に向かわれるのであれば私達の護衛をしてもらえませんか?報酬は払いますし私達も七日後にはベルナの学校が始まるので王立都市に戻りますので」


「それは……ありがたいがいいのか?」


「はい。こちらとしてもホシモリさんの話も聞きたいですしそれこそ言葉が通じない時にでもベルナ達を守り切った実績もありますので実力には問題無いかと」


 ホシモリがイクシオーネに相談するから少し待ってと頼む前にイクシオーネから通信が入り皆に聞こえるように回線を繋ぐ。


「相棒。その話を受けましょう」


「ああ。受けるつもりだったが……相談はしておこうと思ってな。……そうだ。シモンさんこの都市から王立都市や魔導工業都市が乗った地図ってあるか?」


 少々お待ち下さいとシモンが言うとシルバが足早に部屋を出て行きすぐに地図を持って帰って来た。


 朝食はもう皆が食べ終わっていたのでメイド達にテーブルの上を片付けさせて皆が見える様にシルバは地図を開き今いる場所を指さし次に目的地の王立都市を指さした。


「途中から運河を使い進みますが……役十日ほどで王立都市につきます。王立都市と魔導工業都市は近くなので朝に馬車か鳥車ででれば夕方には着く距離になります。


 都市の位置を確認した後にホシモリは自身が不時着した場所をイクシオーネに尋ね、その位置を割り出してもらった。


「王立都市が南方向だから俺達が着陸した場所は真逆か……モニターとかケーブルとか回収しておきたいよな」


「はい。シモン・トルキャット。質問しますが機密性、振動に等に強く中型レムザスの頭部より少し大きな物が入るケースはありますか?」


 イクシオーネの質問に少し考えた後にシモンはあると答えた。


 まだ確認はしていなかったが自身のコックピットに入っているコアモジュールを降ろす事ができるのでホシモリが乗り込める事が可能になったので計算をする。


「相棒。三日もあれば行って帰って来られると思いますので出発までに回収に行きましょう。モニター。ケーブル等は製造は可能ですが時間がかかります」


「あいよ。という訳でシモンさん。依頼は受けるが今いった様なケースを王立都市に着くまで貸してくれるとありがたい」


「いえいえ。娘を助けてもらったお礼もまだですから差し上げますが……何処に行くおつもりで?」


 ホシモリは地図上にあった山を指さすと全員が驚き声をあげ……シルバが困った様に話す。


「ホシモリさん……ここは落差の山脈という高ランクのハンターですら近寄らない場所です。魔獣は強く落石などもとても多くかなり危険な場所です。しかも山裾の森にとても危険な場所なので……イクシオーネさんがいても二人で行く場所では……」


「俺は運が良かったんだな。そこを通って麓の森を抜けてベルナちゃんが攫われていた森まで出てきたんだ」


「……嘘ですよね?」


「あのな……兵士が嘘ついてどうするんだよ。情報は正確に伝えないと話が伝わらないだろ」


 あっけらかんと言うホシモリにシモンとシルバは呆れベルナはシルバーランスウルフの群れを瞬殺し返り血で血塗れになりつつも肉を焼いて美味しそうに食べていたホシモリを思いだしとても納得した。


「ホシモリさんってとても強いんですね……」


「物騒な話だが命のやり取りに関しては強い自身がある。相棒もいるしな」


「はい。最新機ではありませんが火力を重点においた拠点防衛型の私に隙はありません。パイロットも超一流です」


「だろ?俺もそう思う」


「調子に乗る所が欠点でもありますがそこは魅力の一つとして見てもらえればと思います」


 どう笑って良いのかが分からなかったがトルキャットの人達はとりあえず乾いた笑いを浮かべた。


 ベルナに街を案内してもらうまでまだ時間はベルナは着替えに行ったのでホシモリ、シモン、シルバの三人でイクシオーネが待機する倉庫へと向かった。


 そしてシルバが少し離れた後にレムザスに指示をそて先ほどイクシオーネが言っていたケースを中型のレムザスに運ばせて持ってきた。


「大丈夫だと思いますので好きにお使いくださいませ」


「ありがとうございます。後で使用して感想を伝えます」


 コアモジュールを見せた所で問題は無かったがもしもの事を考えてイクシオーネはシモン達が離れてからにしたのだった。


 そして王立都市に行くのはホシモリ達にもメリットがあったが護衛と言う形になったのでイクシオーネがシモンに交渉をする。


「シモン・トルキャット。護衛達成の場合の報酬ですが、ランバルト大尉が残したプラネットをパーツを見せてもらえる事は可能でしょうか?それと譲ってもらう事もかのうでしょうか?」


 イクシオーネの問いにシモンは時間をもらい少し考えてから問いを返す。


「祖父のランバルトが残したパーツが必要なのですか?」


「見てみない事には難しいですが、私のパーツの一部が壊れているので使える物があれば譲って頂きたいのです。ランバルト大尉が乗っていたプラネットは私とほぼ同型なので高確率でパーツの流用が利きます」


「なるほど……分かりました。こちらも商人ですのであのパーツにどれだけの価値があるかは分かっているつもりですが……娘を助けて頂いたお礼もまだですし……イクシオーネさんの修理に使える物があればお譲りしましょう」


「シモン・トルキャット。ありがとうございます」


 ホシモリがいいのか? と質問するとシモンは笑いながらホシモリさんがイクシオーネさんを大事にしている様に私も息子と娘が大事ですからねと笑った。


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