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1 プロローグ

 人類が宇宙に出て星を渡り新天地で生活を始め、地球という小さな惑星を太陽が明るく照らすのを優に五百を軽く越えた航行宇宙歴五六三年。地球からは星の輝きすら肉眼では見えない小さな星での話だった。


 その小さなな星は人が……地球人や昔でいう宇宙人といった人と呼ばれる生命体が基地を建造し、大きくくだらない戦争の前線基地として使われていた。


 戦争に参加した全ての種族が互いに高度な科学力をもち意思疎通など造作もない事だったがどうして戦争が起きたのかは誰のも分からず星同士の戦いは泥沼になりもうすぐ百年を超えようとしていた。


 地球人、正確には地球で生まれてはいなくても生物的な特徴が地球人と良く似ている者達を中心に銀河連合軍として基地を守っていたはずだったが……けたたましいサイレンや爆薬やレーザー兵器に凄まじい戦闘音が鳴り響いていた。


 業火に焼かれ光が弾が飛び交う地獄の様な世界の中で7メートルを超える大きな二足歩行の金属塊の中から背後にいる歩兵達に向かって怒鳴る様な大きな声が届いた。


「お前等!俺達がしんがりを務めるからさっさと大将連れて逃げろ!」


「でっですが!少佐!」


「うっさい!上官に逆らうな!お前のケツに相棒のイオンレーザーカノンをぶち込むぞ!」


 二足歩行のロボットの人でいう頭部のモノアイが怪しく兵士達を睨み怪しく光りそこから無機質な装甲には似つかわしくない荒々しい男性の声が基地内に響いた。


 その怒号に圧倒され訓練された兵士達は敬礼をしてから蜘蛛の子を散らすより早くかけていく。


 命令通りに動いた兵士達をコックピットのモニター越しに見つめていると声を荒らげる※男の元に中性的な声に似せられた機械音声が届く。


「相棒。私の一〇四式ショルダーイオンレーザーカノンは成人男性の肛門には挿入できません。重度の命令違反を犯してもいない部下を殺害するのは国際宇宙戦争法に違反します」


「言葉の綾だぞ相棒」


「了解しました。相棒。この戦いが終わりましたら言語モジュールを更新しておきます」


「ああ、そうしてくれ。それで周りに味方はいないよな?」


「はい。相棒の命令の後にすぐに行動を開始したようです」


「味方はいないのに敵は多数か……戦争あるあるだな」


「ジョークを感知。データ称号中……帝国との戦争が始まってから一兵士が個人奮闘した記録が二三四八件記録されています。その内私達と同じ様にプラネットのパイロットでレギオンクラスとなると三八件になります」


「思ったよりあるな……それで?生還記録は?」


「〇件です」


「なるほどな。じゃあ俺達が記念すべき一件目だな。ちょっとがんばるか相棒」


「はい。頑張りましょう相棒」


 武装した兵士を文字通りなぎ倒し死地へ向かう者の様に一人の兵士とその相棒の機械が炎の中へと突入して行く



 ◇◇◇◇◇



 司令塔にあり宙に浮かび上がる巨大なモニターに基地の被害状況が映し出され、多数のオペレーターが被害状況を上官であるヨネダ大将に逐一報告をしていた。


「第一格納庫!帝国軍により爆破!」


「第三食料庫!帝国兵により制圧されました!その他基地への被害甚大!追えきれません!」


「帝国……やってくれたな!」


 普段が冷静で物静かなヨネダ大将の鬼の様な形相にオペレーター達は驚く。


 パワードスーツに身を包んだ人間とは体の造りが全く異なる帝国の兵士達に基地が破壊、浸食されていく。


「連合軍の援軍はまだか!」


「通信設備がハッキングされ乗っ取られていた為に増援が遅れています!最低でも到着に一時間は要します!」


 モニターに映る帝国軍の進行速度を見ても増援が来るまでに司令室にまで攻め込まれるのは誰の目にも明白だった。


 逃げ道も塞がれ緊張が走る司令室に一つの通信が届いた。


「こちらホシモリ中隊。司令部応答お願いします」


「こちら司令部。ホシモリ中隊どうしましたか?」


「ホシモリ少佐の命令で司令部からワープゲートまでの安全を確保!そちらに護衛を送っています!ヨネダ大将や司令部の皆様は避難をお願いします!」


 その言葉の意味が分からなかったオペレーター達がモニターを見るとホシモリ中隊が派遣されたエリアは未だに持ちこたえ……帝国兵を殲滅しそのエリアの隔壁を降ろし他の区画へ援護に回っていた。


 それだけでは味方の脳にアクセス嘘を言わせている可能性があった為にヨネダ大将が用心深く質問する。


「どういう事だ?君達の部隊が置かれた場所は敵の侵攻が最も激しい場所だったはずだ。いくらホシモリ少佐が銀河連合軍で千人にもみたない最高の兵士『レギオン』だったとしてもそれは難しいだろう?」


「お言葉ですがヨネダ大将閣下。我等が部隊の隊長であるホシモリ少佐は最高の兵士レギオンです。ですが本当のレギオンの称号は戦闘用プラネットと一人一機になる事で銀河連合軍からもらえる称号であります!その戦力は……」


「一人一機……大型の航宙巡洋艦と同じ戦力を有する」


 モニターに映る赤く染まったエリアが最高の兵士と機体が通ったと思われるエリアを青く染め上げて行きその光景に司令室にいた全員が言葉を失っている間にホシモリ中隊が司令室へと到着する。


「急いでください!少佐や多くの兵士が持たせてくれているとは言え長くは持ちません」


 その言葉を聞いてヨネダ大将はすぐにオペレーター達に避難する様に命令をだし迎えに来た兵士に少し尋ねる。


「私のわがままで悪いが……後、数分は持つか?」


「はい!他の隊と合流していますのでヨネダ大将がワープゲートに辿り着くまでは持たせます!」


 その兵士にヨネダは礼を言ってからオペレーターに回線を繋ぐように指示をだす。


 その回線はすぐに繋がり目的の人物が司令室のモニターに映し出された。


「こちらホシモリ少佐だ。オペレーターどうした?ヨネダ大将はワープゲートに着いたか?こっちは割と忙しいから要件は三行で頼む」


 目的の人物はあまり忙しそうには見えなかったがモニターに越し届く音の中には何かが爆発するような音が大量に届きそこが戦場の中心だと言う事は間違いなかった。


「大将のヨネダだ。君がレギオンのホシモリ少佐か?」


 この基地の総司令官が出た事にホシモリはかなり慌て操作を相棒に任せて少しだけ身だしなみを整えから敬礼をし先ほどの非礼をわびた。


「いや、それはかまわない。ただ君に一言礼が言いたくて通信させてもらった」


「そのお気持ちだけで十分です私は戦う事しかできない只の兵士ですので気にしないで頂きたい」


「だが君は銀河連合軍でも最高のレギオンだろう?」


「それは相棒のプラネット。イクシオーネS3000RSのおかげであります故、私自身はそこまで大した事はありません」


 そういった後にいま紹介された相棒のイクシオーネがヨネダ大将に断りを入れてから会話に参加する。


「私が本来の性能以上の能力を発揮できているのはパイロットのツグヒト・ホシモリのおかげです。私自身の機体の性能は一世代前なので最新機には及びません」


 その二人の会話が面白かったのかヨネダは笑いながら話を続ける。


「もう少し部下達と話をした方が良かったようだな。ホシモリ少佐。無事に生き延びたら一盃やらないかね?」


「ヨネダ大将の奢りならば喜んで」


 それがまたツボにはまったのかヨネダ大将は自身が驚くほど大きく笑った。


 そして一頻り笑った後にホシモリがヨネダに告げる。


「ヨネダ大将閣下。そろそろワープゲートに行って下さい。先ほど敵の機体をハッキングし情報を得ましたが……ここに大型の巡洋艦が多数ワープしてくるそうです。相棒を通じてデータを送りましたので避難した後にお使い下さい」


「分かった……君達のおかげで司令部は無事だ……すまないが先に避難させていただく。イクシオーネ君だったかな?君の相棒のホシモリ少佐を頼んだぞ」


「分かりました。最重要任務として上書きします。ヨネダ大将もお気をつけて」


 その会話の後すぐに通信を傍受され全てのモニターがダウンした。その場にいた全員がホシモリとその相棒のイクシオーネに向かって敬礼をしホシモリ部下達と供にワープゲートへと向かった。


 ヨネダ大将やワープに間に合った兵士達がワープポッドに乗り込み終わると、ホシモリが言った様に宇宙が割れ前戦基地の空に大型の巡洋艦が多数現れた。


 そして基地の全てを破壊するように帝国軍が開発したプラネットが幾つもの投下される。


「これほど……帝国の動きが速いとは……」


「ホシモリ少佐」


 ヨネダ大将やオペレーターや部下達がホシモリや基地に残った部下達に敬礼をしているとポッド内のモニターに基地から一筋の光が走り大型の巡洋艦の司令室を貫いた。


 その直後にヨネダ大将がいるワープポッドにホシモリから通信が入る。


「ヨネダ大将!今です!ワープして下さい!」


「……判った。ありがとうホシモリ少佐。各員!ワープゲートを起動しろ!少佐が作ったチャンスを無駄にするな!」


「了解!」

 ワープゲートは起動しポッドが指定された空間まで転送させるまでの時間がモニターに表示された。


 これが最後になると悟ったホシモリの隊の兵士がモニター越しに話しかける。


「少佐……ありがとうございました。少佐のおかげでホシモリ中隊は全員無事です」


「俺がぬけてるけどな!まぁいいが……あれだ無事に戻ったら地球に残した家族に星守継人は勇敢に戦ったと伝えてくれ」


 その言葉にその場にいた全員が沈黙したがホシモリに話しかけていた部下が疑問を投げかける。


「あれ?少佐ってコロニー生まれだから地球に行ってみたいとか言ってませんでしたか?」


「ああ……俺も聞いた。独り身だからそろそろ結婚したいとかも言ってたぞ」


 部下達がモニター越しに白々しい目をホシモリに向けていると当の本人は大きく笑った。


「一度そんな感じの台詞を言ってみたかっただけだから気にするな!湿っぽい最後になったが銀河連合軍の未来は任せたぞ」


「全然湿っぽく無いですけどね……ですがこれこそがホシモリ中隊という感じが出ていますね。少佐……ご武運を」


「ああ。元気でな」


 ホシモリが敬礼をしモニター越しにみていた全ての者達が最上位の敬礼を返した所でワープが起動しその場にいた全ての者達がかける事無く無事に安全な場所まで転送された。


 その光景を眺めていたホシモリは一息ついてから相棒に話しかける。


「さてと……相棒。俺達の生存確立は?」


「はい。99・2578%です。新兵でも楽にこなせる任務です」


「じゃあ楽勝だな。相棒」


「楽勝ですね相棒」


 二人で大笑いしながらモニターに映る数十機にプラネットに武器を構えロックオンを施す。






 ワープゲートが起動してからやく三時間ほどたった頃、銃声や爆撃音は止み、何かが爆発するような音は時折聞こえたたが一時よりは静かになっていた。


 そんな基地の中でパイロットのホシモリとその相棒のイクシオーネはまだ行き残っており、何処かに向かって歩いていた。


「流石に……増援は来ないか」


「絶望的かと。思った以上に敵勢力がこの基地に兵力を集めたので連合軍も兵力を集めるのにはまだ時間がかかります」


「まぁそこまで重要な拠点じゃないから廃棄する可能性もあるな」


「はい。ですが帝国がこの拠点を手にい入れる事でのメリットがあるの簡単には廃棄されないかと」


 そんな中、生き残っていた部隊から通信が入る。


「こちらランバルトだ。聞こえていたら返事を頼むホシモリ少佐」


「上官への口の利き方がなってないようだなランバルト大尉殿?」


「それだけ軽口が叩けるなら安心だな。こっちは全滅だ。そっちは?通信では大将を逃がしたと聞いたが……」


「ああ……俺を残させて大将と撤退させた。こっちは比較的楽だったからな……援護に行こうか?」


「いや……俺のプラネットも話せないぐらいダメージ受けてるからこっちは無理だ。新兵器も倉庫から拝借したからそれを試すつもりだ……で?少佐は何処へ行くつもりだ?」


 そう尋ねられたのでイクシオーネは自分達の位置とここから唯一撤退できる場所の地図をランバルト大尉に送る。その場所はランバルト大尉の場所から援護できる距離だったのでそこに着く援護を申し出てくれた。


「悪いな大尉」


「ああ。存分に気にしてくれ。死ぬ気はないから行き残って俺が困っていたら盛大に助けてくれ」


「おう。俺と相棒に任せとけ。じゃあ……またな」


「ああ……また後でな」


 そして通信を切り動き始めとホシモリ達は敵のプラネットと接敵してしまう。だがランバルト大尉もこちらの位置を正確に把握しているようで無数の弾が飛来し敵機を倒し道を作ってくれた。


 ランバルト大尉の援護が止みイクシオーネの装甲にも大きな銃痕がつきいたる所が焦げ熱で曲がったボディに鞭を打ち瓦礫を動かし目的場所に向かってホシモリ達は進んで行く。


 そしてようやく目的の場所に辿り着きイクシオーネが設置されたモニターを操作すると、まだ電力が生きていた様でゆっくりと扉が開かれる。


 その事で自身の探知機能に引っかかる者が現れたのでイクシオーネはホシモリに伝える。


「相棒。気をつけてください。今ので敵機の探知に引っかかりました。数分もしないうちにこちらに来るでしょう。


「間に合うか?流石に俺と相棒でもあれだけの帝国兵を倒すのは無理だからな……流石にそろそろ退かせてもらわないとな」


「了解です相棒。それと連合軍の撃墜数のレコードは相棒によって大きく書き換えられています」


「へぇー。そういうのって興味なかったがボーナスぐらいでるのかね」


「生きてさえ戻れれば昇進の可能性が大幅にあります」


「いらない責任もついて来そうだな」


 戦場に似つかわしく無い話をしながらホシモリが指示を出しプラネットが一機乗り込める小型のワープポッドに荷物を詰めようとする。だが敵の動きが計算以上に早くすぐにホシモリ達がいる部屋にまで接近してきた。


「相棒。時間がありません」


「速いな……相棒!ポッドに乗り込め!行き先は何処でもいい!連合国圏内なら何処でも拾ってもらえる!」


 判りましたと返事を慣れた手つきでイクシオーネがワープポッドを操作するとワープゲートが起動しホシモリ達がみているモニターにワープまでの時間が映される。


 10、9、8、7、6、


 5秒を切った瞬間に機器を麻痺させる電磁イオングレネードが投げ込まれワープゲートは機能を停止した。


 そして帝国の一斉掃射が始まりホシモリ達がいた部屋はすぐに火に飲み込まれた。


 1、2,3,4と数字だけが上がって増えて行きワープ装置は起動する事無く時間が過ぎていく。


 そんな絶対絶命の中でホシモリが叫ぶ。


「相棒!装置を殴れ!」


「相棒。ワープポッドは精密機械です。殴った所で壊れるだけです」


「壊れたら誤作動ぐらいするだろ!何もしなかったら蜂の巣か焼け死ぬだけだ!」


 判りました相棒とイクシオーネは言って自身の鋼鉄より遙かに硬い手を握り閉め力の限りポッドの基盤を殴りつけた。


 次の瞬間、基地内の全ての電気が落ち、ワープ装置が起動する。ホシモリ達のモニターにワープしますと言う文字が流れた。


 ただモニターに映った光景はホシモリが知っているワープの光景は違い、どちらかと言えば全てを吸い込むブラックホールによく似ていた。


 ホシモリ達に攻撃を仕掛けていた帝国兵もソレに吸い込まれるのを確認してからホシモリ達もそれに飲み込まれた後に何処かへ転送された。

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