陰影の間
「見てわかる通りこの部屋の中にはありとあらゆるものが…ありません」
「ないんかい…」
思わず口からツッコミが漏れてしまった、
「ですので今からあなたはこの部屋に入り「阿」を解いてもらいます」
「阿?」
女は軽く相槌を入れ再び説明を始めた
「人は生まれながらにして強欲です。お金が欲しい。恋人が欲しい。自由が欲しい。そんなふうに全てに欲求があるため人間の中には色々なものが渦巻いているのです。渦巻きのことを我々は「阿」と呼んでいます。
阿の状態では目の前にある一つ一つのことに集中出来無くなってしまい依頼に支障をきたしてしまうかもしれません。
他にも阿が大きい人ほどバグに狙われてしまいますので周りのためにも自分のためにも払う必要があるのです。」
説明の後「頑張ってい下さい」と一言貰い再び静かな暗闇へと戻る
阿を取り除けって言われてもそもそもどれが阿なんかわかんないしな…
明かり一つ無い暗闇にいると余計何かを考えてしまい、余計に阿というものが取り払えない
「さーてどうしたものかな……」
ふかふかのベットに輝く電球、ただただそれだけしかないシンプルな部屋…あと友達2人
「おっ!はじめ起きたぜ!」
「ホントじゃ!てっきりあの世に逝った思っておったとは口が裂けても言えんのじゃ!」
「言ってるぞ」
何故か少し体が動かしにくい俺と真反対でこのバカ2人は相変わらず元気そのものだな
「今どういう状況だ?」
「あーそっか。ずっと寝てたからわかんないのか」
「寝てた!?」
部屋内に驚き声が響き渡る
「阿を解くために寝るとはお主賢いのじゃ!」
無になるって…そりゃ寝てたら何も考えれないが…なんか思ってたんと違う泣
「ちなみに俺って合格したのか?」
「ああ。無事に俺達3人合格だぜ!」
ガッツポーズを悟の腹にはぐるぐる巻きの包帯がある
「お前かなりボロボロだな…っていうかじゃあお前らは阿解けたのか?」
「どっちも解けてねえよ。けど俺は異能使ってる時は無になるっぽかったから雷いっぱい使ってたらすぐ闇が消えていってクリアしたぜ。
あと、このチビバカは阿が解けなかったから暴れまくってお得意の金棒で無理やり扉をこじ開けたんだと…まったくそのせいで俺までこっぴどく怒られたんだぜ」
「誰がチビバカじゃ!」
(それ合格でいいんだ…)
「おや、もう起きておられましたか」
扉がスライドして親の顔より見たスタッフ大久保が入ってきた
「もう知っておられるかもしれませんが。緑はじめさん、おめでとうございます。今回の試験合格です。合格証明書などその他もろもろはあなたの師匠のところに宅配されますのでご確認お願いします」
「あいつ仕事早いなー」
あんまり長居したくないのか「それでは以上です」と一礼し部屋から出よう扉に手をかけた時悟が「待ってくれよ」と大久保を引き止めた
「どうかされましたか?」
「今回の試験って何人が合格したんだ?」
「第1で6人第2で9人第3で17人落ちたので合格者は18人ですね」
「第1で44人もわしと同じ思考を導き出せたのか、やっぱりわしの思考は天上部の鑑ってことじゃな」
「いえ、第1試験はなにかを信じているものがあれば突破出来ますのでなにか1文字でも書ければそれで良いのですよ」
「なんじゃ…と」
冷静に貫く声がアガサの希望の顔を絶望のどん底へとたたき落とした
「では合格発表がまだありますので私はここで失礼致します」
そういい今度こそ一礼し速歩でやって言ってしまった
「これから俺たちってどうすればいいんだ?」
「さっき合格証明書貰ったじゃろ。その中に色々今後の説明とか書いてあったのじゃ!」
そう聞くと悟はポケットから折りたたまれた証明証を取り出し俺達3人は目を見開く
この度は合格おめでとうございます
今後貴方様は天上部参番隊に入隊することになります
これからは手紙で個人依頼を送りますので基本的に1人行動となります。集会がある場合のみみんなで集まり集団任務についてもらいます。
追試 師匠がいる場合は依頼などの判断は全て師匠に任せますのでお願い致します。
「ってことは俺たちはこれから別々だな」
「俺は師匠のところに戻るよ」
「わしも師匠がいるのじゃ!」
「えっ?もしかして師匠いないの俺だけ?」
俺達の顔を見て悟が慌てている
「じゃ、じゃあ俺は1人で強くなって天上者になってやるぜ!」
「天上者はわしがなるのじゃ!」
「じゃあ俺ら三人で競走だな」
「負けたら焼肉奢りだからな!」
あつい握手を交わし俺たちの試験は終わった
---ある人達の物語---
「そういえばお前らスマホ持ってっか?」
「おう」
「持ってるじゃ!」
「交換しよーぜーー」
「今はバラバラになってしまうけどまた今度集合しような」
「もちろんじゃ!わし達三人はチームじゃからな」
「おう」
はじめ、アガサ、悟