信頼の宛先
「去年合格したってってどういう意味だよ?」
訳が分からずついアガサに問う
「そのままの意味じゃ。わしは去年一時試験に合格した」
「どういう事だ?この試験に落ちたらもうダメなんじゃないのか?」
「ああ、ダメじゃ。普通は」
先程より輝きをましているその瞳は「わしのこともっと聞くのじゃ!」とでも言いたげである
「どういうことなんだ?」
「お主らは異能かバグを見てここに来たのか?それとも実際に異能が使えるのか?」
「俺は異能を見てここに来た」
「ああ、俺もだ」
「ぷっーはははは」
その答えを聞くやいなやアガサが大きな声で笑いだした
「なんだよ。別におかしくないだろ」
「馬鹿かお主ら、異能も使えんくせに紙に神様とか書いて受かるわけなかろう笑笑」
「うるさぇーな、じゃあなんて書けば受かるんだ?」
馬鹿と言われ怒った悟にゆっくり答えた
「それは簡単。己じゃ!」
「己」か……確かに俺は今までを振り返るとなんにも自分を信じてなかったのかもしれないな、
親戚からの援助を切られた時も自分を信じ自立すれば良かったかもしれない、
パスクに連れてこられた時も今自分が「電車に乗る」のと「もう1回電車に飛び込むの」正しいのかどうか分からなかった。
本当に最近のことを言うなら今行っているこの試験も俺は間違いを恐れ恥ずかしがり何を信じているかさえ堂々と言うことが出来なかった。
いや、何もかも信じきれていなかったのかもしれない
真に俺が信じるべきだったのは………
「よし。書いたところで二次試験行くのじゃ!」
大きく紙に書いた字は大きくなんだか歪だ、
「なんだ?二次試験って?」
「この筆記が一次試験。実技が二次試験じゃ!」
「えっ?けど時間がまだまだたっぷり時間あるじゃねぇか」
そう聞くとアガサはやれやれとため息をついた
「何を言うとる。それは試験全体での時間じゃ」
「まじか…」
「さすが浪人生…」
「制限時間残り45分となりました」
まるで俺達の会話を聞いていたかのようなタイミングでまたあのおっさんのアナウンスが流れた
「これが二次試験じや!」
次の部屋に移るとそこの部屋は先程とは打って変わってとても広いが、奥に進む扉があるだけで何も無い
「おいおいなんもねぇじゃねえかよ」
「上じゃ!」
アガサが人差し指で刺した天井には玉のようなものが吊るされていた
「なんだあれ、くす玉か?にしてはデカイな」
「おいはじめ見ろよ」
いきなりくす玉が動き出しゆらゆらと揺れている
「そろそろじゃ!」
パカッと言う音と共に中からは十数匹ほどのバグが落ちてきた
見た限りバクの数は12匹。大きさは様々だがアパートのあいつよりも格段に小さい…っていうか形が豚そっくりで見るからに弱そうだ、
「2次試験開始って訳だな」
ポキポキ腕を鳴らポケットの中から5cm程のカプセルを取り出した。
「なんだそれ?」
「知らねぇのか?ウェポンだよ」
悟がカプセルをギュットと握る。ポン!という音と共にモクモクと煙が流れカプセルが剣へと変わっていた
「ほぉー剣か。お主なかなか面白ウェポンじゃ!」
そう言いながらアガサもカプセルを取り出し握った。煙と共に現れたのは黒く澄んだ黒鉄の金棒であった
「わしのウェポンは金棒じゃ!」
「おぉーかっけぇー!!」
(こいつガキだなー)
その時
「ブヒーーー!!」
1匹のバグが悟に突進し腹に体当たりをキメた
見事みぞおちにクリーンヒットし悟は遠くまで飛ばされてしまった
「大丈夫か悟!?」
「お、おう…なんとかな、」
尻もちを着き「うっ」と腹を抱えながらもガッツポーズを決めている
「ぶっーはははは。なんやあいつ。ホンマにおもろいのじゃ!」
だが、大声で笑っているアガサの背後にもバグは突撃を開始していた
「アガサ!後ろ…」
「言い忘れとったのぉ。何故わしが去年落ちたのにまた復活出来たか、それは…」
すぐさま振り向き体には釣り合わない程の黒鉄の金棒を振りかざすと一撃でバグを打ち付け広い部屋の壁に打ち付けた
「わしが強いからじゃ!」
---ある人達の物語---
「失礼します。」
ピシッとスーツをキメた服装の男が入ってきた
「誰じゃ!」
「お久しぶりです」
「だから誰じゃ!」
「はぁ去年も会いましたでしょうに。私です、私審査員の大久保ですよ」
「あぁー大久保か!ってことはもうわしの出番って訳じゃな!」
満足気な顔をしながらウキウキと立ち上がるとストレッチを始めている
「そういいたいんですけど、こちらのミスで今年の3人ペアが1人足りなかったのでもし良かったら出ていただけませんか?」
「いやじゃ!わし1人で勝つのじゃ!」
大久保は少し頭を悩ませ考え嫌な笑みを浮かべた
「3人グループだとアガサさんの最強の強さを見せつけれますよ?」
「なっなんじゃと、なら出るのじゃ!」
(チョロ)
アガサ、大久保