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雨色パスク  作者: ちゃだえ
3/42

事務所の時間

「ということでこの人が新しく入社する事になったはじめ君です。仲良くしてあげてね」

「…社長本当にロリコンじゃないんですよね…?」


さっきから鋭い目つきで俺の事をじっと睨んでくる。まだ俺を信用していないらしいな…


あの後俺の必死な弁明とパスクのゆるーい弁明によって納得したと言っていたがまだ全然らしい


「新しく社員が増えたことだし自己紹介でもしよっか

名前と好きなものあとは…なんにしよう、

じゃあ性格で。まずはじめお願いね」

呑気なパスクの手拍子でいきなり自己紹介タイムが始まった


「いきなりだな、えーっと

緑はじめ17歳。好きな物はパン、真面目って言われます。

よろしくお願いします。」


「…」


パチパチパチ

2人の静かな拍手が聞こえてくる………

(えっ?なんでこんな雰囲気?俺やらかしたの?)


「なんて言うかはじめは真面目だね」

(お前がやれって言ったじゃん泣)


「じゃあ次ミント」

パスクの柔らかなアナウンスで()()()()()()()()()()が話し始めた

「ミント 美桜 13歳。好きな物はお笑い。真面目って言われます。よろしくお願いします」


パチパチパチ

嫌味のつもりかパスクがさっきより大きな拍手をしている


「ミントってハーフだったんだどうりで可愛いわけだ」

なんでパスクが知らないんだよ…

「そうです。父が外国人です」

頬が少し赤い、可愛いと言われ照れているようだ



「やっと出番きた」と言いたげな顔でアンカーが自己紹介を始めた

「パスク18歳。好物はアイス。真面目って言われます。

よろしくお願いします」

思わず「どこが真面目だよ」とツッコミを入れてしまいとても満足気な顔を見せた


「っていうかパスクもハーフなのか?」

「いや、純外国人だよ」

「えっそうなのか?」


「うん。どこの国か忘れちゃったけど」

出身ってパスポートとかに必要…いや、まずそんなの関係なしに忘れないと思うがパスクならやりかねないという自分が居るのも分かる


「そういえば苗字はないのか?[

「すいません。苗字は事務所的にNGなんですよ」

「どこぞのアイドルかよ」

これまた盛大に笑ってくれたので嬉しくなり俺も絶好調になったところでミントが俺達の方を見て呟いた


「社長そろそろ時間です」

時刻は6時になり掛け時計の鳩が元気よくポッポーっと出たり入ったりしている


「あーそうだった。しょうがない働くかぁ」

「どこに行くんだ?」

「依頼だよ。じゃあまたミントはお留守番よろしくね」

ミントが可愛らしいくこっくり頭を下げた

「頑張ってな」


「はじめも来るんだよ」

「えっ?俺も?」

「頑張ってくださいね」

可愛らしく見えた頷きが今度は嫌味に見えた


「ミントもそう言ってる事だし。さっいくよ」



---18時05分---


外に出ると事務所に来た時にはなかった黒い外車が停めてあった。どこ行くか尋ねても教えてくれなさそうだったので仕方なくパスクが指さしていた後部座席に座った


「ちなみにだがどこに行くんだ?」

「えーっと住所どこだったかな。確か民家っぽいボロっちいアパートだった気がする」

「なんでそんな所に行くんだ?人探しか?それとも介護?」


「そういえば言ってなかったっけ」と呟き俺の目を見て説明を始めた

「それは表の仕事。ミントと派遣スタッフの人がやってくれるの」


「表の仕事?やっぱりこの会社はヤクザなのか?」

意外だったのかヤクザにつられて笑っている

「なんでヤクザになるんだよ笑。まぁもう着くし見て理解して」



タクシーを降りたパスクに運転手は紙を1枚の渡した後すぐさま去っていってしまった


「うーんと、よし。ここで合ってるね」


管理室と書かれている部屋に近づいて紙をチラチラ見ながら何かを確認している


「何してるんだ?」

「住所の確認だよ。合ってるみたいだし1部屋づつやってくよ」


「やってくって何を?」

「中見て異常がないか確認するの」

「住民がいたらどうするんだ?」

「大丈夫大丈夫。居ないよ」

また紙に目をやり理由を聞く俺の質問に対しアパートを指さしながらスラッとこう答えた

「だってここ廃墟だもん」

「え?」


確かにいわれてみると近くに街頭はひとつも無いし物音1つしない。まず︎パスクが平然と管理室に入れているのもおかしい


「じゃあそういうことだから2階お願いね」

「本当に開けるだけでいいんだよな?」

「うん。私は1階やってるからなんかあったらすぐ叫んでね」


俺今何やってるんだろ

自殺しようとして、止められて

連れてこられて、ロリコン扱いされて

タクシー連れてかれて、廃墟漁らされて

本当に俺今何やってるんだろ


「はぁ、やるか」


錆びてしまって赤くなっている鉄の階段をコツコツと音を響かせながら足を上に運んで行く


「ここか…」


階段を上がって目の前の隅の部屋。扉に201と書いてあるだけの何の変哲もない扉だ…


3回ノックをして誰からも返事がないのを確認し俺は少しづつ扉を開けていった


部屋の中は手前側にお風呂場の扉とさらに奥にもう1つ扉があるだけで異常はない…


「ふぅ…何もなか…」


ギギギギギ

扉の奥から謎の甲高い音が響き渡る…

「…これ、行かないとダメなやつなのか?」

恐怖心を押し殺し恐る恐る部屋の中に入っていく…


ほんの数歩で扉に着いてしまったので恐怖で震えつつも

ゆっくりと除くようにして扉を開けた


皿があったり窓が空いていたりと妙に生活感が溢れているが他の誰かがいる訳でも無かったのでほっと一息つくこもができた


「なんだ、何も無いじゃないかよ、」

安心し一歩足を踏み入れると


ギギギギギギ


またさっきの甲高い音が鳴った


「全くただの床のきしみかよ…」

怖さの正体が分かり緊張が溶けていくのがわかる


その後もうすっかり安心しきった俺は隣、そのまた隣と徐々に扉を開けて入っていった




「よしあと二部屋…でもなぁ…」

気がつくと残り二部屋になっていた。だが最後の1部屋の扉はボロボロで何か血のような赤いものが沢山かかっている


「さすがにあの部屋はやばそうだな。あとからパスク呼んで一緒にやるとするかな、とりあえずあと一部屋」



いつも通りノックの後返事無しを確認しゆっくり扉を開ける…が扉が開き切るまでのその瞬間はじめは大きな間違いをした事に気がついた…


踏んだら床がきしんでしまうなら最初にギギギとなったその瞬間、部屋には人誰かいたということだ…

だがいなかった。そうなると考えられることは2つ


誰かがあの部屋に隠れていた


いや…それは不可能だ。念の為風呂場とクローゼットも全て見てきたが誰もいなかった。そうなると考えられるのは2つ目


ベランダから別の部屋部屋に移動した…


だがそんなことを今更考えてももう遅い

扉が開き切ると中には


包丁を持った女がいた…



---ある人の物語---


よし2部屋目っと


安心を武器に勢いよく扉を開ける

「失礼しまーす」


開けてみると中に何故かだるま落としが置いてあった


だるま落とし?なんでこんなところに?


まっ久々にやってみるか


トントントン

連続で左右にハンマーを動かしていく


「余裕だな」


あっという間に終わってしまった

ダルマ落としが得意なはじめでしたとさ


はじめ

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