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雨色パスク  作者: ちゃだえ
27/42

きさらぎ駅

「あーやっーーと終わったー」

午後11時30分。2人しか居ないオフィスにでかでかと私の声が響く


「真由美もう終わったのー?いいなー」

そういい隣の席の梨花がチョコレートを1つ噛じる


東京に出て5年。昔憧れていた定時に帰宅し友達と飲みに行くような日々とは似ても似つかないけど今の生活も悪くない


「今日は切り上げて梨花も帰ればー?」

「うーんどーしよっかなー。えっもう11時30分じゃん」

「えっ?もう終電じゃん」

「もうどっちも帰っちゃおー」

「だね」

私達は大慌てで荷物をまとめちゃっちゃとビルを出た


「あっぶなー。3分後じゃん」

「真由美には頭上がりませんわ」

「私より身長デカいだろ」

「あっホントだ」


「ハッハッハ」

2人で笑っていると終電の列車がやってきた…


「やっぱ終電でも人いるね」

「はぁっー。眠たい」

伸びーをしながら大きなあくびをしている


「私中で寝るから起こすの宜しく」

「しゃーないなー」


ガタンゴトンと揺れるリズムに合わせ()()はすぐ眠りについた




「……はぁっー。ここどこだ?」

電車は何故か見たことない駅で止まっていて看板には「きさらぎ」と書いてある。そして私以外の人は皆寝ている。

もちろん梨花も…


「梨花起きて」

「んっーん……白菜……」

「私は白菜じゃないよ。ていうかなぜ白菜…」

「はい起きて」

「んー……。あぁ真由美おはよう」

「おはようじゃなくて…いやおはようだけど。なんか変じゃない?」

「何が?…ってここどこ?。電車止まってるってことはここが終点なのかな?」


「とりあえず降りよっか」

「そうしよ」


「んーん何も無いね。ネットも圏外だし」

「これじゃ誰かに連絡出来な………えっ?……」

「どうしたの?」

「……電車……消えてる」

「えっ?」


私たちが乗っていた電車が音もなく消えていた…


「どうする?」

「ねぇ…ちょっと待って……太鼓の音聞こえない?」

「太鼓?」

「ほら聞こえるじゃん。「ドン!ドン!ドン!」って」

「何言ってんの?聞こえないよ」

「いや聞こえるって…」


さっきから梨花太鼓の音を聞いたと言うなりずっと震えている


「とりあえず改札のところ行こっか…」


怯えている梨花を何とか運びながら改札を探したが……なかった。私たちがいる場所はただただ駅のホームだけでそれ以外何も無い


「これからどうする?」

「まずいねぇ…」


「お姉さん方何か困ってるのか?」


後ろを振り向くと大きな髭のホームレスのようなおっさんがこっちを見ていた


「いや私たち帰りたくて……」

「ここはきさらぎ駅じゃ」


「あっ!思い出した。あのネットで有名な…」

「そうそれがここなんじゃ。残念じゃがお主ら、ここの駅はただホームがあるだけで何も無い。列車も来なければ助けが来るなんて夢のまた夢じゃろうな…」


「ならどうやって帰れば」

「最後まで聞くのじゃ。帰る方法はただ1つ来た道を戻ればいいんじゃよ」


「来た道?そんなんどうやって」

「簡単じゃ線路じゃよ」

「線路?!」

「そうじゃ。線路を歩いていけば来た道に戻れる。ただし何があっても振り返ってはならぬぞ」


「えっでも列車来たら…」


私が問いかけようとしたその時…おじさんはいなかった…


「どうする梨花?」

「…行くしかないでしょ」

「わかった…」


「梨花前か後ろどっちがいい?」

「私ビビりだから後ろ行ってもいいかな?」

「わかった。なら私前行くね」


2mほどある高さを何とかジャンプして線路に降りた


「よし行こっか…」

「うん…」


私はこの瞬間絶望した………


振り向いては行けないため私は梨花のことを見ることが出来ない…


「梨花?大丈夫?」

「うん…私は大丈夫だけど…後ろになにかいる……」

「……何が?」

「よく見えないけど……なんか人っぽい……」


「……………梨花……?」

「…何?」


「振り返ったらダメだよ」


「あっ…」


梨花が見つけた人の首は横に90°に曲がり…笑っていた……



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