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雨色パスク  作者: ちゃだえ
17/42

病院の手

「38.9°、インフルエンザですね。安静にしていれば1週間程で治りますから」

ナースのお姉さんは一言そう告げた


学校の件から一日が経ち本格的に雪が降り始めた今日この頃。パスクはインフルエンザだと診断された


言われてみればよくくしゃみをしていたりインフルにかかった時のようなおかしなテンションを見せていたりした。


男として近くにいたのに心配1つかけてやれなかったのが悔しい


「だってよ。今日は安静にしとけよ」

「ありがとう」

静かな病室、静かなパスク。なんだか違和感が止まらない


「それでは私は他の患者様がいますので失礼致します」

切ってくれたリンゴをテーブルに残しナースは行ってしまった


「あの後どうなったの?」

「いきなり上から光の球みたいなやつが降ってきて学校が壊れかけてたからその隙にお前を抱えて外に出たら

いつもの車が止まってたから乗ってそのまま天上部の病院に来たってわけだ。けどインフルエンザぐらいで入院は少し大袈裟じゃないか?」


それを聞きパスクはほっと一息付き安心したように見えた


「こう見えても私は戦力だから結構大切にされるんだよ」

「自分でこう見えてって言うんだな笑。」

ベットで綺麗に寝かされているパスクが微笑む


「ちなみにあの光の球もお前の仕業か?」

「まぁね。でもインフルでやられるのは計算してなかったな笑」



「うっかりだな。悪いが医者から感染防止のためあんま接触するなって言われてるからそろそろ行くな」

(本当は少しでも一緒に居てあげたい……)


「…待って」

椅子から立ち上がろうとした時そう言った


「どうした?」

「いや…なんでもないけど。今はただちょっと……一緒に居たいだけ」

さっきまで見せていたり顔をモゾモゾ布団の中に隠している


「私師匠のこと大好きだったんだ…優しいし面白いし何より一緒にいて楽しかった。だから必ず帰ってくるって信じたの。


…けど薄々気づいてた。1ヶ月2ヶ月って過ぎていっても何も手掛かりなし。


ミントも私もお互い師匠のこと大好きなの知ってたから悲しまないよう師匠の事は触れないっていうのが暗黙の了解だったんだけど、そのせいで世界から師匠の事が忘れ去られたように感じてなんだか悲しかった。」

布団に隠れているせいか声が少し弱々しい…


「本屋で師匠か手紙の内容覚えてる?


「英雄は死なない」


あれは昔師匠が教えてくれた言葉なの


世界を救う英雄と言えどいずれ死ぬ。だけど救われた人の記憶から消える無い。次へ次へと語り継がれて生きていく。


そしていつか危機が起こった時その記憶のように世界を救いたいと思って新たな英雄が生まれる。

だから英雄は死なずにずっと生きて世界を守り続けるって意味」


確かにと感心する俺を見てさらに話を続ける


「師匠の言葉に訳すと「英雄と呼ばれた私は死ぬけどお前が新しい英雄になれよ」って意味。だからどんなに辛くて強く生きていかなきゃ行けないって分かってた、分かってたんだけど……」

布団は震えていた、


「……俺になにか出来ることはあるか?」

「……手」


「手?」

「手……握ってて欲しい」


布団から出されたパスクの手は少し冷たかった




「インフルエンザですか絶対寝相のせいですね。それか食べ過ぎです」

家に帰った俺は心配しているであろうミントに状況説明に行ったのだがこの調子だ…


「お前は人の心とかないのかよ。インフルエンザって結構辛いんだぞ?」


「大丈夫ですよ。社長は元々異能なしでも体がくっそ強いほうなのですぐ直して3日後には入院食におかわりねだってますよ」

パスクがいないとする仕事が全くないらしく、ずっーとYouTube鑑賞している


「意外とお前ってグータラなんだな」

「違いますよ。いつも働きすぎで労基案件なのに天上部は労基無効だからこういう時に休んどかないと体が持たないんですよ」

右手にコーラ左手にポテチをつまんでいる。

いつもとギャップありすぎじゃないか?


「そんなグーダラ生活してたら立派な大人にならないぞ」


「私の知ってる大人は3人です。そのうち2人はエル姉さんと社長。どっちもグーダラです」

そういい、またポテチを食べる


「エル姉さんっていうのは…」

「そういえば言い忘れてましたね。社長の師匠ですよ。いきなり旅に出て行きました。これぞグーダラです」


そうか、エルロットの事まだミントは聞かされてないのか。俺からは何も言わない方がいいな


「あっそういえばたまたまもう1人の大人が事務所に来てますよ」


「どこにいるんだ?」

「いるじゃないですか。あそこですよ」

ミントの指さした方にはダンボールの箱がひとつあるだけだ


「あれダンボールだろ」

「ちっちっち。分かってませんね。こうするんですよ」


ダンボールをミントの小さいグーの手でドンドン叩く


「ひ…ひぇ……ごめんなさい……」





---ある人の物語---


「…はじめに恥ずかししいとこ見せちゃったな」


まだ布団に隠れたまま隣に置いてあったリンゴをに取ってかじる


「うま。えーっと、ナースコールのボタンはっと。もしもしすいません、りんごのおかわりってありますか?」

「1つ300円ですか?分かりました。あとから事務所に請求の方お願いします」


後日事務所に24000円の請求が届くのであった


パスク

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