雨から始まる非日常
ちゃだえです
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ゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーン……
季節は冬に差し掛かり呼吸をすると息が白くなってしまう。ずっと布団の中に居たい俺とは逆で鳥たちは元気に歌っている。数分粘りやっと覚悟を決め俺は家を出た
石山高校2年B組緑はじめ17才
生まれた時から際立って不幸を感じていた訳では無いがその逆でもない。テストが返されればもれなく平均点。足が早い訳でもないし顔がいい訳でもない。いわゆる平凡な人生と言うやつだな
何故かは分からないが2次元3次元問わず超人はこの「平凡な人生」というものを求めたがるのだが実際には退屈すぎ楽しいとはお世辞でも言えない
アパートから近くの駅まで歩き三つ駅を過ぎたところでスマホをいじりながら降りる。そして
「おはよーみどりー」
白い息と一緒に大きな声が聞こえてくる
駅の出口で高校からの親友田中翔と合流して学校に向かうのが日課だ。最初の頃は喋りながら登校するのがめんどくさかったが今ではこいつと行かないと違和感を感じるまでになってしまっている
「そういえば世界史の課題やったか?明日までだぜ?」
(あ…やっべ…昨日家帰ったらやろうと思ってたのに)
「まぁ、まぁぼちぼちだな。一応丸つけしたいからお前の見せてくれないか?」
「残念だったなみどり。俺がいつもの手口で騙されると思ったら大間違いだ。お前俺の課題見てまるまる写すつもりだろ。スマンがそうはさせないぜ。そんなことだろうと思って俺もやってきてないからな!」
何か勝ち誇ったかのような顔をで見ているが実際は何も解決していない…
「ドヤってるとこ悪いが結局のところ2人ともピンチって訳じゃねぇか」
「あっほんとだ」
まったく…こいつはほんとあほなんだから。しょうがない家帰ったら真面目にやるとするか
「おっはよー」
静かな教室に響き渡る元気な翔の声。それを合図に皆が元気になっていく。
「クラスに着いたこの様子。ほんとにどこからこんな元気が出るのやら。犬かよ。んっ?なんだこれ」
俺の席の上にプリントが置いてありそこにはでかでかと授業参観のお知らせと書いてある
「授業参観のお知らせ…か。まったく高校生にもなってやるのかよ。まっ俺には関係ないか」
遡れる最古の記憶でも俺はは1人暮しだ。唯一のつながりのおばさんによると両親は昔事故で亡くなったらしい。
小さかった俺に2人は旅に行ったと嘘をついて騙していたらしいのだか残念なことに全く覚えてない
さらに残念なことに小さかった俺は意地を張って一人暮らしをすると言い張って聞かなかったそうだ…
まったくそのせいか俺の性格がすこし歪んでしまったんだけど。
「あっ雨」
さっきまでは綺麗に晴れていたのに最近はすぐ天気がコロコロと変わるから朝晴れてたら何がなんでも傘を持っていかない主義の俺からするといい迷惑だ…
授業中寝て休み時間翔と喋りまた授業中寝てたまに当てられあせりが繰り返し気がつくともう放課後になっていた
「じゃあねーはじめー」
翔には彼女がいるから俺の帰りはいつも独りだ。周りを見渡したらカップルだらけでボッチで帰るのがなんだか虚しい…
「あー俺も彼女欲しいな」
まぁそんなことを呟いて終わるだけなら絶対にできないだろうけどな。いつも通り深くため息を着いたあとスマホをいじりはじめた。
「次の電車まであと15分か。少しゆっくりするかな」
駅前の小さな公園。ブランコと滑り台しかないけどなんだか心地よい。夏とかは子供たちが賑わっているんだがあいにくの雨のせいで1人しかいない。いや逆になんで雨なんでいるんだ?
いつもの俺なら無視して帰っていたが 今日が最後ということもあって気がおかしくなったのか気がつくと近づいていた。
近くに行くとその子が5、6才くらいの女の子だとわかった。そして泣いていた
「どうかしたのか?」
「グスッ、グスッ。あのね…。お母さんと喧嘩しちゃったの。
」
少女の顔から雨か涙か分からない雫が垂れ落ちる
親と喧嘩か…俺もしてみたかったな。そんなことを思いながら質問を続ける
「なんで喧嘩したんだ?」
「…お母さんがお人形さん買ってくれなかった」
「お人形さんか。今から仲直りして買ってもらえばいいんじゃないか?」
「……でも」
「ずっとお母さんとバイバイしてしまう方が悲しいだろ?」
少女は何かいいだけな表情だが下を向きそのまま頷いた
「ならちゃんとお母さんにごめんなさいしてよ」
「…分かった」
何度か目を擦った後俺に一礼し濡れた地面を駆けて行った
「無事に仲直り出来たらいいけどな」
雨の中傘もささず歩いていたせいで服が完全に濡れてしまい駅のホームに着いた今でも周りから分かりやすく避けられている。それが意外と傷つくので急いで雫を振り払ったがなかなか水は落ちない
「まもなく特急ヒカリ号が参ります。なお特急ヒカリ号は当駅には停車せず通過していきますのでご注意ください」
ランプがチカチカ光ると同時におばさんのアナウンスがホームに響く
「…来たか」
少し前から決めていたことだ…仕方ない。
俺は今日電車に引かれ…自殺する。
親の遺産などひとつも無かった俺は月に1度おばさんから貰える数万円のお小遣いと奨学金でここまで生かされていた。そこまで贅沢な生活も出来ないが家賃や光熱費など色々払ってもお釣りが出るくらいの額を援助してもらっていた…。そう過去形だ。
おばさんは今年90才。まだまだ元気満々な顔をしてるが家族からの勧めで老人ホームに入会するらしい。そのせいでこれから入会費数十万、毎月数万円が必要になるらしい。
思い出したくもないがそのせいでこれからはお小遣いをあげることが出来なくなったと言われてしまった。
お小遣いがなければご飯も帰る場所もないので俺は生きていくことが出来ない。おばさんはバイトでも始めればどうかと言っていたがとっくの前からバイトはしている。していてやっと保てる生活レベルなんだ…。
これから必死に生きてもやってくるのは奨学金…。
完全に詰みな状態に陥っていた。
色んな自殺の方法を考えてみたが実際に行動する勇気はなく最終的に残ったのが電車自殺という訳だ。これなら一瞬で死ねるし死んだ後家族にかかる請求金額は家族が居ない俺からしたら実質タダという訳だ。
そして今…決行に挑む
特急は段々と勢いを上げもう近くまで寄ってきいる
「ごめんな翔…幸せになれよ」
覚悟を決め体を線路に落とす
死の直前多くのつまらない走馬灯が流れる。
人生で一番長い時間が立つ…
あぁ死ぬのか…
ドシンッ!
その時視界が急に回り尻もちを着いた。
異世界転生という語も頭に浮かんだが残念なことにただ後ろから引っ張られホームに投げ飛ばされただけだった
「イテテ…誰だあんた?」
前を見あげるとそこには1人女が立っていた
白髪ロングにエメラルド色の目。美しいスタイルで整った顔立ちであり「外人美女」という言葉がピッタリ当てはまるのではないだろうか
「私の名前はパスク」
美しい顔と背景の雨が妙にマッチしている。
そして…世界が変わった匂いがした
---ある人の物語---
降り注ぐ雨の中1人の女が歩いていた
「最近雨凄いなー季節的に雪の方が似合うと思うんだけど。そういえば雪と言えば昔師匠と出会った時は綺麗な雪の日だったっけ」
そんなことを考えながら正面に目を向けると公園の中で小さな少女が立ち止まっていた
「あっちびっ子泣いてる。どうしよ…電車の時間やばいんだどなー」
行こうか行かまいか考えているうちに高校生らしき男が女に近き少し喋った後泣き止み歩いていった
「あっ先越されちゃった。ならしょうがない。とっとと帰るとしましょっかな」
パスク