強化合宿
「こら!!!久遠!君がついてながら!無事帰れたからよかったものを」
またしても舎利弗から雷を二人は喰らっていた。
「あのう、舎利弗のおじさま、不可抗力だったんです。久太郎は何も落ち度なかったの」
「かばってくれてありがとう。でも僕ってやっぱり役に立たないやつだな」
珍しく落ち込んでいた。
「元気出してよ。久太郎」
「そうだ。怒ってなんだが君だけだよ。このチームをまともに引き連れられるのはそこは自信を持ちなさい。宝蔵院君の研究所へ行って詳しく報告を聞こうじゃないか」
三人は研究所へ向かって行った。
研究所には貴具の車がとまっていた。すでにこちらに着いていたようだ。
「水無瀬さん、早く!本を」
晴海の顔を見るなり宝蔵院が駆け寄ってきて、奠胡の蔵書をせがんだ。
「天鼓君の書斎まで行って本棚を出してあげて」
塗壁に命令をした。宝蔵院は塗壁の背中を押しながら急かしていた。
「晴海さん、なんだ本って?」
「おじさま、迷宮で見つけたの大昔の鬼の持ってた本なんです。なんかすごいことが書いてあるみたいなの」
「教団の使った異次元爆弾というやつで、僕たちは牢獄の空間に飛ばされて宝蔵院君の知恵のおかげで脱出することができたんです。その途中の迷宮にはフーさんが言うには大昔の鬼の持っていた本だったそうです」
「それは捜査の役に立ちそうか」
「天鼓君い聞かなくちゃわからないわ。ヤーシャさんおそらく本に夢中になっていると思うので読んできてくれませんか。あっところでネロ君を連れてタクシーに乗れたんですか」
「それは問題ない」
と言って口笛を鋭く吹くとヤーシャの影からヘルハウンドが現れた。
「影に身を隠せる能力だあるの、すごい」
舎利弗は獰猛そうなその犬を見て
「この犬も迷宮にいたのか」
「ヤーシャさんがテイムして仲間にしたんです。怪物たちとの戦闘でとても活躍しました。すごい戦闘力が加わりましたよ。本部長」
「そうか、犬もお供か、ますます世間離れした集団になっちまったな。御堂くんは何か気が付いたことはなかったか」
「舎利弗本部長、教団の逃亡者たちはあそこにいるに違いありません。あの空間に飛ばされる寸前、我らを見張っていた火車の姿が見えました」
「ええ、何らかの隠ぺい結界を張っているようでした。あそこに神殿はまだあります」
御堂と貴具が舎利弗に報告をした。
ヤーシャに引っ張られて宝蔵院がやってきた。
「天、あとでゆっくり読めばいいだろ。今は報告だ」
「じゃあ手短にお話しさせてもらいます。神殿はあそこにあります。以上」
というと書斎に戻ろうとしたがヤーシャに首根っこをつかまれた。
「宝蔵院君、その本は捜査の役に立つのかね」
「ええ、僕の知識を広げてくれます、敷いては新しい捜査方法も発見できると思います。では」
ヤーシャが掴んだままで逃げられない。
「天鼓君、早く読みたいのはわかるけど。神殿に入る方法はあるの」
「はい、あの書物を調べれば」
「いいわ、ヤーシャさん放してあげて」
ヤーシャが手を離すと勢いでくるくると転げながら書斎に戻っていった。
「あとは宝蔵院君待ちか。今日はこれくらいで解散するか。いろいろあっただろう。ゆっくり休んでくれ」
「本部長、ご提案が」
「なんだ久遠くん」
「奴らが巣ごもりしている間に私はここで戦闘訓練をしたいと思うのですが許可願えますか」
「久太郎、言うね。私も学校がリモート授業になっているから参加しちゃおうかな」
「貴具、我らもご合席するか。きさまの腕も少しなまっておるようだからな」
「師匠、お手柔らかに」
「よし許可しよう。チーム舎利弗強化合宿だ。打ち上げにクリスマスパティ―と洒落込もう」
「やった、おじさま素敵。そうと決まれば久太郎寺に戻って着替えを取ってくるわよ」
「えー今日からですか。明日からにしましょうよ」
「だめよ!今日から」
「とほほ」
チーム舎利弗の強化合宿が始まった。




