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特務捜査課零係に新メンバー

貴具(きぐ)さん、どうしてここにいるんですか。それよりお腹の具合は大丈夫でしたか」

「プレゼントの具合はどうでした。楽しんでいただけましたかしら」

 久遠と晴海は貴具に聞いた。

「ありがたく受け取ったよ。おかげでこの通り痩せこけてしまったよ」

 前と変わりないでっぷりと出たお腹を叩いた。

「それより無茶なことをしたもんだな。教団の総本山にたった二人で乗り込もうとするなんて。あわてて久しぶりに舎利弗(とどろき)さんに連絡したぜ」

「私たちを見張っていたのね」

「俺はひやひやモノであそこに監視カメラを設置したのにな。いともたやすく中に入るとは恐れ入ったよ君たちチームに」

「お褒めいただきありがとうございます。でも少しはこちらにも情報をくれてもいいじゃないの貴具さん」

 晴海はキッとにらんだ。

「舎利弗さんにお呼びがかかっているんだ。一緒に来てもらえるかな」

 というと近くにとめたバンに乗り込んでいった。

「やっと何か話してくれそうですね。いきましょう」

 二人は県警までバンに追いていった。


「こら!!!二人とも勝手なことをして!無事帰れたからよかったものを」

「すみません。本部長、僕が軽率でした。こんな重要な施設だとは思いもよりませんでした」

「それより貴具、久しぶりだな」

「舎利弗さん、その節は不義理をいたしまして、申し訳ありませんでした」

 貴具は舎利弗に頭を下げて謝った。

「まさか公安にいたとは、元気にしていたことは喜ばしいぞ」

「ネオベゼル専従の捜査官で一匹オオカミで捜査していました。これからは舎利弗さんに協力するつもりです」

「心強い申し出に感謝をするぞ。晴海さんを必ず守るということだけは約束してくれ」

「ええそれはもちろん、実はひそかにファンでしてこういうものを作ってしまいました」

 ポケットから晴海の変身姿のフィギュアを取り出した。

「えっ!キモ!」

 晴海はドン引きしてしまった。

「そ、それをわしにくれないか」

「もう!おじさままで、いい加減にしてくださいよ」

 結構かわいいフィギュアにちょっと照れながらも悪い気がしない晴海であったが

「しかし公安のものに問い合わせたが君の存在は何も知らないようだったが?」

「ええ、私は公安委員会の直属です。国務大臣ほか数名しかわからないでしょうね」

「それは好都合だ。特務捜査課零係の一人として手伝ってもらうぞ。いいな!」

「ええ、そのつもりでここに来たんですから、よろしく願います」

 舎利弗は持って生まれたリーダー的な資質があるのだろう。カリスマ的に人を引き付けるようだ。

「二人の協力もあって、老人ホームから配食センターまでの調査でなんか箇所か教団施設の存在がわかってきました。あの場所が一番ガードが固く何かあると睨んでいたんです」

「宝蔵院君が施設のハッキングに成功しているから、新たな情報もわかると思いますよ」

「天才小僧君か」

「あまり失礼な言い方をしないでください。貴具さん」

 本部長室のモニターに宝蔵院が映し出された。

「これは初めまして、宝蔵院さん、で何かわかったかい」

 貴具は悪びれずもせず聞いた。

「本部長、内部のカメラや監視システムには潜入できたんですが、肝心な情報はそれとは独立したシステムにあるようなんです」

「まあ、内部の様子がわかるだけでもよしとしよう。何か解析できたことはあるかな」

「特筆することは何かの儀式をするための祭壇の存在ですかね。おそらくは異世界への転送用かと思います。それと会議室にはこのような写真が貼られていました」

「あっ!」

 晴海は声を上げた。母の写真であった。



「遅くなってしまった。モモさん、着替えはこんな感じでいいかな」

 青龍の竜宮は時の流れが下界とは異なっている。

「永晴、問題はないよ。今は普段通りの時の流れにしているから」

「ふーん、永晴さんはこんな清楚なイメージが好きなんですね」

 永晴のかって着た服を見てモモが言った。

「いや、よくわからなくてな。恥ずかしかったから急いで買い物をしたんだ」

 モモは着替えて戻ってきた。

「もう少し活発な感じの方がよかったかもよ」

 ミシエルは感想言った。

「君の話を聞かせてもらえないか。どうしてこの世界に来たのか」

「それはさっき少し聞いたところだ。どうやら高次元宇宙(プランクブレーン)の存在によって呪いをかけられたようなんだ彼女は」

「呪い?」

「ええ、千年前に不死の体になってしまったの、この世界に来て三百年になるわ」

「なんてことだよ。まるで八百比丘尼(はっぴゃくびくに)じゃないか。人魚の肉でも食べさせられたのか」

「いえ、ヴァンパイアにされてしまったの」

 なぜか恥ずかしそうに下を向いたモモであった。

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