42話 変態、幼馴染に迫られ困惑オワタ
問題。
あなたを変態と罵った幼馴染の美味しいであろう料理。
あなたが変態と罵る自称幼馴染のヤバいであろう料理。
あなたならどっちを食べる?
「あの、作りすぎちゃって……お母さんが『折角なら夏くんにも食べてもらったら』って……」
少し表情を曇らせながらこちらを伺う幼馴染、立花理々の顔を見ながら俺は笑えているだろうか。
『変態!』
誤解とはいえ、簡単にその誤解を信じ、吐き捨てられた言葉は俺の中に深く刺さり留まっている。
「あの、あたしも、作りすぎちゃって……ママが『こうなったらナツキくんに食べてもらったら』って……」
少しも曇りなき眼でこちらを見る自称幼馴染、武藤愛の目を見ながら俺は笑えているだろうか。
『おぃいいいい! ママァアアア! テメエ! 娘の作った爆弾処理班に俺を任命してんじゃねえぞ!』
料理とは言えない、簡単に化学兵器だと信じさせ、吐き捨てることになりそうな物体の五感への刺激が俺の中に深く刺さり留まっている。
「ちなみに……なに?」
俺はバイオなハザード並恐怖の扉を勇気をもって開く。
「に、肉じゃが」
なるほど、肉じゃがか『彼女に作ってもらいたい料理ランキング』一万年と二千年前から永遠の一位(適当な事を言っています)のあの料理か、都市伝説かと思っていたが本当に存在したとは……たしか、世界のヘイハチローが産み出したと言われる(適当な事を言っています)世界を揺るがす料理(適当な事を言っています)でありながら、故郷を思い出させあの鬼のヘイハチローすら泣かせた料理(適当な事を言っています)から、国崩しの異名を持つ、ぶっちゃけ彼女に作ってもらいたい料理を作ってくるとは流石、傾国の美少女と名高い我が幼馴染。
「わたし! カレー!」
なるほど、禍霊か。『中国で触れてはならぬ妖怪ランキング』三千年堂々の一位(適当な事を言っています)のあの料理か、都市伝説かと思っていたが本当に存在したとは……たしか、あの日本の大妖怪ゴローザエモンが恐れをなしたと言われる(適当な事を言っています)世界を揺るがす大妖怪(適当な事を言っています)でありながら、最強のゴローザエモンを泣かせた料理(適当な事を言っています)から、鬼殺しの異名を持つ、ぶっちゃけ、イカ墨カレーより深い黒っていうか闇がメルティしちゃってる料理を作ってくるとは流石、傾城(食中毒による)の美少女と呼び声高い自称幼馴染。
「ふ……嫁候補の飯、頂こう」
誰が嫁候補だ。というツッコミをいれる間もなく父さんが禍霊を食べ始める。
オイィイイイイイ!
何故それいった? いった? 逝った?
「メメタァ!」
ひしゃげたあ! 親父がカエルのようにひしゃげたんですけど!
「ま、まずさと辛さと苦みとバーモン◯とジャ◯と苦しみと愛しさとえぐみとが混ざりあって、気持ちよい」
親父だった。
我が家の狂った親父だった。
ていうか、バーモン◯とジャ◯に謝れ、マジで。
「ようこそ我が家へ」
おぃいいいい! 招くな招くな!
「待ちなさいコラ」
母さーん!
「勝手に決めてはいけないわ」
母さーん!
「夏輝の気持ちも考えなさい」
母さーん!
「そして、私の気持ちも」
母さん?
「若い娘の料理でニヤニヤしてんじゃねーぞこら」
母さーん!
「喰らえ! 邪王炎殺黒◯波」
母さーん! それ、残像だの人しかちゃんと喰えないヤツ!
「パパウパウパウフヒィーン!」
父さんが口から炎を吹いた!
「やはり、母さんが一番だ!」
「あなた!」
変態茶番が終わったところで、理々の肉じゃがを受けとる。
禍霊を喰わせようとする妖怪は無視だ。
「ありがとう、おばさんによろしく伝えといて」
「あの、」
「よろしく伝えといて」
俺には何も言えない。
そこまで物わかりのいいほうじゃないんだ。
「冬輝!」
幼馴染の声に振り返る。何故呼んだ?
「あ……冬輝、は、まだ……」
「うん、残念ながら、見つからない。でも、世界中探し回って見せるさ」
親父が真っ黒に火傷した唇で語る。
「そう、なんだね」
俺を見ながら、理々が言う。
なんだ?
なにを?
なんで?
ん?
めまいがする。
なんだこれ?
「夏輝、大丈夫!?」
愛さんが心配してくる。
まず、禍霊を放せ。
「夏輝」
愛がこちらを見る。真剣な目だ。
「夏輝は、いつウチの両親に挨拶にくる?」
「いかない」
「なんで!?」
「逆になんで!?」
「なんで!? 行けよ! 母さんの黒龍波がメインで愛ちゃんのをデザートで父さん幸せだよ!」
家族の幸せってなんだろね!
「っていうか、お前は今【疾風怒濤】が大変だろうが! 見たぞ、みんなで謝罪動画」
【疾風怒濤】の動きは早かった。まさか、今夜謝罪動画をアップするとは。流石、疾風怒濤。
「動画でも、言ってたでしょ! あの指輪には後から加工がされてたの。だから、早川さん以外は関係ないのよ」
「どうだかね」
動画では、入手した際鑑定を行い、ただの宝飾品だった為、欲しがった風騎士に。その後、何かしらの方法で呪いを込めたのではという話だった。風騎士も悪魔がどうたらと言い続け埒があかないらしい。
「それに、あたしも、脱退申請はしてたから。正直他のメンバーは可哀想だと思うけど、何もしてあげられないよ」
そんな話をしてると気づけば理々が玄関を出て帰ろうとしている。
「理々」
「ごめん、本当にごめんね、気づいてあげられなくて」
理々が泣いていた。
「あたし……あたしだけが、ふ……」
「危ない!」
咄嗟に出た声に理々が反応し身を屈める。
突如横から現れた男が理々に向かってナイフを振るう。
「ふ、ふふ……りりちゃん~、あそぼうよ~」
あいつ、いつか、理々をコンビニで口説いていた……。
目の焦点が定まらないままに理々に近づいていく。
やばい! クスリか何かか!
いや、ヤバいのはソイツだけではなかった。
ゾンビのようにわらわらと男達が現れる。
みんな理々を狙っているようだ。
「理々! 逃げろ!」
「で、でも……」
腰が抜けたのか動けない理々。
男達が一斉に襲いかかる。親父に。
「え?」
「はっはっは! ヘイトコントローラー更科一輝を舐めるな! 殴れ! さあ!」
父、一輝は、最強の耐久性とヘイトコントロールのスキルで上級冒険者として活躍している。
「いやよ、私以外が貴方を傷つけるなんて許せないわ」
母、四季は、四大基本魔法を全て上級まで扱える天才だ。
勝負はあっけなかった。
父に庭まで引き付けられた男達は、母の土魔法で顔以外埋められた。
「からだの回りは岩にしたから朝まではこのまま反省させましょ」
「ごくり」
おい、親父唾を飲み込むな。
出番がなかった姉妹や愛はちょっと詰まらなそうにしている。
理々は……
「理々!」
偶然理々の方を見たその瞬間、もう一人男がいたことにきづく。
俺は紅の蜥蜴飛蝗に脚だけ【変態】し、地面を蹴り、理々を庇うように包みながら背中を男にぶつけ吹き飛ばす。
「大丈夫か……?」
「ごめん……ごめんね、私がいたら、ダメだから、ごめん!」
理々は泣いていた。
泣きながら、去っていった。
何かを忘れている気がする。
それが俺にはどうしても思い出せなかった。
次の日。
「あんただけはぜーったいゆるさん!」
【氷の精】がめっちゃ鼻息荒く俺を睨んでいた。
やべ、忘れてた。
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