21話 変態、本気で変態さらしてもう完全に詰みオワタ・後編
どうでもいいキャラ紹介
更科夏輝、固有スキル【変態】。好きな食べ物、うどん。さぬきじゃなきゃやだなんて言ってない。
武藤愛、固有スキル【愛人】。好きな食べ物、そば。あなたのそば。
「て、てめえ! オレの活躍を邪魔しやがって!」
振り返ると、円城が俺を指さし叫んでいる。
マジ何言ってんだ? アイツ。今日はずっとなんかおかしい。
「てめえの正体暴いてやる!」
あ! コイツまた鑑定レンズ使うつもりか!?
ヤバイヤバイ! あれ、ステータス写ってたし、固有スキルもこの前バズったばっかだからすぐに結び付けられて身バレする!
俺が慌てて円城の方へ向かおうとするその前に、横から円城を狙う影。
ゴブリンだ。
赤ホブを囲むゴブリン共はやったが、通路で戦ってた奴らは愛達任せにしていた。
及び腰だった数匹の残党が円城に向かっている。
っていうか、アイツ隊列崩してまで言う事か!?
「う、うわあああああああああ!」
うっそ!? 何も考えてなかったのかよ! うわあああ! じゃねえよ!
お前の活躍そこにあるよ、出来ないのかよ!
色んな驚きが混ざったうえに俺の心のイマジナリーブラザーが『アイツ、助けなくてもいんじゃね?』と囁いたせいで、出るのが遅れた。
だが、ゴブリンの攻撃は円城に届くことはなかった。
愛が庇った。
円城になかばタックルのような形で飛び込み、ゴブリンの大ぶりな攻撃を躱す。
助かったな、円城。
の癖に、あの馬鹿はとことん馬鹿だった。
「う、うわああああああああ!」
愛越しに追撃を狙うゴブリンを見て、パニック起こして愛を突き飛ばした。
「え……?」
愛が目を見開いている。そりゃそうだ。助けた相手に突き飛ばされるなんて。
助けた相手は竜宮城に連れられて、宴開かれて、最終的にヤバいもん渡されて……あれ? 結構ひどいな。
違う、そうじゃない。
突き飛ばされた愛の背後から涎まき散らしたゴブリンが三匹も襲い掛かってきている。
おい、円城。
いいか、ソイツはな、漫画みたいに生きたい、生きられると信じてる超絶乙女なやべー馬鹿なんだよ。
ピュアッピュア濃厚、ヤバイマシマシカラミマジシラフスクナメゼンリョクの二郎系濃厚ピュアなんだよ。
ピュアッピュアだからよ、お前のことも助けなきゃって思ったんだろうが。
おい、
こら、
マジで、
「っざけんなぁあああああ!」
俺が最大魔力を太ももに込めて、飛び出す。
敢えて左右のバランスを崩し一番手前のゴブリンを左後ろ回し蹴りで吹っ飛ばし、愛を抱えながら回転し残ったゴブリンの攻撃を躱す。
着地と同時に捻った身体で、右足を軸に左前まわし蹴りをゴブリン共に喰らわせ、地面を滑らす。
行先は円城。ゴートゥー円城。
地面を滑りエグめマシマシのゴブリンの死体が円城の前にやってくる。
「うっぎゃあああああ!」
ざまぁ。これで暫く飯食えねえぞ。
おっと、愛が震えてる。流石に女子だ。いきなりのピンチ怖かったか。
「大丈夫か」
「ひゃ、ひゃい……あたしのおうじしゃま……」
あれ? ヤバくね? これ、お姫様だっこじゃね?
いきなりのピンチ助けてね?
俺こそがいきなりのピンチじゃね?
「だ、大丈夫なら良かった、じゃあ、おり」
「怖かったです~! だから、もう少しだ、けっ」
俺は愛を落とした。
堕としたじゃない。
落とした。
なのに、
「ふ、ふふふ乱暴系主人公もよい……!」
ん? なんか音したあ?
俺には何も聞こえなかったあ。
しかし、受難は続く。スマホを向けたアホがそこにいた。
「あ! あの! 狂気の仮面道化さん! 良かったら、あなたの復活をおれのチャンネルの視聴者に伝えてあげてくれませんか!?」
おい! アホ! お前何生配信始めちゃってんの!? カメラは止めろ!
とはいえ、もう撮ってるし誤魔化すしか……!
「こほん、人は誰も仮面を被り生きている! 日々を平穏に過ごす為に妥協の仮面を……だが、私は! ならば、私は! 狂気の仮面を被り、この狂った世界を壊し尽くす! 狂気の仮面道化だ!」
「おお~! 生口上だ! この感じマジくれくらだ~!」
ああ~! やっちゃった! なんかやらなきゃと思って思わずやっちゃった!
すっげー家で練習したもんな~! 口が覚えてる~!
「突然の登場、驚かせたと思う。だが、私はいつだってダンジョンにいた! そう、君たちの心というダンジョンに!」
「おお~!?」
あれ? こんなだっけ? クレイジークラウン。
「そして、お別れだ。私が、仮面を外す時が来た」
「ええ~!?」
あれ? アホ、泣いてねえ? マジで?
「次の、クレイジークラウンは……君だ」
「うおおおおおおおおおおおおおおお!」
うおー! 大丈夫かな!? オールなマイトみたいなこと言ったけど大丈夫かな!?
完全に一致wwwとか言われねえかな!?
「……あれ? くれくらさん、なんか薄くなってません?」
アホ、アホなこと言うな。俺が死んじゃうみたいなフラグ立てるな。
誰が薄くなって……って!!!!
「薄くなってる~!?」
いや、っていうか、これ、紅の蜥蜴飛蝗に【変態】する魔力が限界なんじゃ……そうか! 愛の固有スキルで俺のステータスも上がって、消費魔力もあがって……あ。
「あ」
あかん
こかん
ぼかん!
「……」
「……」
「……」
……俺の全てがさらされました。
顔も胸も腹も……我がむすこも……。
もう、おむこにいけない。
すぐさま秋菜がアホのスマホぼかんしてくれたし、俺も魔力消費の少ない『紅の犬』に【変態】したけど。
一瞬だがそりゃ見えただろう。
男は顔を真っ青にして俺の顔を見てるし、女は顔を真っ赤にして自分の顔を隠している。
ぼかんされた爆風のせいかアホは白目剥いて鼻血を流している。
そして、妹、自称幼馴染、眼鏡、そして、奥からやってきた氷室さんが鼻血を流してこっちをみている。
完全にオワタ。
……いや、待て、おい、眼鏡。お前がなんでだよ。
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