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20話 変態、本気で変態さらしてもう完全に詰みオワタ・前編

どうでもいいキャラ紹介

武藤マナ、元気が取り柄の16歳☆

相沢ナツキ、パン屋の息子。

わたし、武藤マナ! 16歳!


今日は転校初日なのに、うっかり寝坊しちゃった☆

だって、新しい学校でうまくやっていけるか不安だったんだもん!


慌てて支度して、ママにちょっとだけ文句を言って、でも、朝ごはん作ってくれたことにお礼を言って、パンだけくわえて飛び出したわ!

パパ、行って来ます! お空の上からがんばるわたしを見ていてね!


遅刻ギリギリな時間だけど、わたしなら大丈夫!

だって、前の学校でも男子に勝っちゃうくらい足が速かったんだもん!


ご近所さんに挨拶しながらパンをくわえて風になるの☆


よーし、ここの十字路を超えれば新しい学校はすぐそこ、それにしても大きな学校だな~……って、きゃあ!


どーん!


いっけない、人にぶつかっちゃった☆


「いって~、なんだよもう……!」


ちょっと、なんだよもうってどういうこと!?

ていうか、わたしはまっすぐ走ってただけなのに。


「ちょっと! どこ見て走ってるのよ!」

「いや、僕は……あ、ヤバい! 遅刻する!」


男の子が慌てて立ち上がって走っていく。

と、思ったら戻ってきたわ。

なんなの!? まだ文句でも。


「忘れてた。ほら、パン。僕のお陰で落とさずにすんだんだからね。感謝してよ」


悪戯っぽく笑いながら、ぶつかった拍子にわたしがくわえてたパンが飛んでいったのを彼がキャッチしててくれたみたいで、返してくれた。

そして、再び慌てて走り出す。


……もう! なんなのよ! もう! 顔が熱い、よ……!


っていけない! 遅刻しちゃう! き、きっと慌てて走ってたから体温上がったのよね!


結局、ちょっと遅刻したけれど転校初日という事で多めに見てもらえました☆

そんなちょっとお怒りモードの先生に連れられて、新しいクラスの教室へ。

どきどき、みんなと仲良くなれる、かなあ……。


先に教室に入った先生に呼ばれて、中に入る。

ざわつく教室。

心臓の音が大きすぎてみんなの声が聞こえない。


「あ~!」


その時いきなり聞こえてきた大声。

もうなんなのよ! って、この声……!


「あ~! あの時の男の子!」


うそ~! 同じクラスだったの~?


「お前、武藤マナって……『暴れん坊マナ』か!?」


も、もしかして『悪ガキナツキ』!?


マナの学園生活これからどうなっちゃうの~?!


(続く☆)





あ、どうも。更科夏輝です。

さて、賢明なる読者諸君。

今のお話、どう思ったかね? 当ててみせようか?

まあ、色々あるだろう。

注目集め始めたのにこんな話ぶちこむなんてイカれてんのか、読者増えすぎて頭おかしくなったのか、パンを返す? って、衛生面大丈夫?

まあ、色々あるだろう。

だが、恐らくシンプルにこう思っただろう。



「ナンダコレ」



だろう。

俺も思った。この話を初めて読んだあの日からこれまで。ずっと思った。

ナンダコレって。

逆さにして読んだり、暗号が隠されているんじゃないかって探してみたり、3D眼鏡で見てみたりしたが結果は同じだった。

ナンダコレって。


これは武藤愛さんの愛読書『はナツキ合わせる二人のマナびや!』という少女マンガだ。作者は、夢見きらり。

ナツキとマナという元ご近所の幼馴染が、高校で再び出会い、恋をするという物語だ。

全二巻。映画化もアニメ化もされる予定はないが、約一名熱烈な作品愛を持って、現在も布教し、熱望している。


お分かりだろうか?


武藤愛さんは、この漫画が大好きで同姓同名(マナの漢字カタカナの違いはあるが)の主人公になりたいと思っているのだ。


さあ、ここからがより怖い話だ。


武藤愛は、更科夏輝の元幼馴染ではない。

知ってるかい? ここまで愛は俺を幼馴染と言っているが、俺は愛のことを幼馴染と呼んだことはない。『自称、幼馴染』だ。

いつから勘違いしていた? ヤツが幼馴染だと。

勝手に愛さんが言っている。


あと、いつも一緒に帰ってる風だったが、いつも一緒に帰ってない。

少なくとも、いつもではないし、大体理々と一緒に帰って、いた……帰っていたんだけどなあ……固有スキルが【変態】とバレてから拒絶されたしなあ……。

もとい、なので、愛が部活やクエストがなく理々が早めのバイトない日は三人で、愛が部活やクエストがなく理々が早めのバイトあるという一か月に一度くらいで愛と二人で帰っていた。なのに、毎回一緒に帰れないと謝ってくるのだ。

しかも、帰り道反対方向なので、俺と一緒に帰ったあと、学校の方まで引き返して家に帰るんだぜ?

あと、理々巻き込んで幼馴染三人組とか言いだした時があった。

その時は俺も本気で止めたが。


とにかく、武藤愛は物語に恋しすぎちゃってるぅうう乙女なのだ。


「あっはっは! あたしの固有スキル【愛人】は、今100パーセント!!! 絶好調~!」


そんな愛さんの固有スキル【愛人】。

特定の愛情対象を好きになればなるほど両者のステータスが上がる。

また、好きになってもらえればもらえるほど両者のステータスが上がる。

上がる数値は互いの相手のステータスによって変動する。


らしい。

さて、問題です。

とある男女がいたとします。あ、架空の話ね。

男女の愛情度が100パーセントという数字が出ました。

男性の女性に対する愛情度は色んな事情で限りなくゼロに近い場合、女性の男性に対する愛情度は大体何パーセントでしょう?


俺は頭を抱えた。

分かんないわけじゃないよ!

これでも、素数だって数えられるんだい!


というわけで、素数を数えて落ち着いた俺は冷静に現実的に現実を分析する。


色んな面を考慮し俺の愛さんに対する愛情度は高くない。

ということは、ぶっちぎりで愛さんが俺のこと好きなのよ。

理由は、う……! 頭が……!

漫画以外にも色々あるんだが、今は思い出したくない。

原因がちょっと俺の方にもあるが、あの時の俺は王子とか呼ばれてどうかしてたんだ!

過去はもうどうにもならないんだ!

今は、今は、戦闘中なんだ!

それに愛さんのステータスが現在爆上がり中なら安心だ。

俺も、向こうを気にせずに戦うことが出来る。


それに、意外と頑張ってる人たちもいる。


「うおりゃああああ! 狂気の仮面道化(クレイジークラウン)さんにいいとこ見せるぜ!」


アホが武器を振り回している。最新の魔法道具だ、アレ。

流石、金持ちのボンボン。アホだけど。


「ふっ! 彼と死の踊り(ダンス)を舞うのはこの僕だ!」


委員長が、的確に相手の弱点を突きながらなんか言ってる……!

もしかして、同じ病を……?


「手を握る手を握る手を握る……!」


秋菜さんが聞いたことない詠唱で魔法を放つ。

あ、違ったスマホで入力してるから、あの呪詛の言葉は関係ねえや。関係ねえや!


そして、保護者チームがクラスメイト達を励ましながら、守ってくれている。


「というわけで、俺はこのゴブリン数十体アンド赤いホブゴブリンさんのお相手だけに集中できるってわけだ」


目の前にはずらりとゴブリンの壁が出来ている。

そして、そのウォールゴブリンの向こうで嗤うゴブの巨人、駆逐すんぞ、ゴラア!

まあ、その余裕の笑みの理由は分かる。

壁プラス両脇、後方にもゴブリンの壁だ。

そこで足を止めさせてゴブリンの壁ごとドカン! という寸法だろう。


シンプルだが強力。


そう、シンプルイズベストなのだ。


なので、俺もそうするのだ。


脚を膨らませると赤ホブも笑うのを止め、ゴブリン共に目の前の俺を警戒するよう指示する。

だが、いいのかな?

本当に『目の前の俺だけ』警戒して。


俺は左の壁に向かって跳び壁に足を着けた途端、再び跳ねた。

そして、赤ホブ正面で構えていたゴブリン達の真横からドロップキックをぶちかます。

頭付近を狙ったその攻撃にドミノ倒しで倒れていくウォールゴブ。

そのまま右の壁に辿り着き視界に赤ホブを捉えると目を見開き口もあんぐりでこちらを見ている。ふははは、何その顔ウケる。

再び側面からの攻撃と思ったのか、俺の方に身体正面を向けるゴブ達。

だが、残念! 

俺は、今度は天井に向かって跳び、更に地を這うゴブリンに向かって跳んで天井に跳ねて地面に跳ねるを繰り返す。

向こうがそれに慣れれば、今度は逆に正面背後で跳ねる。

とにかく、四方八方から跳ね襲う。


「ディメンションホッパー」


そう名付けた狂気の仮面道化(クレイジークラウン)の最終奥義的なアレだ。

色んな方向から高速の跳弾が襲い掛かる。

ただ、それだけだ。

それだけだからこそ、強い。

赤ホブの勝ち筋は俺の足を止めて狙う。

だが、俺は足を止めない。

魔力の限り跳ね続ける。


跳ねる。

蹴る。

跳ねる。

潰す。

跳ねる。

殴る。

跳ねる。

踏む。



跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる殴る跳ねる潰す跳ねる跳ねる折る跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる捻る跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる殴る跳ねる潰す跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる跳ねる跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる踏む跳ねる蹴る跳ねる潰す跳ねる殴る跳ねる、踏む。


そして、広間の中、立っているのは俺と赤ホブのみ。

ゴブリンの壁、クリアでーす。

俺の脳内佐○栞里が嬉しそうに叫んでいる。

俺の眼前赤ホブゴブも悔しそうに叫んでいる。


「グギャアアアアアア!」


キレるなよ、うるせーな。悪かったな。


「俺みたいな変態が最後の相手で」


けどな、震えてたんだよ。


ウチの妹が。


平気なふりして、小さく。


テメーには関係ないかもしれんが。


「妹怖がらせる変態野郎が」


俺は跳ねて殴って跳ねて蹴って跳ねて踏んで跳ねて潰した。

お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。


よければ、☆評価や感想で応援していただけると執筆に励む力になりなお有難いです……。


よければよければ、他の作者様の作品も積極的に感想や☆評価していただけると、私自身も色んな作品に出会えてなおなお有難いです……。


いいね機能が付きましたね。今まで好きだった話によければ『いいね』頂けると今後の参考になりますのでよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] ルフィにワンパンされる奴みたいな必殺技ね
[良い点] 自称幼馴染が想像以上にヤバかった [一言] おもしろい!
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