2話 変態、美少女登場で友人との不毛な会話オワタ
それは、昨日の事。
「すっげ! それが【鑑定レンズ】?」
「おうよ! これに魔力注いで覗けばステータスが丸分かりってわけだ!」
円城がデカい声でしゃべっている。
円城はクラスカースト上位、にいるつもりらしい。
金を持っててよく奢ったりするし、腕っぷしもありそうなので取り巻きがいるけれど、あまり、女子人気はなさそうだ。
ただ、いろんな意味で声がデカいから、クラスの中心っぽくなりがちだ。
「やだー、ちょっとこっちに向けないでよー?」
女子たちがきゃーきゃー言ってるのを円城が嬉しそうにレンズで追っかける。
ただ、円城よ、多分マジでみんな嫌がってるぞ。
まあ、魔力を込めてないから見えてはいないんだろうけど。
触らぬ神に祟りなし。
俺は出来るだけ円城の視界に入らないように気を付けたが、それ以上の事はしない。
あの鑑定レンズが本物かどうかはあやしい。
よく転売サイトで偽の魔法道具を掴まされたなんて話は聞くし、画像を編集してそれっぽく見せて誰かを貶めるなんてこともある。
そもそも鑑定できるレンズなんて希少価値が高すぎる。
固有スキル鑑定だって、全員中3の時にするけど、あまりにも固有スキルを詳細に鑑定する道具が少なすぎて一年かけて自治体が行っているのだ。
そんな貴重品を持っているはずがない。
そう、俺はその時思っていたんだ。
「よお! 夏輝! 動画見たか? 俺見た!」
自己完結乙。
アホがやってきた。
アホの名は、古巣正直。
歯に衣着せることの出来ない常時全裸馬鹿正直阿保である。
だが、常時全裸馬鹿正直阿呆であるコイツだからこそ、俺は分かる。
アイツのダンジョン攻略動画のことだろう。
世界が【混沌】と繋がって、各地に【ダンジョン】と呼ばれるものが生まれた。
ゲームのダンジョンのように、モンスターがいて、罠があって、宝がある。
各国が調査隊を送り、とても頑張った結果、分かったことがある。
魔石、キタコレ。
モンスターの動力源である魔石と呼ばれるものが、希少な燃料資源になるのだ。
国は必死になってモンスターを倒すのをとても頑張った結果、分かったことがある。
コスパ悪っ。
確かに重要な燃料資源なのだが、モンスターを倒すリスクが高い。
そこでコスパのいい重要なダンジョン以外は一般開放し、国民にとってこさせることにしたのだ。
まあ、国が軍隊やら調査隊に金かけずにモンスターに殺させちゃったら、そりゃ叩かれまくるだろうからな。自主的に行く分には政府ノーリスクローリターンってところか。
そこで、ダンジョンを攻略する奴らは奴らで動画を撮り始めて儲けようとし始め、どんどん盛り上がり、今やダンジョン攻略動画は一大コンテンツだ。
そして、その動画でも高校生に人気なのが、アイツが参加しているチームの動画なのだ。
「すげーよなー、かわいいよなー、胸でかいよなー」
「おい、漏れてる漏れてるいろんなもんが」
「おっと、しかし、うらやましいよなー。あの子と幼馴染だなんてなー」
「あのなあ、アイツとは」
「ねえ、夏輝! 今日もお弁当の試食してくれない?」
「だが、断る」
「即答するなー!」
声の主は、分かっている恐怖の大王、もとい、恐怖の女王、アイツ様だ。
だが断っても無視しても迫ってくるので早めの対処に限る。
俺は顔を上げ、目の前で弁当を差し出す女を見る。
黒髪ショートカット、大きくて吊り上がった目、整った鼻、かわいらしく瑞々しい唇、高めの身長、ボンキュッボン。
絵にかいたような理想的爽やかスポーティー系美少女、武藤愛がそこにいた。
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