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18話 変態、異常者に目をつけられ戦闘不可避オワタ

どうでもいいキャラ紹介

更科夏輝、固有スキル【変態】。好きな食べ物、うどん。香川には行ったことない。

早川進吾、固有スキル【剣士】。好きな食べ物、お味噌汁(公式プロフィールには)

「予想はしてたけど、小鬼の長(ホブゴブリン)のイレギュラーかあ~」


秋菜達を囲む緑の小鬼(ゴブリン)の群れの奥に控えるゴブリン達の倍はありそうな巨大な赤いゴブリン。

ゴブリン研究家、ゴブリン後藤先生によると、ゴブリンは基本緑から灰色の間の色をしていて、それ以外の色はイレギュラーと言っていた。

ゴブ先生が言うんだから間違いない。

あれ、イレギュラーだ間違いない。

そもそも、あれだけ強大なモンスターが普通にダンジョンの浅い層で自由に動き回ってる時点でイレギュラー確定だ。


異常者(イレギュラー)

いわゆるモンスターの中で、本来とはあり得ない進化をしたモンスターの事を言う。

ありがたいことに大体のイレギュラーは本来の種族の毛や肌の色をしていないことが多く、見分けがつきやすい。ゴブ先生以外も言ってたんだから間違いない。


また、そのダンジョンにおける最強は基本ダンジョン核付近で守っている守護者、俺達はボスと呼んでいるが、ソイツが一番強い。

何故なら、ダンジョン核の一番近くが良質な魔素が漂っているらしく、魔素は魔物にとって飯みたいなもんらしく、美味い飯は一番強い奴が食うという弱肉強食な話だ。

で、大体ダンジョン内の食物連鎖は決まっているので、その種族で一番強い奴がボスとなり、ダンジョン核の前で陣取っている。そして、ダンジョン核の前にいれば魔素が手に入り強くなる。強くなればより魔素が必要になる。というある意味負のループで一番強い奴はダンジョン核からあまり離れられなくなるとも言える。と、有名な論文系ヨ―チューバーが言ってた。


ただし、強いにも関わらず、自由に動き回るのが、イレギュラーだ。

奴らは良質の魔素を求める普通の魔物と違うらしく、その行動パターンも全く違っているのだそうだ。やたらめったら魔物人間関係なく殺すヤツ、アイテムを全て奪おうとするヤツ、また、男や女をエロ目的で攫おうとするヤツ等々。

とにかく、何もかも予想がつかないマジ迷惑な奴なのだ。


そして、一番迷惑なのが、強いってことだ。



俺に気付いた赤ホブが、近くにいたゴブリンの頭を鷲掴みにして投げつけてくる。


俺は顔の前で腕を交差して組み、砲弾と化したもう死んでいるだろうゴブリンの塊を防御する。

ゴギゴシャアという音と一緒に紫っぽい色の血が飛び散り、ゴブリンの塊は地面にどさりと落ちる。


ほんと魔物の血が赤じゃなくてよかった。

赤だったら、耐えられないと思う。長男だけど耐えられなかったと思う。


投げつけた迷惑野郎の方を睨みつけると、向こうも不快そうにこっちを睨んでいた。

ただし、動かない。

ゴブリンは食欲に加え性欲など欲に忠実な魔物だが、同時に小賢しくもある。

俺に下手に数を減らされたくないのだろう。

ゴブリンをどう使うか考えているように見える。

だが、俺はそれに付き合う義理はない。


足を膨らませ跳ねる。


「グギャアアア!」


赤ホブが何事かを叫ぶと、俺と赤ホブの間に大量のゴブリンが集まってくる。

肉壁のつもりだろう。


予想していた俺は、そこに到達する前に足を着き、90度方向転換をしもう一度跳ねる。

赤ホブを守るために手薄になった囲みを突き抜け、秋菜達のチームのところに辿り着く。


「大丈夫ですか?」


仮面の口が動き、声がして驚く面々。

しかし、狂気の仮面道化(クレイジークラウン)は顔程度なら知っているヤツも多いのだろう。すぐに落ち着きを取り戻す。いや、一人落ち着いてない奴がいた。


「うおおおおお! 狂気の仮面道化(クレイジークラウン)だ! 生くれくらだー!」


アホである。

アホ古巣は、ダンジョン研修に参加していたらしい。

ごめん、興味ないから知らんかったすまん。

あ、ちなみに俺だと気づいてないのは普通に【変態】で声変えてるからでアホがアホだからではない。


「うおっほん!」


それを諫めるように、チーム引率の先生と【風騎士】が咳ばらいをぶちかまし、ゴブリンの囲みを警戒しながら、俺に近づいてくる。


「四方山学園教師、雑賀です」

「チーム【疾風怒濤】のリーダー、早川です。失礼ですが、あの、狂気の仮面道化(クレイジークラウン)、さん、ですよね?」


【風騎士】がめっちゃ聞きにくそうに聞いてくる。悪かったな! 口に出すのも恥ずかしい名前で!


「え、ええ……ダンジョン長の【女帝】氷室さんからの、えと、特別指令で、やってきました」


うわー、めっちゃいぶかしそうにしてる。

タイミングも早すぎるし、なんといっても迷惑男、狂気の仮面道化(クレイジークラウン)だ。信用しづらいだろう。


「やったぜ! くれくら来たなら勝ったも同然だぜ!」


うるせえ、アホ。黙れ、アホ。お前のアホさが俺の信頼度をより下げている。


「大丈夫、わたしの知り合いです」


そこに、我が妹、更科秋菜参戦。


「え? 更科さんの?」

「はい、失礼ながら、さっき撤退を提案したあと直ぐにスキルで、連絡をとりました」


おい、我が妹、外ではめっちゃ普通に喋るやんけ。


「そう、でしたか……分かりました。どちらにせよ、彼の能力はいろんな意味で折り紙付きです。協力してもらいましょう」


おい、【風騎士】、めっちゃ変わり身早いやんけ。


「すみません、私はかなり疑っていました。ですが、生徒を守るために協力していただけないでしょうか。お願いします」


おい、先生……かっこいいやんけ。しゅき~、っていうか、雑賀先生は分け隔てなく豪快な性格で、個人的にかなり好きな先生なので、どちらにせよ、助けるつもりだった。アルプスの少女のおじいちゃんに似てるし。


「にいさん……【女帝】、あとで」


秋菜がすっげえ冷たい声で囁いてくる。ゾクゾクするぅうう~!

あと、愛さんが『やっぱり、夏輝の匂い……やっぱり』とか呟いてる。ゾクゾクするぅうう~!

何故か顔面腫れてる円城、テンション爆上げのアホ、その他弱ってるクラスメイト達、満身創痍のチーム【疾風怒濤】、アルプスの少女のおじいちゃんに似てる雑賀先生。

さて、あちらも何やらまとまったみたいでホブゴブリンがすっごい長めに鳴いている。


「では……皆で、生きて帰りましょう!」


俺はやはり変態なのかもしれない。

こんな状況だが、ちょっとかっこいい事言えてテンション上がってる。


言っちゃった これで出来なきゃ マジダサい


更科夏輝、心の一句を読みながら俺は再び足に魔力を込め始めます。


お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。


よければ、☆評価や感想で応援していただけると執筆に励む力になりなお有難いです……。


よければよければ、他の作者様の作品も積極的に感想や☆評価していただけると、私自身も色んな作品に出会えてなおなお有難いです……。


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