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7/9

⑥想像以上に広大過ぎる土地で、大自然すぎる

 私はこの滞在期間中、キリスト教の団体とご縁があり、5泊6日のキャンプへ連れて行ってもらうことになった。ちなみにホームステイ先でお世話になっている香港からの女子留学生もこのキリスト教の信者で、共に参加している。彼女からこのキャンプでより一層キリスト教の教えやモットーに触れることになる。実際この国へ来てキリスト教という宗教をかなり学んだ。毎回その留学生と一緒にお祈りをして食事をし、全てに感謝をする宗教だと教えられた。

 キャンプ地はロングビーチから車で5時間程揺られた場所にある「マンモスマウンテン」という日本でいう軽井沢みたいな避暑地のキャンプ場だ。昔、マンモスの化石が採れたことからその名が付いたらしい。富士山と同じぐらいの標高があるこのキャンプ地がファンタジーの世界に迷い込んだのかな、と思う程の自然が広がる場所だった。まずその場所へ行くまでの道中も信じられない空を見た。砂漠のような地帯が広がるその空には、からっと晴れている場所と稲妻が光り荒れている場所、両面を同時に車の窓から確かめる事が出来たほどに広い空だった。それ程までに遮るものが何も無く、ただ岩と砂が永遠に続くような道をひたすらに走っていた。時折ぽつんと崖の上に立っている豪邸を見つける。聞いた話では、あのような不便な場所でそれも崖の上とかに家を建てる事がこの国のお金持ちがすることらしい。景色を楽しむための別荘なのかもしれない。そんな風景を眺めながらアメリカは広い、広すぎる、とこの時心から思った。

 マンモスマウンテンに到着後、釣りのライセンスを取得し、たくさんのテントやエアベッド、シャワールームなどを組み立てた。ここからキャンプ慣れしていない私の衝撃続きの生活が始まる。

 まず朝と夜が激的に寒い。真冬並みな気温になる。そして昼間は真夏。なんじゃこりゃ。防寒着を持って来ていなかった私はとにかく色んな人の服を借りてもこもこで朝と夜を過ごしていた。ありがたや。そして信じられない程に空気が乾燥している。標高の高い山だったからか余計に乾燥していた事もあるが、ロサンゼルス自体が湿気などほぼ皆無だ。ただでさえ乾燥していた私の二の腕は真っ白になり粉をふき始めた。これがかなりの苦痛だった。私は乾燥体質では全くない。なのにこれだ。かゆい、痛い。この時から私は日本の湿った気候に感謝することになる。じめじめはもちろん今でも好きではないが、これは肌にとっては最高なものなのだ。湿気最高!!

 キャンプ中は兎にも角にもハイキングと釣りをした。昼間はとにかく歩く。普段運動なんて全くしていな当時の21歳な私。これが凄まじく体力的にきつかった。死にそうだった。みんなに置いてけぼりにされる。みんなはどんどん目的地へ向かっていく。たぶんみんな私よりかなり年上だ。なんなんだ、あの体力は。いや、私の体力が無さ過ぎたのだ。これを機に日本へ帰ったら運動しよう、と心底思った。が、定期的に運動を始めたのは今の年齢になってからである。みんな運動しようぜ!!

 このハイキングによって数々の大自然を見る事にもなる。何時間も歩く道中に、美しく巨大な湖を何度も見た。レインボーフォールという虹がかかる大きな滝も見た。全てが深い山の中にある。とにかく歩いて歩いて歩きまくった。そして素晴らしい景色を堪能した。

 朝と夕方は湖でニジマス釣りだ。釣りなんて子供の時以来だった。時には小さなボートにも乗り、吊る。そして夜は焚火をみんなで囲い、ニジマスを焼いてそのまま食べる。ギターを片手に歌い出すアメリカ人。踊り出す子供。歌を静かに聞いている日本人や韓国人、香港人。国境さえも感じられない様々な人種が集まり、夜空を見上げれ無数に輝く星達。流れ星は数秒に1回は見る事が出来、ゆっくりと流れゆく衛星さえ何個も見える鮮明さ。プラネタリウムで見る以上の星の数だった。それは目を疑う程の夜空だった。まさしく絵に描いたようなキャンプ。

 もちろんそこには野生の動物もたくさんいる。リスは人間に慣れ過ぎていて、餌をもらいにくるぐらいだ。何この実写ディズニー感。

しかしそこには危険もある。熊が何度も出没する。キャンプ初日から何度も気を付けるよう言われ、もし遭遇したら大きな音を鳴らせ、と言われていた。あんなに熊が出没するキャンプ場ももしかすると日本では考えられないのかもしれない。直接危害はなかったものの、何度も出没しすぎて慣れてしまった自分もいた。めちゃくちゃ熊の写真を撮っていた。私は昔から危険なことなども、深く考えずに行動することがあり、それがこのような海外旅などに繋がってはいる。が、怖がることはいいことだと今になって少し思う。みんな、熊はきちんと怖がろう。

 この大自然の中でキャンプをしたことは間違いなく一生の思い出だ。そしてあの無数の星達を出来る事なら死ぬまでにもう一度見たいと何度も願っている。


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