浦島、地上世界へ帰還
あれからどれほどの時間がたっただろうか。生命は完全についえたかと思わせるような彩りと潤いを失った荒野が延々と広がる世界。
盾の陰に隠れていた王たちは、全身にかぶった土を払いながらなんとか出てきた。
「なんという破壊力・・・。」
「うう・・・。」
浦島も何とか生き延びたようだ。姫は完全に目を回して伸び切っている。
「みんなどうしたカメ?」
なぜかカメはこれもまた平然としている。
「王様よお・・・。」
浦島は護衛を失って一人になった王に詰め寄っていった。
「俺を消して何をするつもりだ?」
「お前は猫缶を猫の肉ではないといったな。」
「ああ。」
王は今まで隠してきた本当のことを話し始めた。
「あれは竜宮城のタブーの一つじゃ。あれでぼったくって稼いでいたのだ。お前は竜宮城の金のなる木を枯らしてしまうような危険な人物じゃ。もう消えてもらうほかない。頼む、死んでくれ!」
「じゃあ分かった、俺がここからいなくなればいいんだろう?」
「ああ、もちろんだ。」
「だったら帰してくれよ。俺を地上世界にさ。」
「よろしい。地上まで送ってやろう。」
王は受け入れてくれた。こうして王と浦島の利害は一致し、浦島は地上世界に帰ってくることができた。
「やっと地上に帰ってきたあー!」
ここまでいろんなことがあったが、何とか地上に帰ってきた。しかし、何かがおかしい。
「なんだか、懐かしいなあ。見覚えのある場所が妙にきれいだぞ。」
なんと、浦島は若返ったまま地上に帰ってきてしまったせいで、昔の世界にタイムリーぷしていたのだった。
「・・・え、どうすんのこれ?」
詰んだ浦島のその後の行方は、誰も知らない。
お読みいただき、ありがとうございました。次回作の更新時期は未定です。また気が向いたときに様子を見に来てください。今後ともよろしくお願いいたします。




