浦島太郎、再出発
一心不乱に悟りを求め続けたある日、浜に一隻の小舟が流れ着いてきた。
「そうか・・・。天はこの船で旅に出ろと言っているのだ。きっとそうだ!」
浦島は、数少ない荷物を船に積み込み、出発した。
「目的地は決まっていないけど、きっと間違ってなんかいない。行くぞ!」
浦島は、大海原に小さな船をこぎだした。
浦島は道中、大きな建物を見つけた。王様が言っていた別荘の場所と一致するので、遅ればせながらも行ってみることにした。しかしそこは、豪華とは程遠い、廃れ果てたゴーストタウンのような場所だった。
「なんだここは・・・?」
するとその時だった。
「かかれー!」
何かの号令がかかり、多量の矢が浦島に向けて放たれた。
「なんだ!?」
慌てて物陰に隠れたが、園芸用ホースから噴き出すシャワーのように矢が放たれ続けた。姿を隠しても手当たり次第にいそうなところに撃ってくる。矢が風を切る音がひっきりなしに鳴っている。
「まずい、このままではどれかにあたってしまう・・・。」
しかし矢の音はやまないが、ぴたりと飛んでこなくなった。そっと様子をうかがうと、兵士たちは別の何かに向かって矢を放っているようだった。
「あれは・・・なんだ?」
低い姿勢でじりじりと弓兵との距離を詰めていく。彼は何本の矢が飛んでこようが、恐れることなく前進していた。
「怪物だ!怪物が来たぞ!助けてくれー!」
しまいには弓兵たちのほうが逃げ出してしまい、とうとう攻撃はやんだ。浦島はあの怪物の姿に見覚えがあった。
「あれは・・・カメ???」
あの頑強な怪物は両手を大きく広げて叫んだ。
「まだ終わって・・・ないカメエエエエエエエ!!!!!」




