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浦島太郎と勇敢なカメ

 浦島が目を覚ますと、そこは昨日着いたあの砂浜だった。確か昨晩は別荘で寝る予定だったが、こんなところで寝てしまっていたようだった。

「あれ・・・?カメは???」

いなくなっていたカメは、すぐに見つかった。なんと、屈強な男どもにいじめられているではないか。

「おい!うちのカメに何をしている!」

「なんだこいつ?」

「俺の名は浦島太郎!うどん王国香川出身!金はないが勇気はある、男の中の漢!カンと書いてオトコ!」

「だからなんだ?やっちまえ!」

浦島は三人の男どもに果敢に立ち向かった。しかし、筋骨隆々の相手にかなわず、返り討ちにされてしまった。倒れた浦島はさらに踏まれ、もう立ち上がる力がなくなってしまった。

「もうおしまいだ・・・。」

その時、謎の人物が輝かしい後光と共に現れて言った。

「そんなあなたにおすすめなのは、Bプラン!」

「え!?こんな状況でも入れる保険があるんですか!?」

「まずい、保険の押し売りだ!逃げろ!」

男たちは一目散に逃げようとしたが、何かにつまずいて転んでしまった。カメが手を伸ばしていたのだ。

「太郎さん・・・逃げてください!」

「カメ、おまえまさか!」

カメが野太い声で叫んだ。

「伏せろー!」

「駄目だ!」

「爆発するぞー!」

「カメーーーー!!!!」

「バンザーイ!!!」

\どっかーん!/

カメは自爆した。腹を底から震わせるような轟音が浜に鳴り響いた。浦島は顔面に打ち付けられた衝撃波に必死で耐えた。巻き上げられる土煙が視界を一気に消し去った。

 土煙が晴れ、痛々しくえぐられた穴がよく見えるようになった浜で浦島は一人、カメを想って涙した。

 浦島は、カメが爆発したクレーターの内側にたどり着いた。大きな穴だったので、海水がしみ込んでいる。向こうに生えているヤシの木々は、片端からことごとくなぎ倒されていた。

「カメ・・・。お前のことは忘れるまで忘れない・・・。お前は世界で一番勇敢なカメだった・・・。俺は惜しいカメを失った・・・。」

浦島は水たまりになっているクレーターの中心に手を合わせてから、座禅を組んで目を閉じた。

「なぜ俺は残されたのだ・・・?なぜカメはそうまでして俺を守ったんだ?なぜだ・・・。なぜなんだ?」

浦島は、ただひたすらに自問自答を繰り返した。

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