【第3回】キャラクターと対比法
キャラクターを作るときだいたい『対比法』を使う(対比法というのは私の造語です)
私の小説はほぼ『2人』の話だ。なぜならば『対比』でキャラクターを作るからだ。
『対比』は世の中に満ちている。例えば私が100点満中1億点をつけたドラマ『MUI404』のバディ志摩と伊吹。
志摩←→伊吹
静的 動的
思考的 感頼り
常識的 非常識
という感じで正反対の2人になっている。
これは完全な蛇足だが『一見志摩が安全で伊吹が危険な奴に見えるが、実はキレると志摩が1番危ない』ってところがたまらないのです。性癖に刺さる。サイコーです!!!!
……話を戻しますけれども。
私はキャラクターは『エピソードの積み重ね』だと思っている(私が思ってるのでみなさんに押し付けたいということではありません)
例えば道が3本ある。
真っ直ぐな道。左に曲がる道。右に曲がる道。
『どれを選びますか?』というのがキャラクターだ。もっというと『なぜその道を選んだのですか?』という『理由』がキャラクターである。
私が宇宙で1番好きな作家は『北村薫』。『円紫さんシリーズ』という作品群があって。
主人公の『私』がルバーブ(?)という珍しいジャムを買おうかどうか迷い友達に聞くシーンがある。
正ちゃんなら『迷うなら止めろ』と言い、江美ちゃんなら『迷うなら買いなさい』と言うだろう。そこで『私』は江美ちゃんにジャムを買うかどうか尋ねる。
尋ねる相手を江美ちゃんに選んだ時点で『私』の欲しかった答えは決まっている。
さすが北村御大ですよ!!!さすが直木賞作家ですよ!!!!(興奮)
たったこれだけのシーンでこの3人の『キャラクター』を鮮やかに書き出すのである。
キャラクターとはこうありたいといつも思うのです。
今日は9月27日なので、まだ連載終えてませんが私の作品に『中原さんと花沢くん』というラブコメディがありまして。この2人も正反対の人として書いた。
中原さんは『何も考えない人』花沢くんは『何でもかんでも考えすぎる人』それがゆえにモメたりとか、不穏な空気になったりする。
中原←ーーーーー→花沢
動的 静的
ハツラツ、堂々 柔らかい、目立たない
雑 細かい
利益に無頓着 功利的
恋愛オンチ 恋愛大得意
何も見てない 何でもよく考える
無計画 計画的
中原さんは行動的でハッキリしてるので、一見彼女がカップルの主導権を握っているように見えるが、実は終始花沢が握っている。そういう2人だ。
キャラクターを対比で作るには理由がある。色相をハッキリさせたいのだ。
例えば『赤』の横に『朱色』を置いたらどうだろう?「色の違いはあるがなんとなく同じだな」と思うのではないだろうか?
では『赤』の横に『緑』を置いたら?
互いが互いを引き立て合いそれぞれハッキリした個性を感じると思う。対比にはそういう効果がある。
色相環の補色に当たるようキャラクターを設定する。
『色相がハッキリしない物語とは何か?』と聞かれたら「出来杉くんが出演する『映画ドラえもん』ですね」と答えると思う。
よく『映画にでられない出来杉くんかわいそう』的にネットで言われてるが、出来杉がでたらその時の『ゲスト』とキャラが丸かぶりになってしまう。
『のび太の宝島』を映画館で子供と一緒見ていたときのことだ。『フロック』というゲストキャラがでた。のび太たちとメインに絡むキャラだ。
私は思った。
「ほぼ出来杉じゃーーーん」
と。
ほぼ出来杉である。『ちょっと活発目の出来杉』だ。金髪碧眼だからと言って騙されてはならない。
なんでかというと『ゲストキャラ』はこの2時間しか出ない。だから見ている子供達にがっっっっっつり好きになってもらうためにはバンバンに長所を押すのが良策なのだ。
『ゲストキャラは毎回出来杉』で良い。逆にいうと出来杉本人にでられては困る。色相があいまいになる。
『ということなのでは?』と密かに思いながらキャラメルポップコーンをかじった。
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もう1つキャラクターを作るときに心がけているのが『キャッチフレーズをつける』ということだ。その人を一言で表せられればキャラクターが作りやすくなる。
中原さんは『雑な女』
花沢くんは『地獄のように気が利く男』
だ。
いかに!中原という!女が!雑(左右を見てない)か!!!!
というエピソード。
いかに!花沢という!男が!気が利く(左右を見過ぎている)か!!!
というエピソードが書ければコッチのもんである。
キャラクターがしっかり出来あがれば、物語は自然に動く。そういう意味でキャラクターは小説上の大事なファクターだと思う
(キャラクターなんていらない小説もある。私でいうと『冥王星の鯖』だ。あんな『アイディア一本勝負』みたいな話にキャラクターもクソもない。鯖が増えれば良い)
【次回】アイディアの女神
■『真っ直ぐな道。左に曲がる道。右に曲がる道』→『ガラスの仮面(美内すずえ)』の最初の方に出てくる劇の内容。主人公はどれを選んでもひどい人生を送り、最終的にUターンして『故郷へ帰る道』を選ぶ。『ガラスの仮面』は上演される劇の内容もすごい。話の中に話を作る美内先生のすごさェ
■これを書くにあたって『色相環』の確認をしましたが『赤』の補色は『緑』なんですね。『青』だと思ってた。