紅い月に願った希望
前作から2月半
お待たせいたしました(誰も待ってない)
リアル事情と思い切りすぎた舵切りで中々難産だった今作。
プロローグすら筆が進まない
しかも前作はあんなに温かい想い詰まった作品だったのに、今回はまさかのR15
とち狂ってますねw
でもこれを書かないといけない気がした(プロッと眺めて「これかな」って感じがしたw)
今回は堪能しろとは言いません。
ただ、着いてこれる奴だけ、着いてこい。
ここまで言いました。気分がすぐれなくなろうとも責任は負いません。
では私は、一足先に、行ってまいります。
道は作りますが、通るも引き返すも自由です。
「……どこ、行くの?」
「まあまあー、黙ってついて来なって」
「どこまで行くの?もう真っ暗」
「あれれ〜?真っ暗、オカシイですねぇ〜。昨日は小望月だったし、今空は晴れてるんですがねぇ〜」
「……コモ、チ、ズキ?」
「あっははー、5歳児には難しい言葉だったかねぇ〜。まあ、今日は普通満月で明るい夜なはずなのにねぇって話さ」
「……クルアールだって、私と同い年」
「あらら、そうだったねぇあっははー。5歳児にして自分の年齢わかんなくなるなんてねぇ。この年齢にしてボケてきてるとは〜、わちきの寿命も短いんだねぇきっと」
「……えっ、、、ヤダ…………死なないでクルアールぅ!!」
「って泣かないで泣かないで!冗談だよ!わちきはまだまだボケてなんかないさ。ボケはかましたけどね」
「ううぅぅぅ、よかったぁ……」
「んーもう!可愛いなぁコイツめー!」
「うみゅう……頭がぐるぐるするううううう。回さないでええええ」
「あっごめんごめん。可愛い子がいるとついつい撫でまわしたくなっちゃうよねぇ」
「アレは撫でまわすじゃない……かき混ぜる……
……それに、クルアールだって、すごくかわいい」
「……んん!?えっ!?あっあの、、、その、、、ひゃん///」
「クルアール、、、大丈夫?石?」
「あっははー、、今日は暗いねぇ本当に。よく足元は、注意しないとね〜」
「……なんでこんなに暗い?」
「あっ、、、ああ、そうだったね。……んーだいぶ開けた場所に来れたっと。よっし!じゃあ、ここにする!」
「……?」
「まあまあ、じゃ、座ろ」
「うん」
「じゃあ、上をご覧くださーい…………どうどう?月が見えませんねぇ〜」
「どこにも見えない……星はキラキラ見えてるのに」
「フフフ、おかしいねぇ。さっきも言った通り今夜は満月。なのに月明かりはなくて暗めだよねぇいつもより。でも、本当に見えてないのかな?」
「???」
「よーく見てごらん?普段星はどんな形で見えてるかを思い出すんだ」
「んーーーー……点、もしくはまる?」
「そうだね。丸っぽい感じに見える。でもあの中に、なんだか丸っぽくないのがいるねぇ」
「………………あっ!ほんとだ!ちっちゃい三日月!」
「まあ、アレは細いから繊月かもねぇ……本来だったら」
「ほんらい?」
「まあじっと見てなって」
「…………あっ!!!紅い月!!!」
「おやおや?紅い月が出てきたねぇ。
……アレは、月食って言うんだ」
「げっしょく?」
「そう。月食。月を食むって書いて、月食」
「食べちゃうの?」
「んー、まあ、そんなとこかねぇ」
「……きれい」
「紅いよねぇ、鮮やかだよねぇ。こんな綺麗なのは10年ぶりって言ったかなぁ」
「ほえぇぇ……すごい……
…………ねえ、手、つなご。ちょっとだけ、さむい……」
「わちきと違って寒さはダメだもんねぇ。まあわちきは暑いのがからっきしダメなんだけどさ」
「うゅ……寒い……凍えちゃう……」
「おっといけない!天気良いから余計に冷えやすいね。……じゃあ、、、よっと!」
「!!」
「これなら、あったかいでしょ」
「うっうぐぅ……締めすぎ……苦しい……」
「あっごめん。でも自分とおんなじサイズを転がせるためにはこれぐらいしないと」
「……言ってくれたら一緒に寝転んだ。ハグだって一度や二度じゃない」
「今回は重みが違うんだよ重みが。不意を衝く意味があったのさ」
「……なに?私に毒でも打ち込むの?」
「まさか。
……ねえ、一夜を共に、過ごさない?」
「……???」
「…………いやうん。5歳児に意味を理解しろって言うのも酷な話だよね完全に。コレは悪戯吹っ掛けたわちきが悪い」
「何言ってんの?」
「……いいや普通に言おう。……だから、今日はもう帰らずにここで一緒に寝ない?って事」
「ここ……で?クルアールと?」
「本来お互いに種族の掟があるだろうから禁止されてる行為だろうけど、わちきは種族より君が優先だからね。それに君はみんなに好かれてるから、見逃してもらえるんじゃない?」
「……約束は、守るためにある」
「……優等生じゃん。ほんとにこいつ5歳児か?」
「いやクルアールの方がよっぽど5歳児離れしてる」
「それにさ、もうわちき動きたくないしー!!!!!」
「……急に5歳児」
「もう今日は君と寝るって決めた!異論は認めない!!」
「これがパワハラ……」
「あったまっていいじゃないか!それに君だって悪い気はしないだろう?」
「……まあ、ね」
「全く、こういうとこは素直じゃないなぁ。お姉さんに身を委ねたくてたまらないんだろう?」
「だから同い年」
「ツッコミポイントはそこじゃないがまあいいだろう何故ならわちきは今上機嫌だから!」
「うん。ちょっと五月蠅い」
「おっと不機嫌かじゃあこれ以上はやめておこう」
「…………風が丁度いい。気持ちいい……」
「上には星空……横には君の顔……ここは天国か?」
「クルアール、柔らかい。モチモチしてる」
「君もだよ。まあ、もう暫くしたら」
「……あっ、また月、消えちゃった」
「ええ!?あっれれー?月食ってこんな早く終わったっけ?残念だなぁ」
「……また、2人で見れるかな?」
「……うん!またいつか、2人で見にこようね!」
まだ幼かった2人の少女は、聖なる月の下で、抱きしめ合ってそっと口づけた。
そのまま、しっとりと、眠りへと落ちていった。
それはまるで、後に起こる運命の悪夢から、必死に目を逸らすかのように、必死で、そして儚げだった。
二人は、もう二度と会えないのだと、理解っていたから。
……………………
真世界歴637年。世界全土が神魔族に支配され尽くして、早6世紀が過ぎた。
この宇宙は、神魔族による圧政に、ただ醜く、潰されるしかなかった。
大星争時代、宇宙全土を数多の種族が奪い合い、殺し合った時代。
……なんて言われているのは、神魔族の書いた歴史書の上だけ。
実際は、神魔族による一方的な、侵略だった。
この広大な宇宙をたった1年で征服した神魔族は、武力、知能、魔力、そして、科学技術。
全てにおいて他種族の追随を許さなかった。
神魔族は全ての星で破壊の限りを尽くし、その圧倒的な力に対抗できる勢力は、終ぞ現れなかった。
そして全てを手に入れた神魔族は、他の種族を奴隷の様に迫害し、暴虐の限りを尽くしていた……。
今からおよそ300年程前。
新たに即位した神魔族の皇帝、「リユンヒルデ」はある日、全宇宙に向けてとある勅令を出した。
曰く、「これから10年ごとに、お前たちゴミムシ共に身分を改めるチャンスをやろう」
その一言で始まってしまった、奴隷種族間決闘「スレイライング」。
これは、スレイライングに選ばれた種族が辿った、残虐で残酷な血の流し合い。
それに哀れにも踊らされた、悲劇の2種族の物語。
つっても初回はサービス。
何もなかったね。
あとタグのGL描写って実は念のためにつけただけ。
あのシーンは映えるなってだけでおにゃのこ2人にキスさせました。
理由はない。むしろこのシーン入れるだけで閲覧者さらに減るw
折角のR15、精々普段できないことをね