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魔物退治

 村を出たのは陽が昇ってしばらく経ってからだった。

 村の周囲に広がる畑には人影が見え、村人たちはもう働き出しているようだった。

 のんびりと話しながら作物を取る姿を横目に森へ向かう。

 魔物の駆除といっても大したことをするわけじゃない。

 ただ村の近くをぶらついて襲ってきた魔物を殺すだけだ。

 たまに特定の魔物を殺してくれと依頼を受けることもあるが今回はそうじゃない。気楽なものだった。

 森を歩く。

 木や倒木で細くなった道を通らないようにすればどう歩いても良かった。

 ここで危険なのは猟師の仕掛けた罠だけだからだ。

 歩きながら食べられるキノコや山菜を収穫していく。

 食料の確保は重要だった。

 枯れた倒木を剣の先でほじくり芋虫を収穫する。

 採ったものは適当に荷袋に入れていった。

 風が吹いて木々が揺れる。

 周囲は葉の擦れる音しか聞こえなかった。

 森に入って2時間ほどしてやっとゴブリンを見つけた。

 3匹で何か喋りながら歩いていた。

 距離はそう離れていない。

 俺は近くに落ちていた石を拾い放り投げた。

 石はゴブリンから離れた位置の木の幹に当たり乾いた音を立ててしまう。

 突然の音に周囲を見渡すゴブリン達と目が合った。

 動揺しているのか動かない彼らに走りより剣を振るった。

 剣技なんてものではなくただ振り下ろしただけのそれはゴブリンの頭をカチ割るには十分の威力がある。

 一匹の頭を潰すと、木の棒で反撃を受けた。

 先の尖った木の棒が避ける間もなく太股に突き刺さった。

 痛みを無視して剣を振るい2匹目の首を刎ねる。

 横一線に振るった剣はゴブリンの首を飛ばし近くの木にめり込んだ。

 3匹目のゴブリンは動かなかった。

 ただこちらを見ながら目を広げるゴブリンに近づくと剣で胸を突いた。

 それで終わった。


 足に刺さったままの木の棒を引き抜くと少なくない血が溢れ出た。

 ズボンが瞬く間に赤く色ずく。

 数分もすれば治る傷だった。

 しばらくすると傷口の肉が盛り上がり始め血は止まった。ケロイドのように赤く膨らみ出したがこれも明日になれば消えてなくなる。

 血が止まると立ち上がりゴブリンの死体を集めた。

 頭だけ切り分けると竹籠の中に放り込んだ。

 首から下は森に捧げた。


「目の前の肉を森の神に捧げる」


 そう言うとゴブリンの死体は地面に沈み消えた。

 神にはなんでも捧げることができる。

 信仰していようがしていまいが関係なしに自分の持ち物ならなんでも捧げれるのだ。

 死体は殺してすぐなら殺した人物のものになる。

 死体が消えると次の魔物を探して歩き出した。


 ヨブの森にいる魔物はゴブリンとオークが主だったモノのようだった。

 出会うたびに殺していく。

 魔物はいるだけで邪魔な存在なのだ。

 殺しても殺しても湧き出てくるのはダンジョンがあるからだ。

 地下迷宮という名のダンジョンは世界各地に出口が生まれ出る。

 突き詰めれば一つのダンジョンなのだが、大きすぎて誰も攻略できていないままにどんどん広がっていくため、出口ができるとそこから魔物が溢れ出てくることになる。

 溢れ出てきた魔物の一部が地上で繁殖し駆除されるという流れだ。

 オークが現れた。

 いきなり巨大な腕が目の前を通り過ぎたのだ。

 オークは体が大きく力も強い。

 何より速かった。

 瞬間的な速さは筋肉の発達からくるものだろう。避けることのできない攻撃がかするだけでも吹き飛ばされた。

 オークがその巨大な腕を振り回しながら近づいてくる。

 後ずさりしながら腕を狙い剣を振るった。

 剣ごと殴られた。

 オークの拳がかすった左肩はひしゃげ、左手は動かすことができなくなっていた。

 体は独楽のように回転しながら3メートルは吹き飛ばされる。

 厄介な相手だった。

 だが種族的な弱点なのだろうが一度攻撃が当たった相手には油断をする性質があった。

 ゆっくりと近づいてくるオークはこちらのことを動くことができない肉と思っているようで口から涎が溢れ出ている顔を無防備に近づけてきた。

 チャンスはここしかなかった。

 顔面に剣を突き刺すと、一頻り暴れたあとオークは息絶えた。

 死体を捧げると少し休むことにする。

 体がひどく傷んでいた。

 ロマニロク神からの加護のおかげで行動に支障が得ることはない。

 どんな怪我だろうと死なない限りは行動ができるという加護を受けていた。

 木の根の股に座り込むと少し休憩する。

 左肩から指先に向かって腕の中を熱が通っていくように熱くなっている。

 体が再生していくのを感じた。

 痛みは次第に収まっていき、数分もすれば普段通りに動かせるようになった。

 近くに生えている雑草を掴み口に入れた。

 苦く青臭い香りが口いっぱいに広がる。

 水を一口飲むと立ち上がった。

 まだ陽は高い。

 もっと殺さないといけない。

 剣を片手にまたヨブの森を歩き回った。


 その日はゴブリンが10匹、オークを2匹殺した。

 魔物の首は村長に渡たすことになるがあすの朝でも問題はないだろう。

 体は血塗れになりまた嫌な臭いを放ち始めていた。

 薪小屋に帰るとそのまま眠りに就いた。




 あなたは目を覚ました。あなたは地面の上で寝てしまった。体が痛い。あなたは焼け焦げたゴブリンのしたいを食べた。まずい。あなたは雑草を食べた。まずい。あなたはヨブの村から出た。農夫が畑仕事をしている。暖かな風から土の匂いを感じる。あなたはヨブの森に入った。あなたはヨブの森の中を歩いている。あなたはヨブの森を探索した。キノコを採取した。キノコを採取した。「コケコケコー」鳥の声が聞こえる。あなたはキノコを採取した。あなたは芋虫を採取した。あなたは芋虫を採取した「グー」あなたはお腹が減っている。あなたは芋虫を食べた。プチュ。美味しい!あなたは雑草を拾って食べた。まあまあの味だ。あなたはゴブリンを見つけた。あなたの投石。あなたはナラの木に軽傷を与えた。あなたは安物の剣を振り下ろした。ゴブリンAは致命傷を負った。ゴブリンBは木の棒を振り回した。あなたは軽傷を負った。ゴブリンCは震えている。あなたは安物の剣を振るった。ゴブリンBに致命傷を与えた。ゴブリンCはあなたに命乞いをしている。どうしますか?あなたは安物の剣を振るった。ゴブリンCは致命傷を負った。あなたの勝利だ!あなたはゴブリンの首を3つ手に入れた。あなたは森の神ラウゼルにゴブリンの死体を捧げた。ゴゴゴゴゴゴ「臭い肉じゃのう」ゴゴゴゴゴゴ。ゴブリンの死体は跡形もなく消え去った。あなたはヨブの森を歩いている。あなたは山菜を拾った。襲撃だ!オークの攻撃。あなたは吹き飛ばされた。あなたは重傷を負った。あなたは安物の剣を振り回した。クリティカル。オークに致命傷を負わせた。あなたはオークの首をはねた。あなたはオークの死体を森の神ラウゼルに捧げた。ゴゴゴゴゴ「……これだけか」ゴゴゴゴゴゴ。あなたは休憩した。暖かな日差しがであなたは眠くなった。あなたは雑草を食べた。まあまあの味だ。あなたはヨブの森を歩いている。あなたは――。



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