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碧と白の珠玉   作者: 真緑 稔
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①第一部 第一章 出逢い 一節 昫(くう)

旧暦(太陰歴)では現在の季節感とずれるので、新暦(太陽暦)の注釈を入れてあります。

新暦は1582年10月15日からグレゴリオ暦、それ以前はユリウス暦です。

年齢は数え年です。

 口の中が渇ききって息も出来ない。

 走りに走り逃げに逃げた。

 狼たちの唸り声がからだを縛りつける。

 心臓が早鐘を打つ。



「オ逃ゲナサイ!今スグニ!!」

 お母さんの声だ!

「川ヲ越エルノヨ!!」

 あたしのからだの中から響いてくる。

 おかしい!

 こんな事ってはじめてだ!

 お母さんの声は苦しげで…絞り出すようだもの。


 大きなくぬぎの木の下でウトウトしていた。

 ふんわりした枯葉のお気に入りの陽だまりだ。

 あんまり突然だから何がなんだかわかんない。


 あたしはむくっと起き上がる。

 山の斜面を転げ落ちるように走る。

 雪や氷で脚が滑る。

 木の根や岩でつまずきながら走った!


「ウウーッ!ウググーッ!!」

 怒り狂ったうなり声に追い立てられた。

 相手は精鋭の狼達だ!

 一目散に沢まで出た。


 生臭い鼻息が聞こえる。

 あっと言う間だ。

 もう首すじに触りそうだ。

 先頭の狼が跳び掛って来る!

 あいつらの影が目の前の岩場の石の上に映る。


 …仕方がないっ!!


 あたしは躊躇ちゅうちょなく谷川へ飛び込んだ!

 水は身を切るように冷たい。

 凍り付きそうだ。

 流れが速くて渡れそうにない。

 みくちゃにされた。



 …大岩があたしの頭を思いっきり叩いた。








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