表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不死鳥の召喚士  作者: 張田ハリル@スロースタート
序章 力を求めて
8/71

戦闘訓練

 目が覚めると寝たくなるのが若い人の象徴だ。まあそうではない人も多数いるが。

 俺もその中の一人のためか目が覚めてもついつい二度寝をしてしまう。元々柔らかいベッドなんてもので寝ていなかったためか、硬いベッドでもすぐに寝付いてしまう。

「起きてください。もう朝食のお時間です」

 それを妨げたサーシャの声。だが目を開けてもサーシャが俺を外に出そうとはしない。

「外れだなんだと虐げるのがオチと考えこちらに朝食をお持ちしました」

 簡易的なパンの上に目玉焼きの乗ったものだ。だが朝食、つまりは起き抜けにガツガツ食べるタイプではないためありがたい。

「……喜んでいただくよ」

 眠気からかすぐに声の出なかった俺を見つめているサーシャ。

 朝食の一口目を頂くと口の中に卵のドロっとした独特な味が広がる。それを美味しく感じさせたのはあまり濃すぎない塩味だ。多少の塩が入っているからか口に合わないなんてことは起こらない。逆に朝食にぴったりだ。

「美味しいよ、ありがとう」

 そう言うとサーシャはものすごく恥ずかしそうな顔を浮かべた。次いで俺の顔を見つめ自分の頬に手を当てる。

「私が作ったものを美味しく頂いてもらえて嬉しいです」

 そんな彼女の顔はとても真っ赤に染まっていた。俺はそれを見て少しだけ嬉しく感じていたのはサーシャには内緒だ。

 サーシャが持ってきたパンの枚数は五枚。それを俺が三枚食べてサーシャが二枚食べた形だ。

「それでは格闘場に向かいましょう。朝食後すぐに戦闘訓練を行うようです」

 俺はサーシャの顔を見ながら頷く。ちょっと食休みもしているから動けと言われても苦ではない。

 サーシャに連れていかれて格闘場に着いた時にはみんながこちらを見ていた。男子の視線はほとんどがサーシャに向く。

 俺はサーシャの手を握ってから「じゃあな」とだけ言った。今夜も部屋に来る約束はしている。きっと来てくれるはずだ。最後に握り返してくるサーシャはとても可愛かった。

 いい感じに男子のヘイトを稼ぎながら朝倉さんのもとへ向かう。

「悪い、水無月」

 わざとぶつかって水無月から奴隷術も手に入れた。鑑定眼で確認済みだ。

「朝倉さん、今日の夜って会えるかな。ちょっと渡したいものがあるんだけど」

 小声で朝倉さんにそう言う。朝倉さんは嬉しそうな顔をしながら「うん」とだけ言った。きちんと「俺の部屋に来て欲しい」と言ったから大丈夫なはずだ。

「……全員が集まったようだな。それでは僕から話をしよう」

 前に出てきたのは高身長の甲冑をまとった人。声も高くも低くもない。中性的で性別の認識がしづらい。鑑定眼を使うのは少し不公平だと考え他人には使っていない。

「私の名前はアル・レスト。貴様ら勇者を鍛えるために選ばれた聖騎士だ。特に昨夜、もうメイドに手を出した不届き者もいるらしいからな」

 そう言う聖騎士の声は張っている。これが本当の威圧なのだろう。メイドに手を出すということで怒っているなら女性の可能性もありそうだな。

「まず二週間後にイズのダンジョンにて本番の戦闘を行う。仲間となる人物を選んでおけ」

 手をパンと叩くとほとんど多数の人が朝倉さんに声をかけていた。それなのに、

「私は先生と一緒にヨーヘイと組むから」

 そう言って誰も寄せ付けない。特に水木。無理やり組もうとするが失敗してアルさんに吹っ飛ばされている。

 あのステータスだけは優秀な勇者をだ。みんなが静まり返っている。その間に朝倉さんと京香先生のパーティの名前に自分を書く。

「後は……ヨーヘイと仲の悪くない石井大和君はどう?」

 俺はコクリと頷き石井の所へ向かう。ステータスを見てもおかしな点はない。俺らに害を与えるとは思えない。それに彼は勇者の中でも俺の次にステータスが低いとされている。

「石井、俺たちと組んでくれないか」

 もちろん、返事はハイだった。なのに、

「石井は俺たちと組むんだよ。わかったら消えろ、外れ」

 水木派の男子、木前遼が俺に向かって言ってきた。石井は少しだけ考えて「大丈夫だよ」と答える始末。

「石井が嫌がってるのがわかんねぇのか?」

 あの時以上の威圧を込めて木前にぶつける。気付いたのはアルさんくらいか。傍から見ればいきなり木前が座りこんだと思うだろうし。

「安心していいよ」

 石井にそう言ってやり朝倉さんの方へ向かわせる。木前への威圧は解いていない。ただ見下ろしていた。そんな時だった。

「やめなさい」

 横から飛んでくるアルさんの拳を後にのけぞってかわす。

「えっ、どうしました?」

 すっとぼけた表情をしながらアルさんに聞いてみた。もう遠慮なんて不必要か。

「そんなことで威圧をかけるなんて」

「それなら自分が聖騎士に入る時には虐められるようなことはなかったんですね」

 ただ小声でそう彼女に言ってやった。流石というべきか彼女から放たれる威圧はより強くなった。

「……済まなかったね」

 一瞬で収まったアルさんの威圧を見て俺も木前への威圧を止める。

「こちらこそ申し訳ありません。大人気ありませんでしたね」

 アルさんは元の場所へ戻っていった。特に勇者は俺を見て愕然としていたが。まあ自分が吹き飛ばされた攻撃をかわしたしな。しゃあないしゃあない。

春眠暁を覚えず春眠暁を覚えず春眠暁を覚えず春眠暁を覚えZzz


これからもよろしくお願いします。出来ればブックマークや評価等もよろしくお願いします。

定型文

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ