扱いの違い
手に触れるとその難易度の高さを理解出来た。いわば砂漠に一粒の砂糖を落としてそれを拾えと言われているようなものだ。
鉄鉱石は魔力を流せば簡単に変化をもたらすことが出来た。それは多分魔力を流す回路のようなものが一本線だったからだろう。
でもこの魔石は違う。一つの線だけに入れれば支障をきたすし、全部の線に均等に入れなければ破裂する。感触が違いすぎるし少し魔力を流しただけで理解は出来る。
ただやってみないことにはなんとも言えない。そう思って七属性の魔石に魔力を流す。少量ずつ流していると言ってもその本数が多ければ多量の魔力を必要とする。
汗が一筋流れるがすぐにそれのコツはつかみ始めた。同程度で少量入れてから少しずつ増やしていく。確かにカップラーメンを作る時のように百パーセント指定量で、ってことは出来ないがそれでもそれを扱うことくらいは出来る。
鉄でチェーンを作り宝石を中にはめる窪みを作った。その中に半分にした七属性の魔石を錬成によって丸めピッタリとつける。
端にサーシャとローマ字で書き鑑定眼を使用してできたものを見る。
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七属性のネックレス
作ったものの気持ちが込められている。全状態異常無効、魔法ダメージを軽減する効果を持つ。
またこの魔法具はサーシャのみが使用可能。
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大丈夫だ。きちんと出来ている。
「サーシャ、これを付けてもらっていいか」
サーシャの驚いた顔を見ていたが反応は薄い。なのでサーシャの首に無理やりかけてやる。
「それはサーシャ専用の魔法具だ。全状態異常を無効し、魔法ダメージを軽減する。軽減がどこまでかはわからないが、まあ付けていてくれるとありがたいかな」
別に奴隷だからと絆されて作ったわけではない。そんなことで作っていたら金がいくらあっても足りないからな。
それでも専属メイドとして俺の所へ来たならなにか縁があったんだろう。二つ作れるなら万々歳だ。朝倉さんとサーシャの分を作れるし。
ただもう一個作れるなら作りたかったが。京香先生にも渡したかったし。まあそれでもサーシャをいくらか助けたいと思ったことは変わらない。
さっきと同じ要領で同じネックレスを作る。こっちは朝倉さん専用だ。せっかくのプレゼントを売られたら男として悲しいしな。
「ありがとうございます。……こんな国宝級のプレゼントを頂けるなんて」
いきなり抱きついてきたサーシャに顔を向けじっと見つめる。
「国宝級? そんな簡単なものがか?」
「使用者指定や七属性の魔石のようなレベルファイブと呼ばれる高難易度で作られた魔法具はそう呼ばれるのです。特にこのネックレスの能力は国宝級の中でも上位を行くと思います」
「いっいやそれでも気まぐれだから。それに俺にとっては簡単だったから黙ってくれればそれでいい」
サーシャはとても喜びながらネックレスに手をかける。細い指がネックレスに絡みつく様子はとても妖艶で艶かしい。
特に美少女がそんなことをしていたら視線を外すことすら難しくなる。
「どうしましたか?」
そんな気持ちを知らずにサーシャはこちらを見つめてくる。交差した視線は離れることなく続く。
「襲いたくなりましたか?」
不意にクスリと笑うサーシャは確かに可愛らしかったが、それでも理性が勝利した。
「いっいや、大丈夫だ。俺の専属メイドでよかったと思ってくれればいい。それにネックレスは聞かれたら俺が作ったとでも言っておけ。使用者指定の話だけして他の能力は言わないでおけばなんとかなる」
俺の声に首を振るサーシャからは先程までの妖艶さはなくなり可愛らしさだけが残った。
「今日は寝るから明日また来てくれればいいさ。早くても遅くてもどっちでもいい」
そう言って俺はベッドの中に入った。俺が寝付くまでサーシャが部屋から出て行った物音は聞こえないままで。
いやーまだまだ寒いのに、春眠暁を覚えず。
眠いですね(笑)
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