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1ー2ー16 リコと

少し雑な部分が多いです

時間があれば書き直しします

 油断をしていた。


 それ以外に出る言葉がないだろう。


 作戦会議も終え俺は部屋に戻って眠りについていた。それはまだ疲れが残っているからだったのだが、もちろん、仮眠で済ませるつもりだったのだ。


 寝落ちした、とかではない。

 ただ目を開けた時に左にリーナさん、右にリコがいただけだ。……寝る前にはいなかったはずだし連れ込んだわけでもない。別に手を出していないならそれでいい。


 さて、二人はこのままにしておいて作戦の道具でも作ろうか。あまり大きい音を立てないように、二人の安眠を妨げないように。


 リコの拘束を解くのに時間がかかったけど起こさずにベッドから降りることに成功。一回、んん、とか言っていた時は心臓が止まるかと思ったけどね。


 机の上に置かれた鉄類を持って錬金術を開始する。能力で定量生産が出来るんだけど今はそうしてはいられない。百近い道具を作るけど重要な所に置く道具は手作りにする予定だ。


 錬金術のレベルが高いと使える能力に【大量生産】と言うそのまんまの能力があるのだ。簡単に言えば作る過程を飛ばして素材を道具に変えるもの、だけど、デメリットもある。


 例えば防御力を上げる道具なら上昇値が半減、声を大きくする道具とかなら効力が半減だ。拡声器みたいなものは作られていないらしいからそれを作って売るのも手かな。教師とかが買ってくれるでしょ。


 まあ、それは置いておいて今は重要拠点に置く十二個分を先に手作りで作っておく。その後に大量生産で効果を薄くしたものを作成だ。……その前に鉄鉱石を純度の高い鉄に変えないと。


 これに関しては想像やシャノンに任せれば楽なので、先に道具のイメージを立てておく。素材は鉄といくつかの魔石。百キロ単位でようやく全部を賄えるから、これだけで作戦にかかる金の多さを伺える。


 まあ、これらを二時間程度で集めきったユラの精神力と行動力の高さも凄すぎるけど。後、この分の素材の金額と手間賃は蠱毒戦に勝てば報酬にプラスされる。だけど周囲への影響なしでとか制限もあるからめんどくさい。そんな制限がなかったら俺とネムル、ユラが攻めれば終了だからな。


 完成した鉄に効果を持たない魔石を少しだけ埋め込む。効果を持つというのは例えば属性を持つや、簡単なスキル効果を持つということだ。これで魔力を多めに使えば想像通りの効果を付けさせられる。


 何もオリジナルを作る時にだけ多く魔力を使うだけだ。大量生産の時にはそれだけ効果に見あった少ない魔力で済む。


 俺がいれるのは【増長】と【記憶】の効果。これはスキルとしてもレア度は低いからそんなに魔力を必要としない。でも二種類入れること自体、難しいことなのでその分魔力は消費してしまうけど。


 これでようやく一個だ。見た目は携帯の半分ほどの大きさで重くはない。六個目までは魔力を持たせることが出来たが、流石に七個目からは一本だけ魔力回復ポーションを喉に流し込んだ。


 本当に不味い。売られているものは買えないな。今度、味のある美味しいポーションでも売ってやろう。割と高く売れると思う。


 まあ、薬師ほどの効力の高いポーションは作れないけど。ポーション自体は錬金術で作れる。だけど調合という薬師専用のスキルほどの効力は発揮されない。その分、少ない魔力と手数を減らして作ることが可能なんだけどね。


 十二個目まで作成しきる。後は大量生産で増やし続けるだけ。


『シャノン、頼む』

『任せてください!』


 右手からいくつもの透明な糸が現れ何かを形成していく。数秒の時間をかけ悪魔でも召喚してしまいそうな魔法陣が作られ、そして、そこから大量の四角い箱が放出され始めた。


 重くはないため地面に落ちてもトスっと軽い音がするだけ。その分の素材もきちんと減り続けている。


『……全て完成しましたよ?』

『……この何もない空間から物が現れるという景色が新鮮だったんだ。久しぶりに異世界だっていうことを理解させられたよ』


 余った素材に手をかけシャノンと雑談をしながら作っていく。簡単な腕輪だ。この戦いに参加すると言ったんだから、ある程度は価値あるものを渡そうと思う。


「……どうしたです?」

「ああ、起こしちゃったか」


 静かに作っていたつもりだったけどリコを起こしてしまった。

 ベッドの上を這いながら俺の近くまで来て手に持つそれらを眺めている。


「これって?」

「これは拡声器っていう声を大きくする道具だよ。冒険者が戦うとなると凡庸な、いくつもの用途があるものを渡すといいだろ? これは戦いの際に声で驚かせたりすることも出来るからね」

「ふぅん、そうですか。お兄さんの頭の中は……よく分からないです……」


 胡座をかいていたためその中にすっぽりと収まり、また道具を見る。ちょうどいい位置に頭があるので撫でておいた。まあ、簡単なスキンシップだよね。


「……お兄さんは死にに行くですか?」

「なんでそう思う?」

「……分からないです。ただお兄さんとリコの命の考え方は違う気がするです。それにリコを助けに来た時だって、お兄さんは死ぬ気で戦っていた気がするです」


 そんなことを言うリコに俺は何も言い返せなかった。それもそうだ。俺には朱雀の加護があって一日に一度なら死んでも生き返れる。感じ方が違うのは当たり前だし、最悪、二度目に失敗しなければいいだけの話。そんな魂胆だった。


 だからこそ、リコのそれは俺の心を動揺させた。精神年齢や見た目は置いておいても、俺と近い歳の少女が見破ったから。俺がリコなら多分、分かってはいなかっただろう。


「……俺は死なないよ。少なくともリコ達の前からは消えない」


 一つだけ不思議なことがある。

 朱雀の加護は時を巻き戻す能力であって、この言葉に間違いはないのだ。それでも消えた記憶の中のリコの最後の思いはどうなるのか。時を巻き戻さなければ死んだ俺を見てリコはどう思うのか。


 俺はリコ達の前からは消えない。それは俺が死ななければいいだけとのことで、死んだ未来は朱雀の加護の力で強制的になくなってしまう。


 でも、もし、もしその続きがあればリコ達は俺を信用した挙句に……。


「……お母さんから聞いたです。そう言うならユビキリをしてもらいたいです」


 それは軽くない指切り。

 その言葉の元となった遊女と客との不変の思いと似たようなもの。それを受けられるだけの覚悟が俺にはあるか。


「……しないですか?」


 あるか? いや、ないと困る。

 俺がリコ達を助けた理由。それは仲間として近くにいてもらいたいから。そのためにリコを、俺は、指切りをする。


 指を切るだけの覚悟を持て。

 約束とは破るためにあると言った友達がいたが、そんなわけがないだろう。俺は最大限、死なないように動くだけ。協力してくれた人達は誰も殺させやしない。


「任せろ。俺は、俺達は死なないから」

「……それじゃあ、いいです」


 後でリーナさんにもしないといけないかもな。でも、俺のそんな考え方が悪い結果をもたらすなら、今、そんな未来を否定出来た気がする。


 停滞していた、気が付かない何かの歯車に油が刺さった気がする。俺が怖がっていたものは多分、仲間が消えていくこと。


 朝倉さんに謝るまでは、サーシャを撫でるまでは、アルと笑い会うまでは、先生に感謝を述べるまでは、リコやリーナさんと、そしてユラとシャノンと楽しく生きるまでは死ぬことなんて出来ないな。


「……なんで、そんなことを聞いたんだ? 言いたくないなら別だけど」

「……秘密です」


 大人っぽい笑みを浮かべるリコの頭を撫でながら大量生産を続け、そして腕輪型の拡声器を九個作りだした。ユラから聞いた人数分通りで間違いはないはず。……ネムルの分はいらないよね?


 一応、くまのぬいぐるみも点検しておいた。いつの間にか、イヨと名前が付けられていて驚いたが愛着をより強く持ってくれたことはとても嬉しい。ヨーヘイのヨとイから取ったと思うのは流石に自意識過剰かな?


 その後、全てを倉庫にしまってから眠りにつく。最後の最後までリーナさんが目を覚まさなくてよかったと思う。


 次の日、苦労することなく瞳を開けユラに配達を頼んでおいた。昨日作っておいた道具達を手渡すこと、そして至る所に置いてきてもらうことだ。記憶の部分もそれなりのものを入れておいたから、実質準備は万端。その事も伝えてもらうことになっている。


 未だ料理の緑の悪魔と戦うリコと、食べさせることを手伝うリーナさん。その二人の前の席に座って眺めていた。


 勇気を出さないといけない。


「あの……リーナさん? リコ?」

「……?」


 不思議そうな表情をうかべる二人をよそに、俺は大きく息を吸い込んだ。


「この後、時間ってないですか? 少しだけ話したいことがあるんです」

「別にいいですよ?」


 親子だからか、二人の声が揃う。

 それが何とも面白くて三人で笑った。


 リコの緑の悪魔を片付けさせるために俺が食べさせる。先ほどよりは早く消えていき何とかなくすことが出来た。


 キッチンに皿を置いていきリコと食堂の清掃をしていく。


「それで、どうかしましたか?」


 リコを膝の上にリーナさんを前にして話を始める。ここからが正念場、かな。

次回か、その次からようやく戦いかと。

少し引き伸ばし気味ですのでタンタンと進めていきます。それにしても街に来てすぐにこれは展開早すぎますかね……。


次回も二週間以内の投稿を頑張ります。


興味があればブックマークや評価よろしくお願いします。

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