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1ー2ー8 ギルド

書けました。

まだ止まれない、止まれないんだよ……。

「やっぱりこいつが転生者か」


 ゴブリンジェネラルの遺体を見ながら少しだけ考え事をする。鑑定眼で【トルーク】と書かれていて称号の所に元王子とあった。案外王国の王族だったりしてな。ファーストネームがないけど。


 ぶっちゃけた話、こいつだけは強かった。それこそ結界に一瞬だけ揺らぎが起こるほど魔力を消費したし、ダーインスレイヴにもかすかに傷がついている。


『彼は小国ウォータの第三皇子であったようです。ですが権力争いに負けて暗殺者に命を奪われたようですね』


 そんなものか。それにしても王族とか貴族ってやっぱり怖いな。絶対になりたくない。


 そういえば転生者を初めて見たけどよく起きることなのだろうか。そこんところ、シャノンどうなんだろう?


『よく起きることではありません。そもそも彼が死ぬのは予定にはなかったことみたいですね。神の介入のために辻褄合わせのために転生させられたのではないでしょうか。それにしても記憶の中にあるこの女性は一体……』


 どうやらシャノンにも分からないことがあるみたいだ。


『すみません、知識として手に入ることしか知らないのです。人に関しては運命すら壊してしまう方がいるので宛になりませんし』

『大丈夫だよ。シャノンにはお世話になっているから』


 というかなるほど。この世界の道具作成とかで知らないことはないが、人に関わることは分からないみたいだな。でもリーナさんに関しては分かっていたみたいだけど。


 シャノンいわく、『二人は少し特殊な立場ですので』だそうだ。よく分からないが何かあるのは確定だろうな。それが俺ならば大丈夫とかに関係があるとか?


 流石にそれはなさそうだ。俺にそこまでの価値はない。一日一歩、着実に進むことしか出来ない凡人だからな。


 それとだがこのジェネラルに白虎をかけてみたが何故か成功した。というか多分、制約としては元人間とかそういうのがあるのかもしれない。


 千六百近いステータスと呪殺魔法という少し怖い魔法も手に入れてしまった。シャノンが言うには人間で手に入れたのは初めてらしい。あまり嬉しくないが。


 それに加えてレベルも上がったから受けた甲斐があっただろう。でも何と返せばいいかな。さすがに俺がジェネラルを倒したとなれば騒がれるのは確実だし。


『ユラを呼べばいいのでは? 近場にいるので連絡を入れれば返信をするはずです』

『いや、いっつも時間が経ってから返信してくるだろ。なんかやってるんじゃないのか?』


 俺の目の前でため息をつくシャノン。


 少しだけ腹が立つ。分かったから鼻先をつんつん突っつくのはやめて欲しい。


『分かってませんね。ユラはツンデレなのですよ。元の世界で好きな人とのメールでどのように返せばいいか分からない、そのせいで時間がかかってしまった。それに似たようなものです。違いは異性としてではなく、忠誠を誓う大切な主のためにといったところですかね』


 そういうものか。よく分からないけど、あれだ。俺で言うところの返信がめんどくさくて時間がかかるのと似たようなものだ。


『それは些か違いますけど、まあ、納得したならいいでしょう』


 とりあえずその通りにしてみると、なるほど、本当にすぐに返信が来た。返答は『十分ほど待っていてくれ』とのことだが、丁度いい。


 それだけの時間があればコロニーは潰せるはずだ。さて、残党狩りでもしますか。結界が一度揺らいだとはいえ破壊出来るだけのステータスを持つ者はいない。だから逃げたゴブリンはいないだろうから安心だ。


 帰ったらユラ用にジェネラルが使っていた魔剣を強化するか。一度仕組みが分かれば属性剣も作れそうだし。そういえば炎の剣という名前なのにジェネラルは炎を使わなかったな。一度、倉庫から魔剣を取り出す。


『それは相性の問題ですね。彼の相性は呪殺一筋でしたので魔剣でさえ、他の属性を操ることが出来なかったようです。ただの剣よりは頑丈なのでその理由だけで使っていたのでしょう』


 魔剣の力を使わないで扱うなんて、どれだけ贅沢な奴なんだ、と思ったがよく考えれば俺もそう変わらないな。俺の場合いくらでも魔剣が作れるから余計タチが悪い。早く作って売ってスローライフしたいな。


 にしても鑑定眼は使えるな。なるほど、中に魔石を組み込んで魔力のネットワークを複雑化してしまえば、ただそこでやり方を違えると能力も……ほうほう。


『……頼みますから戻ってきてください』

『あっ、ごめん』


 とりあえずは炎の剣の切れ味を良くしないと、錬金。さすがにオリハルコンとかはないから強化は出来ないけど、ナイフを数本使えば改鋳は可能だ。うん、良くなった。


 再度しまいダーインスレイヴに手をかけた。さて、お仕事を始めようか。


 ユラが来るまでに殲滅を済ませ倉庫にしまう。本当に強くなったと思える。いや、ゴブリンが弱すぎただけかもしれないが、ここまで余裕を持ってジェネラルを倒せたのだから。


 一応はB級上位の力があるから負ける可能性もあったのだけど、まあ、その時はその時だ。現に勝てたのだし。


「ユラ、到着しました」

「お疲れ様。ってことでこれを宜しくね?」


 ジェネラルの素材を渡したら思いっきり眉間に皺を寄せて俺を見てきた。ああ、そういえば言ってなかったな。


「呼んだのはこれを運んで自分が倒したと言ってほしいんだ。俺が説明するから安心していい」

「……なんだ、その程度だったのか。てっきり俺は何かしてやられたから救援を求めてきたのかと」


 いやいや、そんなタマか? ユラが心配してきたことも驚きだし、今よりも強かったベルフェゴールを倒した俺がやられると思うのかな。最悪、限界突破で無理やりステータスを上げていく戦えばいいし。


『心配していたのはやられるとかではなく、強さについてバレたのか、ということみたいですね。だから登場時も誰かがいると仮定して騎士よりの言い方だったみたいです』

『なっ、そんなことはない! 主にもしもの事があればなど思っていない! ただ自分の立場的にだなーー』


 シャノンの言葉に長ったらしく言い訳をしている。飛び火しなければ別にいいや。


「それで、頼めるか?」

「……大丈夫です。私がゴブリンジェネラルを倒しました」

「そうだ、俺が泣きついてユラを動かした。ボスはユラが、雑魚は俺が倒した。それでいいね?」


 首を縦に振る。分かってくれて何よりだ。


 いやー依頼不達成とか嫌だし誰かに功績渡したくないしな。それならユラに渡した方が俺の得だ。


「それとユラの剣も作っておくから楽しみにしてくれ。出来れば鉱物が欲しいけど……」

「奇遇ですね。さっきまでアイアンゴーレムやアダマンゴーレムと戦っていたんですよ。防御メインのゴーレムならランク関係なしに経験値が多く貰えますからね」


 ユラは笑いながらそう言ってくれたが、シャノンから意訳されたのはこうだ。


『主が武器を作りたがっているのを感じていたので素材を集めてきました。経験値の共有がなされているので俺も主も強くなれます。頑張った俺を褒めてください』


 なんだろう。あの時のマッドサイエンティストのようなユラはもういないな。どちらかというとヤンデレ系の忠犬か。ちょっと忠義が行き過ぎて怖い。


 俺何も言ってないんだけど何で武器作りたいって知っていたの。ってかアダマンゴーレムって速度は遅いけど攻撃防御高水準のA級魔物じゃねえか。どうりでジェネラルを倒した後にレベル上がっておかしいなとは思ったよ。


 いや、待て。となれば俺が呼ぶ前まではアダマンゴーレムと戦っていたのか。トドメを指したのか。


『主のために、と思っていたら忠義という固有スキルを、そして貫通というスキルを得たようです。貫通は……固有スキルではないですけどユラ専用のスキルのようです』

『待て! 貫通ってことは防御無視か?』

『……忠義を使えば一分間のみステータスを三倍に出来ます。八百近い速度の三倍なので二千四百……そして、マスターへの忠誠はまだまだ上がっている途中です。これで進化でもしたら』


 恐ろしい。人を狂わせるのは色恋だけだと思ったが他にもあるようだ。えっ? ユラってそっち系ではないよな。お爺さんとやる考えはないぞ。


『……頑張ってください』

『いや、否定してよ!』


 もう俺はこういう系には関わらないことにした。いや、気に入っているとは言っていたけど、どこに忠義の要素があった? 見た目に引っ張られすぎでは。


 ツッコミ基質ではないのにツラツラと突っ込む言葉が多く出てくる。ダメだ、考えることをやめよう。考えれば考えるほどにユラへの対応が困る。


『魔物というのは両性でして若い女性としての体も』

『いや、いいです。俺にはサーシャがいるから』

『……私もいないとは、マスターは最低です』

『と言うか、俺の対応酷くねえか。シャノンの、あっすいません、シャノンさんの悪ふざけだからな』


 凄いな、もう上下関係が出来ているみたいだ。もちろん、シャノンが上で俺以外から呼び捨てされたくないのだと。ちょっとめんどくさい系の女子だな。


『そういうことは私のいない所で……』

『いや、無理じゃね。こうやって以心伝心のように心が繋がっているなら。……そっか、実体を持たせればこの苦痛から』

『そこは応援します。実体化している時なら距離や応答の是非で思考を見せなくて済むので』


 そう、だから俺はユラの考えは分からない。シャノンが何か言っているけど大概子供は何人かとか、ハーレムメンバーは誰かとかそういう系だ。


 俺のメインヒロインはサーシャだし娶るとするなら朝倉さんと先生だろ。……アルも好きでいてくれるなら一緒がいいけど。後はミラかな。


 あれ? 確かにハーレムだ。一夫多妻が認められていてもこれは多いな。


 うん、これも考えないでおこう。


 そんな幸せな念話を飛ばしながら街へと戻った。とりあえずユラにそういう気がなくて本当によかった。




 ◇◇◇




「それで……またこれだけの数を……」

「ボスはユラが倒してくれたので楽でした。後は格下のゴブリンソルジャーや、生産スキルに富んだゴブリンビルダーのような新種でしたしね」

「はは、それだけの数に囲まれたらD級でもやられる可能性があるんですけどね。それにアサシンに関しては気配察知系のスキルがなければ……やっぱり、マスターの考えは間違って」


 ああ、俺が思考に沈んでいる時ってこんな感じなんだろうな。小さく呟いていても聞こえてしまって申し訳なく思う。


 というよりもA級のパーティに本陣を任せたんだな。友好関係を結んでいる小国と、仲間が必要だった大国との関係性だったのかね。まあ、いいけど。


「大丈夫ですか?」


 リーシャの肩を掴んで目を見つめる。

 やばい、俺を見た瞬間に頬を染め始めてきた。


『マスターは綺麗な顔をしていますからね。少しやり方を変えないといけませんよ。ただでさえ、報酬の代わりに弁当を頼むような優しい人扱いなんですから』


 ぐうの音も出ない。俺の些細な行動でリーシャを苦しめていたのか。ボディタッチは必要不可欠だって誠也兄から学んだんだけどな。


 いや、よく思い出してみれば静にだけやれって言っていたな。どちらにせよ自粛しよう。


「大丈夫です。それで……やはりこれだけの成果を上げたのですから、ギルドマスターと話をしてもらいたいです。ユラ様の成果も、ヨーヘイ様の成果もランク違いです」

「それは構わないよ。ユラもいいよね?」


 大丈夫のようだ。明日の九時頃に来て欲しいとの事だけど、シャノンに任せればいいか。念話で相談も楽だろうし。


 楽観的に考えてお金を受け取る。ユラが「報酬は全て主に渡してほしい」と言ってしまったので俺に金額十三枚というおかしな報酬を貰った。主にジェネラルの討伐報酬らしい。


 ゴブリンジェネラルが金貨八枚。アダマンゴーレムとかジェネラルの皮とかは売っていない。つまりは肉だけで金貨八枚もの価値を叩き出している。


他はユラの討伐依頼であるストーンゴーレムが金貨一枚で三体分。後は端数をリーシャに渡してって感じだな。ユラもいいって言ったからいいんだろう。


 それにしても銀貨八枚ちょっとで飛び跳ねるほど喜ぶのか。どれだけ給料が低いんだろう。いや、よく考えてみれば何万円ものお金を貰ったと思えば確かに喜ぶよな。


 ユラを連れて外へ出る。さすがに大金を手に入れたことが周りに知れ渡ってしまえば絡まれる可能性は高まる。このお金は必要なことに使うのであって無駄遣いするためや、変ないざこざを起こすためのお金ではない。やる気ならば裏でやってやるけどな。


 宿屋に戻りベットに横たわる。シャノンとユラに夕飯時に起こすように頼み一眠りついた。


 浅い夢というのはすぐに覚めるもので、それでいて何を見ていたのかも記憶にない。少しだけ悲しい夢のような記憶があるけど。


「ああ、起きていたんですね。丁度リーナさんが主を呼ぶように言っていましたよ」

「了解。着替えてから行くから先に行っていてくれ」


 頭を下げて部屋を出ていくユラ。

 一応机の上に置いてある服が数枚なくなっていることから、ユラもきちんと使ってくれているようだ。今日は少し遅くまで起きているつもりだから今のうちに疲れがある程度取れてありがたい。


 いや、三時間程度なのに全然疲れがないな。確かに寝る前は疲労感を感じていたのだけれど。


『それはステータスのせいですね。人の回復速度は一分間で自己体力の一パーセントほどです。ただしステータスが上がればそのパーセンテージが、小数点でですが増えていきます。今のマスターなら2.96%ですね。それでいて私が体力よりも魔力の回復が早いことを見越して回復魔法を一点ずつにかけていますから』

『えっと、ありがとう。俺が寝てる時にも働いてくれているってことだろ?』


 シャノンは『スキルは疲れませんから』と胸を張る。でも一緒に寝てくれてもいいんだけどな。女子に働かせて俺はグータラなんてあんまり好まないし。


 ユラの後を追って食堂に向かう。先にリコが座っていて対面にはユラがいる。いや待て、なぜに俺の隣は両方とも空いているんだ。そしてユラの両隣の席はないし。


「お兄さーん、こっちなのです」

「はいはい」


 リコが自分の隣の席を叩いて俺を呼んでくる。ということはアレですよね。


「おはよう、よく眠れたかしら?」


 食事を運んできたリーナさんはリコの隣の隣、つまりは俺の隣の席に座った。さいですか……。

多分、次話が重要な話になるかと。


そして気が付きました。忙しくなったからこそ、現実逃避でついつい小説を書いてしまう自分がいることに。


次回は9月11日までには出します。今のところは三日間くらいで書きあげられるかと思います。


ブックマークや評価よろしくお願いします。

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