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1ー1ー2別にダンジョンに行っても構わ(ry

 前と同じく格闘場にアルはいた。少し戦闘訓練を行ったためかアルがすぐに気付くということはなかった。

「アル、おはよう」

「あっああ、おはよう。どうしたんだい」

「いえ、挨拶したくて。それにこれを渡したかったから」

 そう言って俺はベルセルクとアルに渡す指輪を取り出す。みんなに言ったように「他意はないけどね」と続けてからアルの篭手に手を付けた。

「アル、篭手の上からだけど後で直してくれよ」

 アルの左手の薬指にそれを付けベルセルクをアルの足元に置いた。キラキラと輝く指輪に目を取られているアルに少し愛らしさを感じた。もう少しで彼女たちといれなくなるなら尚のことだ。

「アル、お願いしたいことがあるんだ。二つだけ、片方はサーシャと朝倉さん、京香先生のことを頼みたいんだ。そしてもう一つは」

 俺はアルにしか聞こえないほどの小さな声で一言呟いた。それを聞いたアルは驚くがすぐに「わかった」と了承してくれた。

 俺は周りの人間に恵まれているのかもしれない。本当にこれからみんなの笑顔を見れなくなるかもしれないのが残念だ。

 俺は数分と経たずその場を後にして自室に戻った。部屋にはまだサーシャはいたのですぐに声をかける。

「はい、どうしました?」

「いや、サーシャのダンジョン同行の許可をとってきたんだ。だから俺の後ろを離れるなよ」

 笑いながら頬をかく。それを見ていたサーシャは少しはにかみながら「はい」と笑顔を見せた。

 いくらか話をして時間を潰して前回と同じ集合場所に二人で向かう。もちろん、俺の部屋に向かっていた朝倉さんは途中で拾っておいた。

 今回は早く来ていたため四番目くらいにその場に着いていた。サーシャは俺の後ろに待機していて朝倉さんは隣にいる。すぐにアルが来て他のものを待った。

 集合時間の二分前くらいだろうか、水木たちがやって来た。俺を見て「外れのくせに」と言う水木の肩に手を置き「雑魚勇者のくせに」と返した。

 それにブチ切れた水木は俺に向かってくるがアルは止めようとしない。丁度いい、ストレス発散だ。

 俺はダーインスレイヴを取り出し、剣の腹で叩き込む。一撃、高々一撃で水木は遠くまで吹っ飛んだ。それを見て一番に驚いたのは周りのクラスメイトだ。

 当たり前だろう、一番俺が弱いと思われていたのだから。水木の下にいれば安泰だからと体を許したのに、ここまでボロクソにやられたらどう思うのだろうな。

 そう考えれば少しはストレス発散になった。未だに気絶したままの水木を馬車に乗せアルの方を向く。うんうん、と頷いているので赤点回避といったところか。

 自分たちの班の馬車に乗り朝倉さんを隣に乗せる。三人横に並んで座れる広さなのでもう片方にはサーシャを座らせる。石井と京香先生は隣同士で座らず一人空白を開けたように座っていた。

 チラチラと朝倉さんを見る石井に対して朝倉さんは外の景色を眺めていた。前と同じように絡んでこないあたり俺のことを考えてなのだろう。

「朝倉さん、ってかシズ。空めっちゃ綺麗だぞ」

 頭を撫でながら空を指さす。元の世界でもここでも空は綺麗だ。こんな雄大な美しさの中に俺はいたかった。そこまで心が大きければ二人を祝福出来たかもしれないから。

 俺の方を見て嬉しそうにしている朝倉さんの頭を雑に扱い始める。「あーあー」と嬉しそうに唸る変態聖女を微笑ましげに見るサーシャと京香先生。

 今はこのままでいいのかもしれない。俺は悩む必要はない。本当に大切なことはみんなを守ること。だから、

「もし俺がいなくなったらここから出てくれよ。サーシャとアル、京香先生が手を貸してくれるから」

 俺は小声でそう朝倉さんに言った。真意を悟ってくれたのかこくりと頷き俺の手を愛おしそうに触る。

 俺は指輪を取り出し京香先生の方を向く。俺は小さな頃に何度か京香先生に助けられたんだ。だからこそ幸せになって欲しい。

「京香先生、これはあなたを守る道具なんだ。だからこそ、貰って欲しい」

 俺は指輪を渡す。朝倉さんとサーシャはこれみよがしに指輪を見せつけ京香先生を煽っているのかもしれない。当の本人は泣きそうな顔をしながらその指輪をとって右手の薬指に付けた。

「もしヨーヘイ君がいなくなったら私は泣くと思う。だからもう一度会いに来てこの指輪を左手の薬指に付け替えてほしい」

 恥ずかしげに笑う京香先生に「結婚とかの意味はないですけどね」と言いながら了承する。完全に蚊帳の外となった石井は悔しそうな顔をしながら俺を睨んでいた。

 そうして前回と同じく五時間程度でその場所には着いた。アルが先に前に出て皆が並ぶのを待つ。それを確認した後、剣を構えた。俺はダーインスレイヴを抜き天にそれを掲げた。

「アル、これで合ってるだろ」

 意地悪い笑みを浮かべアルにそう言うと「ああその通りさ」とだけ返した。

 前と同じようにはさせない。絶対にみんなを守ろうと俺は意気込みながら門番の所へ向かった。

少しずつストーリーが進んでいきます。ヨーヘイはアルに何を頼んだのでしょうか。乞うご期待。


これからもよろしくお願いします。出来ればブックマークや評価等もよろしくお願いします。


こちらも更新しました。

異世界最強武器はイヤホンのようです

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