テンプレートな有様
ステータスが書かれます。
彼らは一言二言ブツブツ呟きながらこちらに向かってくる。周りの人たちはまだ完全に理解しきってはおらず戸惑うものばかりだ。
俺はこの展開には確かに驚きはしたが戸惑うほどではない。どうせありきたりな小説の話でこの展開はおおいにある。そう思えば俺は主人公じゃないただのモブで十分。モブのままで産業的に幸せに死にたいね。
「こんにちは、勇者の皆様」
一人だけ色の違う白いローブを纏った男性が声を上げる。ちらっと見えた顔は皺だらけで優しげな雰囲気はない。しゃがれた声からはどうしても不気味さが漂っている。
明らかに悪意垂れ流しな笑顔を浮かべている。腹は立たないがそれでもこいつらに手を貸したいとは思わない。
悪意の矛先は殆どが朝倉さんに向いているのか。となれば朝倉さんを利用しようとしているのか。
後は水木か。そいつにも悪意、いわば利用しようという欲望が強く出てるな。
水木はどうでもいい。朝倉さんは助けたいな。
「ーーという訳でこの世界を救ってほしいのです」
「おい、何でそんな俺たちに得のないことを」
クラスのヤンキー、一之瀬辰巳がローブの人に噛み付いている。やばい、話を聞いていなかったな。
まあ、朝倉さんに聞けば教えてくれるかもしれないし最悪京香先生に聞けばいい。
「と言いましても、神の御加護で呼べただけで返す方法がないのです」
ローブの人は一瞬ニヤッと笑った。あっこの展開はわかるぞ。どうせ水木が、
「それならみんなで地球に戻るために魔王を倒そう」
やっぱりか。魔王討伐と言いながら戦争の道具にされるのが落ちだと俺は思う。悪ければ奴隷制度はあるかわからないがそれにされるかもしれないな。
それならばいくらか情報を得たらここを出よう。
「ありがとうございます。それではこれから皆様にステータスカードをお渡しします。そちらから皆様に説明をさせていただきますね」
見た感じは平身低頭なのだがどうも気な臭さは抜けないようだ。配られたカードを手に持つと一番上に自分の名前が現れていく。
いくつかの数字が現れカードは全て埋まった。
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カナクラヨウヘイ
職業 召喚士
レベル 1
体力 10
物攻 10
物防 10
魔攻 10
魔防 10
俊敏 10
幸運 200
固有スキル 召喚、四聖獣の加護(白虎)
スキル
称号 異世界人、四聖獣の加護
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ゲームの画面のようなそれをいくらかタップしてみる。簡易的な説明が書かれておりそこからいくらかのことはわかった。攻撃から受けるダメージや与えるダメージを強くするためにはステータスが高くなくてはいけないことも。
そんな時、あのローブの人が話を始めた。
「皆様にカードが行き渡ったと思います。知りたいものも多そうなので歴代勇者の平均をお教えしますね。全ステータスが五十が平均です。それ以下は俗に言う外れ勇者と言われるでしょう」
明らかにあのローブの人は俺を見て笑った。
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