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>守れるものなら、守りたかった。傲慢な後悔だと理解はしている。

>守れるものなら、守りたかった。傲慢な後悔だと理解はしている。



 たぶん、この言葉は

「誰も彼もを護れると思うのは傲慢」という考え方が元にあるのでしょうが


 言葉の使い方がどうという話でなく

エピソードテーマとしての話なんですが


この使い方はここではどうでしょう?



それというのも

「誰も彼もを護れると思うのは傲慢」という考え方は


竜騎士が平民に対していたような「人を人とも思わない傲慢」と

「皆に悲惨な死が訪れる事のないように護ろうとする理想」


 その二つの考え方を


欧米の聖書宗教的文化の

「神ではない無力で愚かな人間には僭越」

という考え方で一括りに「傲慢」としているからです


実世界において「神のごとき傲慢に陥れるのは権力者や権威主義階級社会を望む者」だけなので


傲慢になりたくないという主人公の在り方としての台詞なんでしょうが


その二つの考え方を一緒くたにする誤魔化しが


「民主主義の理想自体が傲慢」という意味を広め


「相対的に誰も彼もが傲慢なのだから権力が傲慢で当然」

という開き直りの正当化として使われる源になっています


これは


世の中は暴力で動いていて

「理想とは決して届かない遠くにあるものでしかない」という理屈で


世の中は共存で動いていて、「自分達の生活を支える共存の考え方が理想」

という理を捻じ曲げるのと同じ類の誤魔化しです


そういった誤魔化しが


「皆が少しでもましで悲惨なめにあわないように願い努力する」

という主人公が大切にしている想いを

「傲慢」の一言で切り捨てるような


「本当の意味での傲慢」で踏みにじっているように思えて


「傲慢な後悔」に違和感を覚えてしまいました


この類の誤魔化しは、時に誤解を招き

不特定多数の人間に広まる事で


まるで暗示のように道理を知らない子供達を蝕んでいく怖れがあると


古くは「残虐なテレビ番組」や「物を粗末にする使い捨て文化」に対して警鐘として抗議が寄せられたりしていましたが


「頭の固い時代遅れ」とか

「生真面目に生きるのは格好悪い」とか

「流行じゃない生き方は滅びる」とか


その類の思考誘導がマスコミで行われ、徐々に影響力を失っていったように思えます


「時代の流れとは権力者の意向」で

「不真面目さは愚民化政策」で

「流行とはマインドコントロール」である


という観方をするなら

その類の思考誘導の本質が見えてくる気がします


話を戻すと


主人公は傲慢な自分を後悔しているのではなく

叶えられなかった理想に歯噛みしているのだから



守れるものなら、守りたかった。これは傲慢なのだろうか?


とか


守れるものなら、守りたかった。そんな些細な理想もこの世界では傲慢と断じられてしまうのは理解している


とか

のほうがエピソードテーマとしては似合った表現だと感じてしまいました


まあ、前述の「その類の誤魔化し」自体がメインテーマで

後で主人公が「聖書宗教カルト」の手法と対決する展開が待っているなら


この表現というか主人公の考え方自体が伏線なのでしょうが……





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