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>ハッピーエンドとなりました(日本人限定)。


 「●●●因子」というSF的生物要素を持つ宇宙人が、ばら撒いたウィルスナノマシン。


 遺伝子情報や個人の思考を読んで、「日本という国家利権」にとって不利益な人間を抹殺するウィルスナノマシンを人類に感染させた結果、「日本人以外は滅び、日本人が●●●因子を持つようになりました」というストーリー展開。


 それらが示すのは、「唯一神に逆らう者は滅ぼせ」という「聖書宗教の十字軍や聖戦」やオウム真理教などの排他的宗教の狂気。


 あるいはナチズムなどの「民族浄化思想」や、フランス革命などの新権力による旧勢力の暴力的排除の狂気。


 そういう「他を排除するカルト思考」によって全体主義が暴走した結果を示しているのでしょうね。



 「日本人という括り」をどう解釈するかにもよりますが

「●●●因子」という存在を基準に考えれば「●●●因子を増やすための家畜」が日本人という括りになった世界がこの物語の結末です。



昨今では


明治に創られた「日本という国家概念」から生まれた国家思想を基とした呼称である「日本人」などのような括り。


 日本人、アメリカ人、中国人、朝鮮人、ロシア人、そして宇宙人。


 そういう「~人」という類の括り。


 自然科学的には意味がなく、人文科学の文化人類学としても意味の薄い「共同幻想」の括りを、信仰している者が、また増えているようです。


 そういう括りを「唯一絶対の神の如き権威」として争い合った末に、「宇宙人の唯一絶対の●●●因子で、旧人類の文化は滅びました、めでたしめでたし」と考えるのは無理がある。


 

 なので、現実の過去や未来の「日本列島」に住むモンゴロイドや「この邦の文化」を愛する者にとっても、この物語は、やはりバッドエンド。



 

 つまり、この場合、他の人類と文化が滅びて「ハッピーエンドとなりました(日本人限定)」というのは、「全体主義の狂気」に対する皮肉なのでしょうね。




 本来、国家とは単なる利権保護のための集団でしかないので

「血統主義と権威主義の暴力」によって利権を奪い合う「国家という枠組み」は、人類全体にとっては大した意味はない概念です。


 また

「思いやり」という相手を別の個性と認めて敬意をもって「自分の考え以外の未来の可能性」を否定せずに、共存を望む協調姿勢と


「空気を読む」という相手の意思を察知し、同調意識を創り出し、他の可能性を排除する同調圧力という暴力を望む姿勢。


 その二つは、似たようでいて、逆のベクトルを持つ在り方で、前者が共存原理の「和の文化」だとするなら後者は暴力原理の「全体主義」です。



 蜂や蟻を思わせる虫のような宇宙人が持つ「●●●因子」は、統一的志向以外を排除する「唯一絶対」なので、人間にそれが感染してしまった未来は、人類の可能性を全て失って唯一に絞った袋小路。


 そういう意味で、狭い視野で未来を滅びに導く「全体主義の狂気」を思わせます。


 他の可能性の全てを排除する事で行き着く先が、「●●●因子に統制された虫の世界」という未来を心の底から歓迎する者は、もはやヒューマニズムを否定するどころか、●●●因子に従属するだけの存在で、「人類」ではないので、やはりこの物語の根幹は「人間否定のホラー」。


 ●●●因子を「帝國」という中世の国家形態の根幹である「権威主義の象徴」と考えたなら


この物語は、やはり、「血統と権威という在り方」は人間を否定するというテーマを持った「火葬戦記の皮を被ったSFホラー」なのでしょう。


実に興味深い物語でした^^




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