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大型連休

性転換手術、ホルモン治療で美女になった友人を目の前にしたら、かなり戸惑うでしょうね。

そんな雄二の葛藤の一日です。

雄二です。


菅野家、島田家合同の食事会という名の宴会が終わり、

今は久々に自分の部屋でくつろいでいる。


高校時代のまま、両親が残している部屋。

やっぱり落ち着くなあ。

ゆったりした気分になる。


それにしても、彼女いない歴=年齢の俺。

ちょっと恥ずかしいけど、それが現実だ。

そろそろ、彼女を本気で作りたいなと焦っている。


ところで、今までどうだったかというと・・・

大学時代や社会人でけっこうきれいな女性、可愛い女性とは知り合った。

かなり積極的に行動して、口説こうとしたり、交際に持ち込もうと努力した。


でも、だめだった。

うまくいったとしても、単なる会食というデートをするのがやっと。


食事でもしませんか?と言うと

食事くらいならと付き合ってくれるケースは多かったのだ。

でも、その先は進展がないケースがほとんど。

辛い思いを何度もした。


そもそも可愛い女性だと彼氏がいるケースが5割くらいあった。


彼氏がいなくても、好きな人がいるとか、

申し訳ないけど、ちょっと…

とか言われてうまく断られる。


たまに、ノリのいい女の子に思わせぶりな態度をとられ、喜んでしまい、

いっぱいごちそうしたり、プレゼントを贈ったりしたら、

そんな気はなかったと言われたことも何回もあった。


振られたのは俺なのに、断る女の子の方がガンガン泣くこともあった。


理不尽である。


まあ、モテる女はズルい。


こういう話をすると、お前はよっぽろブ男なんだろう、モテない男なんだろう、と言われそうだが、

そうでもない(と思う)。

まあ、イケメンではないが、身長175センチで、顔もそれほど悪くはない。

よく中の上と言われる。

今までの人生で、俺を好きだと言ってくれる女性はけっこういたのだ

(残念ながら好みではないタイプばかりではある)。


ただ、性格的に女性と話をするのが上手くない。

優しいとは言われるが、モテる女の子を喜ばせるほどの話術を持っていない。

気も弱い。女の子の本音を探ることができない。


それなのに、いつも最上級の可愛い女の子に惚れて、アタックしてしまう。


まあ、高望みをするからいけないんだ、好みじゃない女の子にも目を向けろと友人や同僚に

言われたんだけど、恋愛である以上、自分が気に入らないと気持ちが動かないから、

好きでもない女性と付き合うことはしない。


こんな俺は、恋愛できないのかな?

焦ると同時にそんな不安も持ち始めたこの頃だ。



それにしてもだ・・・


葵との再会は衝撃的であった。

何せ、男の友達が女の子になっちゃっているんだから、天地がひっくり返るようなものだ。


家族の集まりでは、

うちの家族も、葵の家族も俺と葵をくっつけようとしてきたのには参った。


みんな、おかしい。なんで、ニューハーフの葵を俺に勧めるんだ?

ありえないだろ?


確かに、葵はその辺の本物の女性より全然美しく、可愛く、スタイルがよくて、

葵も、俺と一緒にいると嬉しそうで、その姿が可愛かった。


でも、元男性で、友達だ。


恋愛感情なんか湧くわけないし、結婚?なんてありえないんじゃないか?


戸籍は問題ないから、法的に結婚は可能だけどさ。


まあ、2家族の全員が賛成なら、家族間のトラブルもないし、うまくいく可能性が高いけど・・・


あっ!いかんいかん、俺は普通の恋愛がしたいんだ!

葵には悪いけど・・・


どんなに可愛くても葵は俺にとっては男だ。


仲良くするのは問題ない。

悩みも聴こう。


でも、恋愛感情は持つわけがない!


可愛いけど…


俺が今までアタックした全ての女性より

可愛い!

矛盾だ。

ああ、あいつが本物の女だったらなあ!


そんなことを考えてながらベッドの上で悶々としていると、ノックがあった。


「お兄ちゃん、今、いいかな?」


妹の翼だった。


「お、いいぞ。何だ?」


「明日、私の車貸すからさ、葵さん誘って

デートしてきなよ。

今日もデートみたいなもんだったかもしれないけど、時間が短かったし、

相手のことよくわからなかったから、

中途半端だったでしょ?

明日は朝からちゃんとデートしてきてね。

葵さんには後からお兄ちゃんより電話が行きますってメールしといた。

よろしくね。」


「おい、デートって言うな!

あいつは俺にとって男の友達だ。」


「わかった。

じゃあ言い直すね。

旧交を温めてきてよ。」


「おお、それならいいか。

ありがとな。

電話するよ。」


俺は妹のセッティングにケチをつけたが、

ちょっと嬉しかった。

葵は何だかんだ言って美人だ。


一緒 に歩くのは楽しい。


「あ、お兄ちゃん、言い忘れた。

葵さん、男の人とデートしたことないみたいだから、ちゃんとエスコートしてね!」


俺は、

だからデートって言うな!

と言おうとしたが、その前にドアは素早く閉められた。


「エスコートって何だ?

男の友達なんだ。気を使うことないだろう?」

と呟く俺だったが、ウキウキしながら

教えてもらったばかりの葵の

スマホに電話番号に発信した。


3コールほど鳴らすと葵が出た。


「はい、葵です。」


やべえ、

声が可愛い!



「あのさ、久々にあったから明日ドライブしながら昔話でもしねえか?

朝から出発してさ。」


「えっ?

デートのお誘い?

うそっ?

翼ちゃんが、

お兄ちゃんからいい知らせがあるよって

言ってたけど、

嘘みたい。

もちろん、お付き合いします。

よろしくね!」


妙に明るい声だ。

おどけた口調にからかわれている感じがするが、

そこが普通の男女とは違う近い距離感を感じて、怒る気はしない。


おいおいデートじゃねえぞ!

とつっこみを入れたくもなる。

まあ、そこは大人気ないと考えてやめた。


まさか、俺のことを好きになったんじゃないだろうな?とも一瞬思った。

でも、やはり、葵の口調は軽くて、ふざけてる感じだ。

うーん、単に昔話で盛り上がりたいだけだろうなあ。


8時に迎えに行くから用意してくれといって

電話を切った。


8時はちょっと早いかなと思いはしたが大型連休中だ、遅く出たら、渋滞に巻き込まれる。

いいだろうと俺は思う。


そして、俺は早速、デートコースをネットで調べ始めた。

何故か、ドキドキしている。


ネットをしばらく見て俺は決めた。


よし、八景シーパラにしよう!

あそこは、水族館もアトラクションもある。


いつか彼女が出来たら行ってみようと

思っていたデートスポットだ。


考えてみたら、俺もまともにデートしたことないな。


一応、葵は女性の肉体と戸籍を持っているし、女性として長く暮らしている。

失礼なことはできない。


よし、デートマナーも勉強しておくか?


俺は再びネットを検索するのだった。

困ったことになったなあ~と思いながらも、ウキウキする雄二。デートじゃないと言いながらも、デートの研究をするところは、彼のうぶな感情を示していると思います。

お似合いの二人だと思うのですが、雄二には今のところ普通の女性と付き合いたいという希望があります。

そして葵はそんな雄二の心がわかります。

どうなるのでしょうか?


次回は次の土曜か、その翌日の日曜に更新します。

よろしくです。

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