鬼さんこちら [夏のホラー2017]
夏のホラーに応募しようと思い。三時間かけて書いた後にさんか表明が期限切れになっていた事に気づきました。
人生2作目なので生暖かい目で読んでください。
一応ホラーです。
都会の夏は暑い!何でこんなに暑いのか!
クーラーが故障したサウナ状態の室内で仕事中ずっと涼しくなる方法を考えている。
高梨健治35歳彼女無し。会社にはまだ言ってないが家も無しっ!
家賃をあり得ないくらい溜め込んで先週大屋さんに出て行けと言われた。
今は、会社から2駅の漫画喫茶に寝泊まりしている。
まぁ、自分で言うのもなんだけどダメサラリーマンてヤツだね。
お酒だけは辞められないよ。お酒だけはよ~。
後、二時間で17時!今日は定時で帰れる!よっしゃ!
漫画喫茶は24時間クーラーきいてるから最高だぜ!!
???「高梨さ~ん、ちょっと良いですか~?」
ん?あっ!新人の真希ちゃんだ!
高梨「よ~真希ちゃん!ど~したの?」
真希「高梨さん、この書類のチェックお願い出来ますか?」
高梨「ああ、これはね~」
ん?何かメモ用紙が挟まってる。こ、これは!!!
(明日の日曜日空いてますか?明日18時に遊園地に行きませんか?)
おおっ!!!マジで!?マジで!?真希ちゃんマジで!?
12回断られてついについに!?13回目でOKかよ~!!!
やっぱり諦めたらそこで試合終了なんだよ!諦めなかった結果が試合開始なんだよ!!
いかんいかん。coolに行こうぜ。
真希ちゃんは10も年が若いんだから、俺は大人の男を演じてやるぜ!
俺は真希ちゃんに軽くウインクをしてみせた。
真希ちゃんは恥ずかしいのか目をそらせて部屋を出ていった。
大人の魅力に参っちまったのか、可愛いヤツだぜ。
書類は俺が適当にチェックしとくぜ!!!
じっちゃんの名にかけて!!!
ふ~、ノロノロ仕事して残業代ゲットだぜっ!もとい飲み代ゲットだぜっ!
課長は真剣な眼差しで俺を見守っている!眼光が鋭い!これは期待されている!
ついに俺も平社員から卒業ですか?昇進ですか?
少し前まではメチャクチャ怒鳴られてたけど、最近は静かに見守るスタイルにチェンジしたからな。
俺やりますよ!ここまで育て上げてくれたあなたに恩返しします!
おっ。そろそろ終わりにして帰るか。
明日は真希ちゃんとデートだ!あんまり金無いけど楽しみだ。
俺デートした事無いけど最悪真希ちゃんに借りよっと。
真希ちゃん優しいからなんとかなるっしょ!
そんなこんなで日曜日。
夏とはいえやっぱり少し夕日が沈んでいるな。しかし、なぜ18時集合なんだ?少し遅くないか?ひっかかるぜ!中2の夏からミステリー好きになった俺には妙にひっかかるぜ!
実に面白い!
はっ!ま、まさか!?ま、真希ちゃん、君はむしろ夜をメインに考えているのかい?
それだったら合点が行く!
俺は、待ち合わせ時間に遅れそうになりそうだったので、走ってたまに歩きながら、約束の場所に着いた。
やはり、20分遅れた。
ラストスパートで歩いたのがひびいたか。
真希ちゃんは先に着いていた。
高梨「まった?」
真希「少しだけ」
なんだ少しだけか。なら良かった。
高梨「じゃあ行こうか!」
真希「はい」
遊園地なんて初めてだから何から回ればいいんだ?
高梨「真希ちゃん、行きたいアトラクションある?」
真希ちゃんが見たこともない笑顔で「ミラーハウス!!!」と言った。
なるほどちょっと面白そうだ。
高梨「よし!行こう」
ミラーハウスに入ってみる。
なるほど、凄くヒンヤリしていて気持ちが良い!ミラーハウスを選んで正解だった。
しかし、鏡張りって何か変な感じがするな。
「きゃはははは!きゃは!」
こんな時間なのに子供が騒いでいて賑やかだな。
まだまだ閉園時間に余裕があるんだな。
「鬼さんこちら、鬼さんこちら」
鬼さんこちらか子供のころを思い出すぜ。
高梨「真希ちゃんは若いけど鬼さんこちらって知ってる?」
真希「?」キョトンとした顔でこちらを見る真希ちゃん。
暫くして。
真希「いきなりど~したんですか?」
高梨「いや、子供がさっきから鬼さんこちらって言ってるでしょ?それ聞いてちょっとね」
真希「は?子供の声なんてしませんよ?」
え?いやいやいや、今も聞こえているよ。
「鬼さんこちら鬼さんこちら」
あれ、確か鬼さんこちらの続きなんだっけ?
スマホで検索してみる、(鬼さんこちらてのなるほうへ)
そっか、てのなるほうへだ。
あれ、何で前半部分しか復唱しないんだろ。
あれ?真希ちゃんがいない!?
真希ちゃん!?真希ちゃん!!?
避けんでも応答がない。
段々子供の声が近づいてきた!なんかヤバい??さすがにヤバい!?
coolになれ健治!幽霊なんているわけないんだ!!!迷路みたいで少し迷うかも知れないが俺なら行ける!!!俺に不可能は無い!!!!
走る俺!!!そして疲れてたまに歩くおれ。
学生時代100メートルを18秒フラットで走り抜けた俺は俊足を飛ばした!否みにライトで8番だった!
クソッ!謎の声の主もなかなか速い!15メートル先でまた「鬼さん、、こ、、よ」
あれ?さっきと何か変わった?
ヤバい!!!も~歩いてる場合じゃない!!!
目の前には光!出口だ!転がりながらも外に出られた!
いつの間にか、辺りは真っ暗で子供の声も聞こえなくなっていた。
高梨「ハァハァ、た、助かった」
しかし真希ちゃんどこに行ったんだろう。
会社の同僚から無理やり、真希ちゃん本人には内緒の条件で聞いた番号に電話してみる。
真希「もしもし」高梨「あっ。真希ちゃん?大丈夫?」
真希「はい?どなた?」
高梨「いや、俺だよ俺俺!」
真希「詐欺!?」高梨「いやなんでだよ!?高梨だよ!」
真希「高梨さん?なんで私の番号知ってるんですか!?」
高梨「そんな事より何で待っててくれなかったの?先に行っちゃうなんてあり得ないでしょ?クズだよ?」
真希「は?なにか約束してましたっけ?」話が今一つ噛み合わない。
高梨「あー、もういいや!ところで遊園地から出ちゃった?」
真希「遊園地?何ですかそれ?」
???高梨「いやいや、今日遊園地一緒に来たでしょ」
真希「?何で私が高梨さんと遊園地行くんですか?」
高梨「昨日会社でメモ用紙に遊園地に行こうってコッソリ渡してくれたじゃないか」
真希「変な事言わないでくださいよ!だいたい私祖母のお葬式で一週間実家に帰っているじゃないですか?」
え?な、なんだって?ふらふらとしながら遊園地を後にする。
振り返ると真っ暗なボロボロな遊園地でボンヤリミラーハウスだけが建っていた。そこに子供のような小さな影がゆらゆら動いている。気味が悪くなり漫画喫茶への道を急いだ。
流石に色々ありすぎて考えてしまう。
冷たいコーヒーを飲みながら1日を考えた。
あの真希ちゃんは何者だったのか?人?じゃないよなやっぱり。
そんなとき、真希ちゃんから着信が入った「高梨さん今大丈夫ですか?」真剣な声だった。
高梨「ああ大丈夫だよ」
真希「さっき遊園地って言ってましたけどN町の潰れた遊園地に行ったんじゃないですか?」
高梨「ああ、そうみたいだね」
真希「あそこある事件がきっかけで潰れたって話があって」
高梨「事件?」
真希「はい、ミラーハウスがあるんですけど、そこで5歳の男の子が殺されたんですって」
高梨「マジかよ!殺人事件」
真希「ええ、怖いですよね。何でも実の兄が犯人て話で当時かなりニュースになったみたいですよ」
真希「その辺の話で詳しく話したいので今から会えませんか?」
高梨「ああ良いよ」
真希「良かった!今どこにいます?」
高梨「○○駅の東口の近くの漫喫」
真希「わかりました。直ぐに行きます」
電話が切れた。画面に留守電の文字。再生。
「ピー!録音されているメッセージは一件、です。」
「あ、もしもし、真希です。今日何だったんですか?変な電話したりして!明日課長に報告しますから!」プップップッ
え?これさっき真希ちゃんと通話中に入った留守録だろ!?
真希ちゃんとの電話中に真希ちゃんから留守電ってあり得ないだろ⁉
じゃあ今からこの部屋に来るやつ誰なんだよ⁉
あれ?また留守電入ってる。再生してみよう!
「お、お、お、に、にさ、、んこち、、よ」
「お、、に、い、さ、、んこちだよ」
鬼さんこちらじゃない!これお兄さんこっちだよって言ってないか!?
ヤバい!?ヤバい!?なんだよこれ!?
早く逃げなきゃ!!!
とりあえず財布だけもって店を出ようと思ったが財布が見つからない!キョロキョロ財布を探していると、肩に手をポンと叩く感触がした。
耳元で女の人の声「お兄さんこっちだよ?」と呼ばれ振り返るとニコニコした、でも目が笑ってない真希ちゃんソックリな女がいた。
そこで気を失ってしまった俺は次の日病院で目が覚めた。
あれは一体なんだったのか。
何日かして退院したおれは、直ぐに会社に辞表をだした。
ここにはこれ以上居たくない、これを期に地元に帰って一からやり直そう。とりあえず当分親の年金で食いつなごうと。
END