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ユウリと明2

次の日、朝から今日もみんなと練習する事と明さんの曲を楽しみにしながら胸一杯にして膨らませていたのだが、集まる時間前に、明さんから連絡があり、今日は明さんは来れなくなったみたいだ。

 理由は曲を考える事に専念したいからだと、明さんは「悪ぃ」と一言言っていた。

 何か残念に思ったが仕方がない。

 そんな日もあるだろうって。

 だから今日は仕方なく三人で練習することになった。

 エリちゃんと愛梨には悪いが、明さんがいないと何かつまらないと言う気持ちだった。

 その時私は知る由もなかったんだ。

 明さんの中で私が描いた歌詞のフレーズの一説である『見えない力』が動き出している事に。


 次の日も明さんは曲作りを一人で専念したいと言う昨日と同じ理由で練習は休んだ。

 私とエリちゃんは、明さんは曲作りに専念したいんだなとばかり語り合い、そう思っていた。

 その日の練習はそれなりに捗ったが、エリちゃんも愛梨も明さんがいない事に何か今一メリハリを感じられないと思っているのだろう。

 その夜、明さんに二日も会えなかった事に、切なさを感じていた。

 何となくホームページを見ると、PVを見てくれたファンの人たちがコメントに書き込みをしてくれている。

 コメントを送ってくれる人は初めてコメントをくれた涙さんも含めて全員で七人いる。

 内容は歌に共感しましたとかPV最高、今度いつライブをするのですか?とか私達の今後の活躍の意欲が増す内容のはずだったが、私個人は昨日今日、明さんに会えなかった事に残念に思う気持ちでファンの人には悪いがそういう気持ちにはあまりなれなかった。

 でもコメントをくれたファンの人達全員に返信のメールを送っておいた。

 内容的にはありがとうとか、今後も私達は全力で突っ走るとか、またライブするからねとか、一人一人のコメントの内容に合わせてそれに答えた。

 すると何だろう?ちょっと明さんがいない気持ちでブルーだったが、やる気に満ちた気持ちになり、何かやろうと思って、涙さんの事で描いていた歌詞の続きを書こうとノートを広げ、ペンを構えて、涙さんとのメールのやりとりの内容を想像して描いた。

 気がつけば、時計は十二時を示していて、今日の所はこれぐらいにしようと思って、続きはまた明日にすることにした。

 眠ろうと思って、部屋を見渡し、愛梨がいない事に気がついた。

「愛梨」

 と呼んだが返事はなかった。

 どこに行ったのだろうと思って、窓から庭を見渡すと、愛梨はいた。

「愛梨、もう遅いから寝よう」

 と窓から身を乗り出して、愛梨に言いかける。

「ああ」

 と返事をして、部屋に戻ってきた。

 それで愛梨は少し思い詰めた表情をして私に言う。

「ユウリ、気をつけた方が良いかもしれない」

「はぁ?何を?」

「何かわからないけど、嫌な予感がする」

「また何を言っているの?」

 不快に思い私は顔をしかめる。

「何か明が心配なんだ」

「明さんが?」

「とにかく今日の所は寝よう」

 愛梨はそういってベットに横たわった。

 私もその横に並んで目を閉じて、考えてしまう。

 愛梨が言っていた明さんが心配って言っていたけど、何が心配なのだろう?

 明さんはこの二日曲作りに専念したいから練習には来れなかった。

 それとも何か合って、曲に専念したいからと言うのは、また私達に心配させたくないと言う理由で言った嘘何じゃないかと思って私まで心配になってくる。

 父親にまた何かされたのか?あの時、補導された時に会った想像するだけで恐ろしくなってくる織田に何かされたのか?

 心配の気持ちを膨らませると不安でいっぱいになる。

 でもそこで不安の気持ちをストップさせる事を思い出した。

 それは明さんはエリちゃんとともに約束した。

 自分でもどうしようもなくなった時、私や愛梨に相談すると。

 私はその事を信じるように自分に言い聞かせる。

 すると大分心配の気持ちは治まって来た。

 そうだよ。私たちは約束したんだ。

 何かあったら、私達に話すと。


 次の日、信じるとは思ったが、やはり明さんの事が心配だった。

 原因は昨日、愛梨があんな事を言ったからだ。

 私は心配でいつも明さんとエリちゃんが来る方角を一階の縁側に座りながら待っていた。

 今、十二時を示している。

 今のところ、私のスマホにはかかっていない。

 ここ二日明さんは来ていない。理由は曲作りだと言っていたが、もしかしたら何か私たちに言えない心配事を抱えているんじゃないか?でも明さんはもし何か合ったら私たちに相談すると。だから明さんを信じなきゃ。でも愛梨は言っていた。明さんの事で嫌な予感がすると。もしかしたらまた私たちに隠して新たな力でも得たのだろうか?直接本人に聞きたいが怖くて聞けない。だから明さんを信じなきゃ。でもここ二日明さんは来ていない。だからそれは曲作りに専念しているから・・・・・。

 深読みしすぎて、頭の中で明さんの事が心配でループしている事は分かっている。

 その心配のループから抜け出すのは、今日明さんの顔を見る事だった。

 もしかしたら今日も曲作りなんだとか言って、練習を休まれたら、また心配のループにはまってしまう。

 落ち着けと自分に言い聞かす。

 愛梨が何を感じたのか聞くのが手っ取り早いと思うが聞くのが怖い。

 何て考えていると私のスマホに着信が来た。

 画面を見てみると明さんからだった。

 もしかして今日も来れないのかと思って不安に思いながら出てみる。

「もしもし明さん?」

「ユウリ、悪ぃ。今日も曲に専念したいから休むわ」

 そうあっさりと言って切られてしまった。

 口調からして、別に様子は変だとは感じられなかった。

 でも何か心配だった。

 心配の原因は愛梨の昨日の『嫌な予感がする』と言う発言だ。

 その心配の念を解消させたいと思って、明さんのスマホに折り返し、かけたが出なかった。再度かけたが出なかった。

 明さんに対する心配は募るばかりで、心配のループにはまっていたら私自身が壊れてしまう。

 この心配を解消させるには、昨日『嫌な予感がする』と言って、私に心配の念をかき立てた愛梨に聞く事だが怖くて聞けない。

 そんな勇気がない自分に嫌気がさして、さらに悩んでしまい苛んでしまう。

 だから私は勇気を持って、覚悟を決めて愛梨に聞くことにする。

 愛梨は以前から何を感じたのか?恐ろしく怖いが、深呼吸して私の部屋で曲作りをしている愛梨の元へと行った。

 私の部屋の前で愛梨がこの部屋にいると思うと怖くて緊張してしまう。

 私は思いきって部屋に入り、愛梨の元へ。

「愛梨」

 と呼んで中に入ると、愛梨はベットに座ってギターを弾きながら曲を作っていた。

「どうしたユウリ」

「明さん今日も来ないって」

 すると愛梨は複雑そうな顔をしてその視線を逸らして、

「そうか」

 と言って、顎に拳を当てて考える仕草をする。

 そんな愛梨にいざ聞こうとすると怖くなるが、ここは勇気を振り絞って、

「愛梨、昨日明さんの事で嫌な予感がするって言ったけど、いったい何を感じたんだよ」

 愛梨はその赤い赤い瞳で私は見つめて私は息をのむ。   

 すると愛梨はその口を開き、

「分からないけど、何か私たちにユウリの歌詞のフレーズにあった『見えない力』って言う何か不穏な気配を風で感じる事が出来たんだ」

 それを聞いて横浜太郎の事を思い出す。

 そういえば、横浜太郎は未来を推理する力があった。それと同じかと思ったが、その力は経験を積みながら人間以上の年を取らなければいけない能力だと思い出して違うものだと思った。

 じゃあ、また愛梨の中でメモリーブラッドとはまた別に新たな能力が芽生えたのだろうか?

 そう思うと一瞬不安に思ったが、横浜太郎は言っていたが私が愛梨に対する思いが変わらなければ心配することはないと。

 だからもし新たな力が芽生えたら、それはそれで臨機応変に考えようと思っている。

 その話はそれまでで、愛梨が私達に差し迫っている『見えない力』と言う事に対して詳しく聞くことにする。それと私達に、その中の明さんにどう関わってくるのかって事を詳しく知りたい。

 はっきり言って私には何も感じられなかったが、昨日愛梨に、『明の事で何か嫌な予感がする』とか『ユウリも気をつけた方がいい』何て言われて、感化されるかのように明さんに対して心配の念にかられてしまった。

 その心配を晴らしたいあまり私は愛梨に詰問したが、愛梨は「分からないけど、とにかく気をつけた方が良いような気がする」と曖昧な感じの答えが返ってくるだけだった。

 頭がおかしくなりそうだった。

 私は立ち上がり外に出て明さんのうちへと向かう。

 後ろから愛梨に呼び止められたが、気にせず走った。

 明さんの家に向かう途中、エリちゃんに出会った。

「ユウリどうしたんだよ」

「明さんが心配で」

 そういって私はエリちゃんが来た道を走った。

「おい」

 とエリちゃんに声をかけられたが、そんな事を気にしている場合じゃないと思って走った。

 明さんの家には行った事ないが、携帯に住所が記されているため、それを頼りに行こうと思ったがその前に、明さんのスマホに連絡を入れたが、明さんは出ない。

 そこで念のため、明さんのGPSを確認してみると、明さんは方角的には家の方じゃない。

 どうして家にいないのか?心配が募り、とにかくGPSを頼りに明さんの元へと向かった。

 その場所は私も足を踏み入れた事がないとある港だった。

 どうして家にいないのか?どうしてこんなところに明さんのGPSが記されているのか?

 とにかく行った。

 港に到着して、港には今は使われていないと思われる船が何隻か、無造作にゴミのように散らばっている。

 人の気配は感じられない。

 何か怖くなって、呼吸が乱れてきたので深呼吸して落ち着いた。

 とにかく明さんのGPS機能を頼りに進むと、そこは外観がところところ錆はげている倉庫だった。

 そこで何だろう?何か感じる。

 それは誰かに見られてるような気配だ。

「誰」

 と思わず大声で叫ぶと、

「おい」

 と女性が大声で私に呼びかける声が聞こえてその方向に振り向くと、倉庫の二階にあたる窓から顔を出す明さんだった。

「明さん」

「何をしているんだユウリ」

『それはこっちの台詞』だと言う言葉を発する余裕も与えないかのように明さんはなぜか慌てているような感じだった。

 そんな明さんは「くっ」と吐き捨て、二階の窓から姿を消した。

「明さん。どこに行くの」

 そこでさっきも感じた何か誰かに見られている気配を感じた。

 私が怖くて身を縮めていると、明さんが、

「ユウリ」

 と叫びながら、私を庇うように飛びついて、倒れ込んだ。

 状況が全然つかめずに、

「明さん?」

 と、その思い切り閉じた目を開いて、私が身をすくめて立っていた場所を見ると、ボーガンのような矢が土のアスファルトに刺さっていた。

 私は殺されそうになった。

 その事実が私の頭に焼き付けられ恐ろしく怖くなり、声も出ないほどだった。そんな私に明さんは、

「行くぞ」

 と、その場から私を連れ共に逃げようとするが、私は怖くて足がすくんで走るどころか立つ事すらままならない。

 そんな私の状況を悟って、

「ったく」

 いらだちを露わにしながらも私を負ぶってくれた。

 私を背負いながら走る明さん。

 恐ろしく怖い状況だと分かっているが、そんな明さんに背負われて不思議と怖さは感じられなかった。

 明さんに背負われながら、その目に無造作に捨てられた漁船に隠れている織田の姿がかいま見えた。

 そこで私は悟った。

 明さんは織田に狙われている。

 その真実を目の当たりにして、私は今まで感じたことのない、恐怖に苛み、私を負ぶって走る明さんの背中に顔を埋めた。

 明さんに背負われる私。こんな私足でまといだと、私なんかおいて逃げれば良いのに。そう思っていたが、明さんは決してそんな事をする人じゃない。

 私の知っている明さんは自分の命を引き替えても私を守ろうとするだろう。

 その気持ちは本当に嬉しいが、守られてばかりの自分が嫌になる。

 明さんは立ち止まり、しゃがみ込み、私はその思い切りつむっていた瞳を開くと、どうやら明さんがさっきいた建物の並びの中だった。

 明さんは激しく息を切らしている。

 守られている自分が嫌になり、『私の事はほおっておいて』と言おうとしたが、先ほど感じた恐怖で声すら出なかった。それに立つ事も。

 明さんは息を切らしながら私を両手で抱き上げて、奥の倉庫の部屋に入り、そこは以前、倉庫で働く人たちの仮眠室か?ベットが設置されている。

 私をそこに横たわらせ、ベットはだいぶ放置してあった為、すごくほこりっぽくて異臭がするが、そのような事を気にしている場合じゃない。

「ここも・・・いつまで・・・安全か・・・分からないけど・・・少しは時間は稼げるだろう」

 と息を切らしながら明さんが訥々とした口調で言う。

 こんな私の事をほおっておけばいい。と言おうとしたが、さっきから声が出ない。

 私は声が出ろ声が出ろと念じるように出そうとするがどうやら恐怖で声が出ない。そんな私に明さんは、

「バカかお前、どうして来たんだ」

 明さんのその台詞を聞いて私の堪忍袋の緒が完全に切れて、

「バカは明さんだよ」

 と、ようやく恐怖を払いのけるように声が出た。

 明さんは面食らった顔をして、

「約束したよね。何か合ったら私たちに相談するって。一人で抱え込まないって」

 思わず涙がこぼれ落ちる。

「・・・」

 何も返す言葉が見つからないと言うような顔をする明さん。

 そんな約束を破った明さんが許せなくて、

「バカ」

 と罵りながら、明さんを本気で泣かしてやろうと思って飛びかかった。

 明さんの頬を何発かはたいたが、明さんは本当に反省している感じで抵抗もしてこなかった。

 そして私は明さんのその大きな胸に飛びついて涙を流した。

 どうしてこのような状況に陥ったのかは先ほどかいま見た織田が仕組んだことだろう。

 でも詳しい事情はとにかく、明さんが無事で本当に良かった。


 私の涙が落ち着いた頃、明さんは、

「悪かったよユウリ」

 私は明さんの胸からゆっくりと離れて明さんの目を見る。

 すると胸の鼓動が激しく高鳴り始めた。

 私は明さんを激しく求める気持ちに陥り始めたのだ。

 そんな気持ちも知る由もない明さんは、

「とにかくここも安全じゃない。長居はしていられない」

 と、それを聞いて、危険な状況を忘れている事に気がつく。

 そうだ明さんは織田に狙われている。それで私もそれに巻き込まれた。でも詳しい事情はまだ分からない。

 だから私は、

「さっき織田の姿が見えたけど、もしかして明さん織田に狙われているの?」

 その瞳を閉じて明さんは、

「やっぱりそうか。織田の仕業だったんだな」

「どういう経緯でそうなったの?どうして私達に事情を話してくれなかったの?」

 明さんの胸元を両手でつかんで揺さぶりながら詰問する。

「落ち着けユウリ」

 そういわれて私はとりあえず落ち着く。

「とにかくゆっくり話している場合じゃないから、端的に話すよ」

 そういって明さんは事情を説明する。


 三日前、曲作りをしたいと明さんはバンドのリーダー的存在の愛梨に申し出て、それに専念する為に、その次の日に休んだのは本当みたいだ。

 そして昨日、曲が出来て、いつものように私達とバンドの練習をする為に、私の家に向かった。

 それで違和感がして、誰かに見られている気配を感じて、気のせいだと思った。

 でも何か嫌な予感がして、昨日も曲作りとかこつけて休んだみたいだ。

 もし何かあったら私達に連絡しようとしたが、もう遅かったみたいだ。

 それは部屋に戻ると、メールが届いて、そのメールを見せてくれた。


『俺の条件に答えろ。出なければ、お前は死ぬ。それと仲間にこの事を伝えたら、そいつの命もない』


 と。

 差出人は不明だった。

 それで仲間である私たちが巻き込まれる事を考え、一人で抱え込まざるを得なくなったのだ。


「・・・と言う事だったんだよ。お前等に相談しようと思ったけど」

 話を聞いて憤りが頂点にまで達しって明さんに殴りかかろうとしたところ、明さんは私の両手をつかんで牽制して、

「落ち着けユウリ。わたしが悪かった。お前等には話すべきだったな」

「そうよ。私達、いや私が、そんな奴に命狙われようと私は屈したりはしない」

「分かったよ。とにかくこの状況を何とかしないとわたし達は織田の思うつぼだよ」

 状況的に恐ろしい立場に立たされているが、明さんがいて不思議と怖くない。

 しばらく明さんとじっとして、明さんは窓から、様子を見ている。

「不気味すぎるくらいに静かだな」

 何て明さんの横顔はすごくりりしかった。

 この状況でそんな事を考えるのは不謹慎だ。

 とにかく私は明さんに守られるのではなく守る存在でなければならないと自分に鼓舞して、すくんだ足を動かして立ち上がった。

「ユウリ、立てるな」

 私は騙って頷く。

「とにかく今は気を張って、いつでも逃げられるように準備しておけ」

 再び頷く。

 この恐ろしい状況ですさまじい緊張感にさらされるだろうが、私は不思議と緊張しておらず、明さんの事でいっぱいだった。

 明さんと二人きり。

 このまま時が止まってしまえば良いと思った。

 明さんは女で私も女。だから私の思いは決してかなわない。

 だったら明さんと一緒に死んでも良いなんて自分でもバカな事を考えていると思うが、それでもかまわないと思ってしまっている。

 こんな状況に何を考えているんだって、自重したいが、こんなチャンス滅多にない。

 そんな時、私のスマホに連絡が入り、画面を見ると愛梨からだった。

 でも私は即座に消してしまった。

「どうしたユウリ」

 スマホに反応した私のしぐさに方に目を向ける明さん。

「いや、何でもない」

 愛梨に助けを求めれば良いのにと思ったが、私は明さんと二人きりで、ずっといたい気持ちにかられ、あえて助けを要求しなかった。

「明さんは私が守る」

 思わず心からの思いが言葉となって出てしまった。すると明さんは、

「どうしたユウリ」

「何でもない」

 と首を左右に思い切り振った。

 愛梨の着信を拒否したことを後悔しそうになったが、明さんは私が守ると鼓舞した。

 一時間くらいが経過して、明さんは緊張感を保ったままの表情でベットに座って腕を組んでいる。

 私はそんな明さんを見つめて、この状況にも関わらず、そんな明さんを見て胸を高鳴らせていた。

 明さんが私の方に目を向け、

「どうした?」

 そう聞かれて、その目をじっと見つめて、

「怒っている場合じゃないぞ」

 私が明さんを見つめる視線を怒っていると勘違いしたみたいだ。

「明さんは私のもの」

 思わず思っていた事を言葉にしてしまった。

「はあ?」

 意味不明と言ったような表情をする明さん。

 するとそんな時、窓が割れる音がして、何かを投げ込まれた。

「何だ」

 明さんは叫び、私は怖くて明さんの腕にしがみつき、その投げ込まれた物体を見つめる。

 銀色の丸い玉だった。

「何これ?」

 私が言うと、明さんは私の顔をその大きな包容で包み込むように、

「ユウリ、目を閉じろ」

 そういわれて私は思いきりその目をつむった。

 すると耳につんざくような鋭い音と共に目をつむっても分かるが激しい閃光がほとばしったような感じがした。どうやら閃光弾を投げ込まれたようだ。

「ユウリ逃げるぞ」

「はい」

 私は走る明さんの後を追う。

 怖い気持ちだが、私は明さんに守られる私ではなく明さんを守る自分でいたい気持ちを鼓舞して走る。


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