9☆魅了の脅威
主人公以外の視点。
視点も、第三者、クラス女子、騎士、侍女、王女…
と、目まぐるしく変化。
なるべく分かりやすく、頑張ったつもりです(泣)
召喚直後、騒いでいたが、動揺がおさまってきた。
女教師(浅野あさの・美帆みほ)や女子生徒達には、自分の周りを見るゆ・と・り・がうまれていた。
恐ろしいほどの、女性の適応力である。
玉の輿、恋人を夢見ていた、ピンクな恋愛脳フィルター。
フィルター越しの視線には、2種類のイケメンしか、見えていなかった。
《一般兵》
日本人男性と、さほど身長は変わらない。
質素な革製の鎧を身に付け、大声を出し、忙しく走り回っている、がさつな男達。
彼女達の視線に、入っていない。
対・象・外~!!
《騎士》
貴族の身分。
長身で、逞しくて立派な体躯、きらびやかな金属製の鎧、毅然と警備している男達。
《文官・神官》
貴族の身分。
騎士より痩身で日本人好み。より華やかな容姿で、上品、知性派な男達。
この、2種類のイケメンである。
日本では、多良田社長夫人を夢見ていた彼女達だが、新しい夢に向かっての、切り替えは早かった。
当然かもしれない、多良田緋は1人しかいない。
夢が叶うのも、1人。
そして、ここは異世界。
世界の多良田自動車は、この世界には、存在しないのだから。
比較対象と共に、意識的に配置されたイケメン。
王都下町の警備兵からの応援兵は、横柄な騎士や文官から、威圧的に対応する指示を受け、彼らが何故か愛想良く対応する中で、威圧的に対応していた。
男子に怒鳴る、ガサツな一般兵。
自分達に丁寧に語りかける、素敵な騎士、文官、神官たち。
長所が輝いて見えただろう。
さぞや、素敵に見えた事だろう。
この世界は、イケメンと、玉の輿に、満ちあふれている…
そう、彼女達が勘違いするのも仕方がない。
『私にもチャンスがある』
と。
魅了眼で、チャームを発動されながら、そんな事は気付かずに、思うのだった。
そして、花に群がる蝶のように、ひらひらと
…もとい、
ふらふらと、思い思いにイケメン騎士や、イケメン文官・神官に群がっていった。
彼らが、勇者を取り込みために集められ、チャームのスキルを行使しているとも、
魅了の魔眼持ちとは知らずに。
◇◆◆◆◆◆◆◆◆◇
加藤智美
榊原由理
と、同室になった
澤田静は、憂鬱だった。
2人はいつも騒がしく、その内容は悪口が殆ど。
聞いてると気分が悪くなるが、同調していないと自分が言われるだろうから。
もう1人の同室者も、気分を悪くさせる人物だ。
クラスの有名バカップル、
熊谷一平
と、付き合ってる
北川麻奈だ。
口を開くと、
『一平がね~』
と、一平のことと、一平と一緒にしたことしか話さない。
どんなに別の話題をふっても、必ず一平の話題に変えてくる。
恐ろしい会話術の持ち主だ。
◇◆◆◆◆◆◆◆◆◇
いつも悪口ばかり言う、智美と由理の2人が、珍しく別のことを話題にしてた。
部屋に案内してくれた、イケメンについて…
「護衛してた、騎士。2メートル以上あるんしゃない」
「脚、長かったね!!」
「マッチョだ!」
「だねっ、凄い筋肉~。あんな金属の鎧とか、武器持ってて、重くないのかね!?」
「あはっ!あの筋肉だもん、平気なんじゃない!?」
「文官の人もさ、キラッキラ。王子様みたい…」
「うん、綺麗だったね!」
「文官なのにさ~、筋肉ちゃんとついてたよ。長身!細マッチョ!だったね~」
「あ、分かる。お尻とか、キュッて上がってた!!」
「やだ!どこ、見てたの~!?」
いつもは、ヒステリーな更年期のおばちゃんみたいなのに…
智美と由理の2人が女の子に見える。
イケメンって、偉大!!
[おばちゃん]から[恋する乙女]にジョブチェンジさせる能力があるとは!
「○○○が、騎士さまに名前聞いたり、話しかけてたよっ!」
「あ、あの子、マッチョ好きだし。外人と付き合ってみたいって、前に言ってたもんね~」
私も、会話に入る。
「私、文官さんのがいいな♪」
「私は、騎士さま…かな!?」
「うぅ~ん、騎士にも、キラキラ王子様、いたよ。文官さんも、上品な感じだったし。甲乙つけがたい!!」
「文官さんが、いいよ♪ 振り向いた時、瞳の色が違って見える時があって、セクシー!だった」
確かに…
光の加減かな、振り向いた時に瞳の色が変化して見えて、綺麗だった。
「お腹空いたね~」
部屋に置かれてたのは、黒パン、干し肉、オレンジ…
「なにこれ、めちゃ固い。しかも、チョー酸っぱい!!」
「噛めないよ~!?本当に食べ物?」
皆で食べてみるが、食べれない。
噛もうとしても、噛みきれない。
「…何かあれば声かけをって、言ってたよね!?」
「イケメンに、頼んでみる?」
「いいね。ついでに仲良くなれるといいね♪」
彼氏がいるから、あんまり乗ってこない北川さんを部屋に残したまま、廊下に行く。
元々、そこまで仲良くないし。
2人は、部屋の外にいた、細マッチョな騎士に話しかけてたけど。
私は、あの文官さんがいいなっ♪
探してみよ~
◇◆◆◆◆◆◆◆◆◇
宰相からの指示で配置され、異世界勇者にチャームをかける。
このような小さい者の相手を、高貴な自分がするなんて…
叔父でもある宰相には、逆らえないが、大いに不満だ!!
だが、勇者を利用する為なら、仕方ない…
はぁ~、気がのらないな。
一族の繁栄や、自身の栄光の為だ、致し方ないか。
アンサルディは、良い結果報告ができるよう、気がのらない仕事も、頑張るのだった。
◇◆◆◆◆◆◆◆◆◇
とある侍女達は、焦っていた。
宰相さまの指示で、異世界勇者の部屋の外側で、チャームをかける為に待機していた。
しかし、部屋から出て来て、チャームできたのは、僅かに3人…
出て来ないのだ!
時々、出て来る者もいたが、思い人がいるのかチャーム出来なかった。
こんな報告を、宰相の甥にあたる、近衛騎士・副隊長のフィリップ・アンサルディさまに、しないといけないなんて!
◇◆◆◆◆◆◆◆◆◇
翌朝、王女は、アンサルディより報告を受ける。
「~女14名、男3名ね…。
男のかかりが悪いのが、気になるけど…、こんなものかしらね!?」
昨夕からだし、仕方ないか、と思う。
男なら、自分が取り込めばいいのだから…。
読んで下さり、ありがとうございましたm(__)m
精一杯だったと、お許しください。
テンポ良く話を進めようとすると、会話なしになったり、視点変更ばかりになってしまう…