6☆謁見!! 王様と対面
朝から兵が騒いでる。
僕しか見えないメニュー画面で、時間を見ると8時過ぎ。
朝食に呼ぶような、穏やかな雰囲気は微塵もない。
兵舎にも食堂はあるみたいだけど、昨晩と今朝の様子をみると、僕達には使わせないみたいだ。
育ち盛りの高校生に、パン数個、干し肉少しに、果物2個。
これが、4人の2食分って…。
明らかに足りないよな。
僕達だけ、桃を食べたことに、ちょっぴり気が引ける。
兵が騒いでいたのは、謁見のために、召喚勇者を集める為だっだ。
怒鳴られて、何もしてないのに怒られてるような、不快な気分で、指示通り兵舎裏のスペースに集まる。
兵舎の表スペースも、使わせてくれないようだ。
怒鳴られたり、睨まれたりしながら、2時間くらい、待ちぼうけだ!!
散々待たされてから、王城まで歩く。
うん、馬車なんて用意されてない。
護衛より、連行って感じで、僕達の前後左右に、騎乗した騎士がつく。
20~30分、歩いて城に入った。
控え室というより、その辺の空き部屋って雰囲気の部屋に、入れられた。
椅子やテーブルもない。
廊下に立ったまま、謁見の注意事項を説明されたら、邪魔くさいから、か…。
いろいろ思う所はある。
しょっぱい対応を、こんなにされた事は、過去にない。
11時近くに、ようやく謁見の間に通された。
事前に教えられた姿勢で、待機だ。
片足の膝を床につけ、腰を落として、反対の片足は膝を立てる。
そして頭を下げた姿勢になる。
バランスが悪いのか、筋力がないのか、両方ないのか…、体がぷるぷるして、しんどい。
限界近くに、入室を知らせる声が聞こえた。
顔は下げたまま、視線だけ上げて、様子を見た。
偉そうなマッチョが、王様か。
中年の大女が、多分、王妃。
背の高いデブ、王子か。
昨日の一方的な、お姫様。
こちらも昨日いた、狡そうな目付きの痩せた老人、昔話の悪いお爺さんだ。
宰相だと言う、悪いお爺さんが説明してるが、体がぷるぷるして、注意力が散漫になる。
多分、お姫様と同じ事しか言ってない。
話より、姿勢を維持する事に全力だ。
《【なおれ】の号令が欲しい!!》
昨日と同じ、一方的な説明をしたら、質問も受けず、スキルチェックする流れになった。
聞きたい事もあったし、スキルチェックは嫌だけど、今の優先順位は、それじゃない!
《姿勢、なおせるか…》
様子を伺うと、流れを止めるやつが現れた!
僕、ぷるぷるして、限界だよ!?
誰かと思ったら、多良田緋だった。
キッ!と、睨む。
姿勢維持させようとするなんて、敵だ!!
緋は、先生や委員長達と目配せしながら、堂々と王達に視線を向け、質問をなげかけた。
1、帰還方法について
2、身分、安全について
3、戦う力について
4、戦えない者、戦わない者の処遇について
5、戦った後の処遇について
味方だっ!!
僕にとって、めちゃくちゃ重要な事、聞いてくれたよ。
敵とか睨んで、ごめん!
目配せしてたから、あのメンバーで事前に相談してたのかな。
《 ヒーロー、頑張れ!! 》
心の中で、緋に怒ったり、謝ったり、応援したり、忙しかった。
話し合いの結果
1、古文書を調べている。
2、勇・者・という身分を保証する。戦う以上、安全100%とは言えないが、助力する。
3、スキルを確認すれば分かる。
4、能力があるので、出来るだけ戦って欲しい。戦えない者や戦わない者は、一定期間、一定額の生活を支援するので、その後は自立して欲しい。
5、戦後も、勇・者・という身分は、引き続き保証する。
以上だ。
ヒーローは、声援に答え、頑張ってくれた。
《ありがとう、緋!!》
体のぷるぷるが、本当に限界だった。
昼食は、出してくれるみたいだ。
ぷるぷるしながら、体をゆっくり動かし、ぷるぷるが治まってから、昼食会場に移動した。
オタ2人が、笑いをこらえながら、待っててくれた。