5☆武器&LOVE
太郎→小出→太郎に視点変更します。
小出視点は、太郎へのLOVEな気持ちに溢れております。
BL苦手な方、ご注意下さいませ。
3話目、誤字修正。
4話目、文章修正。
5月14日に実施済みです。
遅くに寝たけど、意外と早くに、目が覚めた。
遊びに行く前日、大きなイベントの前、どうしてもドキドキ&ワクワクしちゃって、昔から余り眠れないんだ。
しょうがないや。
桃でも食べて、武器の増産でもするか。
実際に武器として使えるかは、疑問だけどさ…
う~ん、まぁ、結界になるみたいだし、防御としてはいいかもな。
昨日、生まれて初めて、武器を…、剣や槍を、自分に向けられた。
恐怖に体が固まったのがわかった。
けど、《異世界なんだって実感》と同時に、《ファンタジーみたいだな》って、矛盾したことを、思った。
しかたないよな、ハサミでさえ、刃物を人に向けたことも無ければ、向けられたことも無かったんだし…。
…うん、落ち着こう。
桃食べて、落ち着こう。
どうせならば、2人も起こしてしまえ!!とばかりに、桃結界は張らずに、そのまま、遠慮なく桃の皮をむく。
かごの中にあったパン切りナイフを拝借した。
完熟だから、スルスルむけるな♪
もしゃもしゃと、1人、桃を食べていたら、同室のオタ2人がゴソゴソ動き出した。
あ、起きたかな~
モゾモゾと起きたと思ったら、
「おっ、桃があるのか!? 俺にもくれ!」
と、上妻。
勝手に手を伸ばし、
「皮、どうやってむくの?」
と、小出。
起きたと思ったら、一気に騒がしくなった。
どうやら、2人とも寝起きは良いようだ。
『桃好きに悪いやつはいない』
とは、桃好きが高じて、豊田桃農園を創業した、死んだ大じいちゃん(曾祖父)の言葉だ。
うん、僕もそう思う。
「しょうがないなぁ~」
そう口では言いながらも、顔が自然とほころび、自分でも笑顔になってるのが分かる。
桃農園の者としては、桃の布教…もとい、
桃の普及活動は大事だ!!
僕は桃の皮をむいて、交互に口を開く2人に、せっせせっせと、桃をあげた。
なんだか、大きな雛鳥みたいだな。
僕より大きな2人が、ちょっと可愛く思えた。
動物の餌付け、意外と楽しいかも!?
ペット愛好家の気持ちも、こんなんかなぁ~
◇◆◆◆◆◆◆◆◆◇
異世界召喚の翌朝。
俺(小出圭介)に、思いがけない幸せが訪れた。
桃のいい香りで、気分良く目覚めた。
最初に視界に入ってきたのは、無邪気に桃を食べている可愛い太郎。
うん、朝から可愛いな。
眼福だ!!
昨日、クラスメイトの最後尾を歩く、太郎に近いポジションを、無意識に確保した自分を誉めたい。
なんで、可愛いとエロいのが両立するんだろな~
太郎だから、だろうな~
太郎は可愛い!!
凄く、可愛い!!
俺のこの意見に、クラスの男子は、ほぼ全員が、同意するだろうな。
色白で、感情的になると直ぐ、顔が赤くなる。
運動したり、体が火照ると、ピンク帯びてくる首すじ。
うん、断然、女子より色っぽい。
本人は、イジメにあってると思ってるけど…。
それは違う!!
可愛いから、いじられるのだ。
イジメと、いじりは別だ。
思えば、俺と上妻は、ラッキーだった。
それは、席が近かった事だ。
最初は、特に目立ってた訳じゃない。
冴えない、地味な、ちょいぽちゃ、小柄なやつ、そんな印象だった。
席が近くて、視界に入ってくる。
感情で表情がくるくる変わって、見てて飽きなかった。
ふとした仕草が綺麗で上品だった。
段々と、色っぽく見えてきたんだよな~
親しくなりたくて、意識して観察した。
休み時間に、カバーかけて読んでた本を、こっそり確認した。
上妻もチェックしてたみたいで、好きなラノベの話題で、2人が楽しげにしてたのに、ちゃっかり便乗した。
その頃は、そんなに詳しくなかった。
ただ話題が欲しくて、広く、浅く、色々と、太郎が好きそうな話題を集めてただけ、だったんだけどな…。
好きなやつの、好きなことに、ハマっていくのは、そんなに時間のかかる事じゃなかった。
段々、太郎が気をゆるす。
無防備で、天然の色気に、どんどん当てられていった。
うちの高校は、コース毎に、成績順のクラス編成で、3年間クラス替えはない。
これも、俺に訪れたラッキーだ!!
《オタじゃない》って言いながら、太郎とオタトークしてたら、隠しているのかと、太郎が勘違いな気配りで、なるべく顔を寄せ、小声で話してくれる。
太郎が顔を寄せてくれるのが嬉しい。
最初に声をかけて、オープンに話してた上妻には、顔を寄せない。
俺だけの特権だ。
時々、上妻が羨ましそうにしてるが、しょうがないな。
あいつの初動作戦ミスだ。
頭良いのに、残念だったな!
残念と言うか、可哀想なのは、成田や手島だろうな。
最初に『桃太郎』って呼んでみたり。
スキンシップと称して、顔や体に触ったり。
かまいたい&仲の良さをアピールしたい。
クラスのやつらに、仲の良さを見せつけ、他のやつらを牽制したいんだろうけどさ…
完全に空回ってるな。
《ジュース買って来て貰った》って言って、あいつら大事そうに、見せつけて飲んだり、喜んだりしてるけど…。
本人、本気で《また、タカられた》って、嫌がってたもんな。
からかうと真っ赤な顔になって可愛いし。
桃尻&もち肌で、さわり心地がいいから、気持ちは分からなくないけど。
太郎、ちょいぽちゃなのコンプレックスだしな。
こっちから触るのはNGなのに…。
ジュース以上に高価な物を、時々、プレゼントとして渡してたけど…。
太郎、何度も、たかられたとしか、思ってなかったみたいだし…。
物欲ないし、世間ズレしてないから、貰った物の価値なんて、分かんないんだろうな。
世界の多良田自動車の創業者の家系で、うちのクラスのヒーローこと、多良田緋とかも、かまいたそうに遠めに見てるけど、女子達に邪魔されるんだよな。
多良田の創業者に家系に生まれて、玉の輿目当てに、女子だけじゃなく、教師にまで色目使われて。
強引で、強欲で、うるさい。
ああいった女達に、幼少期からず~っと、つきまとわれてたから。
控えめで、無欲で、物静か。
太郎の良さが引き立つな。
でも、太郎に近づこうとすると、女子にブロックされるし、太郎には怯えて萎縮されるし…
俺、一般家庭生まれ、オタク育ちで、本当に良かったわ~。
太郎が笑顔で、桃を口に入れてくれる。
指についた果汁を舐めつつ、太郎の指を味わう。
「っん!」
太郎から、くすぐったいのを堪えて、小さな吐息が漏れる。
本人は、そんなつもりないんだろうけど、色っぽいな~
時々わざと、手首に流れた果汁も舐める。
手首に舌を這わす。
「果汁、こぼすともったいないもんな!!」
舐められて恥ずかしがりながらも、
「甘い、美味い…」
「良い桃だな!」
桃を誉め、大切に味わうことに、太郎は嬉しそうにする。
うん、太郎が言葉通りに信じた。
無邪気で、無垢で、素直で、色っぽくて、飛びっきり可愛いな!!
太郎には、いつまでも、そのままでいて欲しいな。
隣で鼻の下伸ばして、桃を食べる上妻が、めちゃくちゃ邪魔だが、あいつがいないと、理性のストッパーが効かなくなりそうで、ヤバいだろうな。
◇◆◆◆◆◆◆◆◆◇
桃を食べながら、《メニュー》や、《桃スキル》、《特別称号》の話を、2人にした。
食べながらも、しっかり話を聞いてくれた。
2人からは、皆と同じ《ステータス》から見える能力以外を、悪用されないように、ピンチの時まで隠しておくように、と言われた。
心配された。
自分でも、心配だったからな、やっぱりか…と。
実際、かなりチートだしな。
悪用されるのは、心配だし、2人の言うように、隠しておく予定だ。
積極的に戦いたい訳じゃないし。
種は、3人で食べたから、結構ある。
2人にも持ってて貰いたいんだけど、
「太郎が持ってろ!」
と断られ、3人で《ど~ぞ、ど~ぞ》と、譲り合いになった。
僕が半分。
ポケットとスキルに、分散して収納した。
残りを半分づつ、2人にも持ってもらった。
僕、どんくさいからな。
自分でも、とっさに使えないだろうと思う。
…2人の側を、離れないようにしよう。
読んで下さり、ありがとうございましたm(__)m
今後も、小出視点くらいのイチャイチャ、書けたら…と。
太郎はウブなので、キスもNGなのは、変わりません。