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27 働き者

朝起きたら、2つの食堂の壁に時計を付けた。


今まで3人だけだったけど、人数増えたから必要だよね!


朝食は、昨日と同じく別館に用意した。


8時前だけど皆揃ったから、朝食を食べよう♪

総勢18人だ!

人数もだけど、子供がいると賑やかだなぁ。



[メニュー]

コーンポタージュ。

チキンと角切り野菜のカレー風味スープ。

トマトとチーズのサラダ。

ピクルス。

ハムステーキ。

スパニッシュオムレツ。

ポテトグラタン。

フライドオニオン。

ピタパンのシュリンプサンド。

バケットのガーリックトースト。

桃クリームパン。

カットした桃。

桃ミルクプリン。

桃ジュース。

ピーチティー。



皆が元気で長生きするように、毎食の桃は欠かせない。

病み上がりの人も多いから、桃メニュー増加だ!


皆で楽しく喋りながら食べると、食事が美味しくなるな~。




食後の片付けをして、のんびりする僕。


目の前には、鍛練する冒険者達。


今日位のんびりしたらいいのになぁ。


冒険者達はザックさんに剣術を習ったり、銘々に鍛練して過ごしている。


10歳のルーゼン君も、やりたいらしい。


剣士を見る目が、憧れでキラキラ輝いている。


そして武器が無いから、羨ましそうに見ていた。


「ルーゼン君もやってみる?」

「うん、やりたいんだけど…」


せっかくだし、訓練用の木製の短剣と、鉄製に見えるがオリハルコン製で自動修復と攻撃力向上を付与した短剣を制作した。

盗まれると危険だから、持ち主をルーゼン君限定にした。


「ありがとう!お兄ちゃん!」


僕にもキラキラの笑顔でお礼を言ってくれた。


剣を置き、木剣を握りしめたルーゼン君が、嬉しそうに訓練に加わる。


うんうん、頑張れ!


ふと違う視線を感じて見ると、冒険者達が羨ましげにルーゼン君が置いた短剣を見ては、僕をチラ見してる。


「この剣は…」

「鉄製に見えるが、何だ…」

「只の鉄じゃない存在感だぞ!?」

「でも、見た目は…」


ザックさんまでだ!

「…凄い剣だな。太郎?何だこれは!?」


「…ルーゼン君の非力さをカバーしつつ、普通に見える凄い剣…かな!?」


ザックさんの眼差しが鋭くなる。

何か言われる前に、冒険者達に声をかけた。


「皆の武器も作ろうか!?」


「いいのか!?」

「剣以外も作れるのか?」

「弓もいいか!?」


ギラギラとした視線が集中する。

皆の熱意が凄い!


「剣以外も大丈夫。ルーゼン君のには自動修復と攻撃力向上を付けたんだけど、皆のはどうする?

材質もオリハルコンを鉄に見える様にしたんだけど…。別のも出来るよ」


要望を聞きつつ、順番に作ろうとすると、老人や子供達から声がかかる。

「太郎や、わしらにも何かする事はないか?」

「わしらも何か手伝いたいんじゃが…」

「私もやるよ!」


と尋ねてくる。

やる気に溢れたメラメラした視線を浴びる。


うう、ルーゼン君のキラキラした眼差しが、一番良かった~


冒険者達には、後で1人づつ呼ぶからと伝えて、訓練に戻ってもらう。


皆のやれる事や、やれない事を聞いていく。


読み書きが出来ない人が多かった。

ダイアナさんが、読み書きや計算がかなり出来るらしい。

ヨゼフさんもだ。


子供達や冒険者達で、読み書きや計算が出来ない人が殆どだったので、毎日の昼食後に勉強会をしてもらう事にした。


手付かずだった畑と、馬の世話を手伝ってくれる事になった。


(くわ)(かま)、ジョウロや支柱など、農具を出し、馬小屋の倉庫に用意する。


皆に任せた。

皆で分担を話し合っているから、大丈夫だろう。


僕は種や苗でも用意しよう。


季節に関係なく、丈夫で美味しい野菜をイメージする。

種で増え過ぎても困るだろうから、一代限りの品種だ。


カブ、人参、大根、白菜、トマト、ナス、ズッキーニ、インゲン豆、スナップえんどう豆、大豆、小豆、じゃが芋、さつま芋、玉ねぎ、ピーマン、パプリカ、カボチャ、トウモロコシ、ほうれん草、レタス。


取り敢えず、こんな物で。


ひと畝間(うね)毎に種類を変えて、色々植えてもらった。


ロイじい達に頼む予定だったから、ロイじい達が来たら一緒に協力してやって欲しいと話す。


一代限りの品種で、種は採れない事を伝えた。


畑で作った作物は皆で売って、皆のお金にして欲しい事も話した。


その内、鶏でも飼えば、卵が売れるんじゃないかな!?

「家畜の鶏とかって、飼えませんか?

卵とか、売ったら収入に成りませんか?」


「鶏か。飼っとる者もいるなぁ」

「養鶏してる者に言えば、売ってくれるかもしれんな~」


知り合いに声をかけてくれるように、頼んでおく。



冒険者達を待たせてるから、順番に要望を聞きつつ作成しよう。


まずはザックさんだ。


「ザックさんの剣はどうしようか?」


「太郎、お前な!?

前に話した事は忘れたか?

隠せと言っただろ!

分かったと言ったのは誰だったか!?」


耳元でため息ついたら、小声で一気に怒ってきた…


後ろに立たれて、ザックさんの腕が脇の下を通って、僕の顎をつかんでる。

ホールドされてて、肩から上が動かない。


反対の手が頬っぺたを摘まんだり、ペチペチ叩いてくる。


直ぐ側に顔がある。

体も密着してる。


「怒ってる?」

「…心配してるんだ」


ザックさんの頬っぺたが、僕の頬っぺたにくっつく。


「ごめんね、心配かけて。

後、心配してくれて、ありがとう。

ザックさんが信用してる人達なら、僕も信頼出来ると思ったんだよ!?

じゃなきゃ、僕も話したり、作ったりしないよ…」


ゆるんだ隙に、ザックさんを見る。


ザックさんも見つめてくる。


コツンとおでこをくっ付けて、ため息と共に言う。


「そんな風に言われたら、これ以上言えないな…

でも、気をつけろよ。

用心にこした事はないからな!」


「うん!」

僕は笑顔で、力強く頷いた。


「じゃあ、この話は終わりだ!

武器を作ってくれ、太郎♪」

ホールドが解かれた。


ペチペチとお尻を叩かれながら、木陰に移動して、武器の打ち合わせをした。


ザックに作ったのは、こんな剣だ。


オリハルコン製だけど、黒鉄に見える両手剣。


自動修復、耐久性向上、攻撃力向上、聖属性付与。


持ち主はザックさん限定。


風属性付与のナイフも同様に作った。


そろそろお昼だ。

皆の武器は午後からにしよう。


昼食を用意する為に食堂に行く。


空豆のポタージュ

トウモロコシと卵の中華風スープ

海藻とツナ入りのグリーンサラダ

オレンジと木の実&ナッツ入りグリーンサラダ

春巻き

焼売

エビ餃子

焼きビーフン

中華風蒸しパン

エビマヨ

スペアリブの中華風

フィッシュ&チップス

ロールパン

桃ジュース

ピーチティー

桃入りの杏仁豆腐

桃クッキー


中華が食べたかったけど、皆の口に合うか分からなかったから、少し違うメニューも入れてみた。


別館食堂に用意したら、皆を呼ぶ。


「皆~、昼食出来たよ~♪」


初めて見る料理に注目が集まった。

簡単に説明して、食べて貰う。


「旨い!」

「美味しいね~」


好評な様子にホッとした。

クラスの皆が来たら、中華やカレーも作ろうかな!?


食べ終えたら片付ける。


皆で勉強会だ。


ホワイトボードと専用ペンにボード消しを作り出す。

ノート、鉛筆、消しゴムを作り出す。

ペンケースと、専用のアイテム鞄も。


教師役を引き受けたダイアナさんとヨゼフさんには、赤鉛筆と万年筆、3色ボールペン、A4コピー紙も渡す。


文字や数字を教え、書く所からのスタートだ。


本屋で本も買っておきたいな。


僕は読み書きできるけど、異世界補正の恩恵だから、実際に教える事が出来ない。


四則演算位なら、説明できるけど、今日はそこまで進めないだろう。


おやつ用にチョコレートを作る。


ミルクチョコレートを中心に、少しビターなチョコレートや、ナッツを入れたチョコレート、ドライイチゴを入れたチョコレート、マーブルチョコレート…


瓶詰めに入れて、勉強会が終わった人から、渡して行く。


チョコレートも好評だった。

騒動と言っても過言じゃなかった。


ヒッピに怒られながら、喜ばれた。


勉強会は1時間位で終了して、畑作業や馬の世話、訓練に、それぞれが取り組みだす。


僕も武器作りを再開する。


アレクさんは両手剣。

黒鉄に見えるオリハルコン製。自動修復、攻撃力向上、耐久性向上は皆希望してたから、同じだ。

風属性を付与した。相方と相性が良く異なる属性だ。


タガーナイフに聖属性を付与して予備に渡した。


ブレイブさんは、仕込み杖。

消費魔力減少、魔法威力向上を付与した。

仕込みは複合毒と呪いだ。桃ポーションか桃丸薬で解毒解呪出来る。

毒&呪いの解除ナイフも作っておく。


予備ナイフには氷属性を付与。



クラスの皆に作ったお守り型のアイテム袋は、いい機会だからザックさん達のも含めて全員分作ろう。


ついでに色々入れて置く。

服や食料や水に、ポーションや丸薬、予備の防具や武器、旅道具だ。


うん、ヒッピにもザックさんにも、バレたら確実に怒られる。


でも彼らの為に、出来るだけの事はしておきたい。


知らない町でケガしたり、貧困に戻って欲しくはないから…


カークさんも両手剣。

雷属性を付与した。

予備のナイフには、風属性付与。


デックさんは槍に氷属性付与。予備ナイフは炎属性を付与。


エリックさんは弓。金属に桃の神聖樹も使用した。

命中、追跡、毒&呪い、リターンを追加で付与した。

アイテム袋で、ボディーバッグを作り弓を入れる。

リターンは、弓が自動回収されてボディーバッグに入り、メンテナンスされる仕様だ。


毒&呪いの解除ナイフ。

予備ナイフには風属性付与。


フェルさんは片手剣を2本。

闇属性と聖属性を付与した。


ジェラルドさんは炎属性の両手剣。

予備ナイフは氷属性付与。


付属品の鞘やベルトを作ったり、お守りや中身を作ってたから、夕方までかかった。


お守りは肌身離さず身に付けるように伝える。


「お風呂も?」


ルーゼン君が可愛く聞いてくる。


「お風呂も、寝てる時もだよ!

ずっと着けててね。

困った時に、お守りの中を確認するんだよ!?」


「分かった!」


ルーゼン君以外の皆も頷いてくれた。


皆のリクエストで夕食も中華になった。


豆腐とワカメと卵のスープ

トマトと卵とアスパラの炒め物(オイスターソース味)

青菜のニンニク炒め

棒々鶏サラダ

薬膳風の中華粥

中華チマキ

エビチリ(ピリ辛とスイートチリの2種類)

麻婆茄子(辛いのと甘味噌味の2種類)

イカとインゲンと袋茸の炒め物

鯛の酒蒸し

唐揚げ

中華飯

天津飯

炒飯

椎茸ラーメン

中華風蒸しパン

桃プリン

桃茶

桃ジュース


皆でワイワイ食べるのに、中華料理はいいな~。


のんびりしないで、結局、皆よく働いた1日だった。






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