23 ロイじいの家
ザックさんと手を繋いで、ロイじいの家まで来た。
ちゃんと離さなかったから、ザックさんは消えなかった。
お互いに召喚されなくて、良かったよ。
ロイじいの家の前では、ヒッピがうろうろしてた。
僕が2人が突然消えた話をしたら
「太郎がなっ!?」
って、ザックさんみたいな事を言う。
2人の仲の良さを実感。
「2人で消える時は、僕も誘ってよ。心配したし、寂しいじゃんか!」
僕の思いは、きちんと伝えておいた。
「何で手なんか繋いでいるのさ?」
今さら、気付いたのか?
「ザックさんが居なくならないように、つかまえているんだよ!」
僕が自信満々に答えたら、2人が顔を見合わせてた。
ナイスアイデアに感心したな!?
僕がヒッピに
「お昼ご飯は食べた?」
って聞いたら。
「それどころじゃない!」って、また騒ぎだした。
今日のヒッピは、落ち着きが全然ないなぁ。
でも、話を聞いたら納得だった。
ロイじいが体調悪化で、寝込んでいたんだ!
「…太郎が消えるし、心配したし…」
ぶつぶつ言ってるが、消えたのはヒッピとザックさんで、僕は探してたんだよ!?
誤解の無いようにしておきたい!
ヒッピに家の中に案内してもらう。
木造の2階建ての家で、1階にリビングや、キッチン、トイレ等があり、2階に3部屋、ロイじいは2階の寝室にいるとの事。
ヒッピについて、ロイじいの部屋に入る。
熱があるのか赤い顔で、呼吸もゼエゼエ荒い。
ちょうど起きていたので、ポーションを飲んでもらった。
穏やかな表情、顔色や、呼吸も落ち着いた。
そのまま休んでもらう。
ドアの向こうから、子供達がロイじいの様子を心配そうにみてた。
「よく効くお薬を飲んだから、もう心配ないよ。今は少し眠っているだけだから、大丈夫だよ」
子供達に安心するように、伝えた。
「ご飯食べよう?皆と食べようと思って、ヒッピ達と持って来たんだよ。僕は太郎!ヒッピの友達で、ヒッピのお兄さんだよ!?」
って挨拶したら
「誰がお兄さんだよ!?
逆、逆!!僕が世話してるの!」
まあ、子供は大人ぶりたいものさ。
ヒッピの発言を水に流す。
ふっ、これが大人の余裕さ。
ロイじいの部屋から、別の部屋に移動する。
さあ、ご飯をたべよう♪
荷車から下ろされ、食堂に運ばれていたから、準備はすぐだ。
子供達は見たことない程の大量なご飯に驚いてた。
「沢山あるよ。ロイじいが起きたら食べる分は別にあるからね!?しっかり食べて!」
食べながら話を聞く。
今ここにいる子供達は、9歳のアダムが一番年長だ。
16歳のマイクと、14歳のデイジーが仕事に行ってから、ロイじいの様子が悪くなり、どうしたら…と思ってたら、ヒッピが来たらしい。
ヒッピの転移先が異世界じゃなく、ロイじいの家で良かったよ!?
ロイじいの家に住んでいるのは…
16歳のマイク
14歳のデイジー
9歳のアダム
8歳のリック
8歳のローラ
7歳のアリア
7歳のダイアン
それに58歳のロイじい
今は文官宿舎に移った15歳のヒッピ
ヒッピが文官で、高級取りになったとはいえ、警備兵とどっこいどっこいらしい。
ヒッピとマイクとデイジーの3人で、ロイじいの分を含めた4人分の人頭税を払い、2ヵ所、9人の生活費を出し、治療費を負担してては、大変だっただろうな…
最近は、景気が悪いのか、子供が出来る仕事も少ないそうだ。
ちょっと気まずい雰囲気になった。
話題を振ろう…
ヒッピに今日の夕方、ザックさんの知り合いの冒険者のお兄さんが2人来る事を伝えた。
沈黙の気まずさに、思い出して良かったよ。
そして、いい考えが閃いた!
「ザックさんの知り合いも来るし…
ヒッピの家の人達も来ない?」
皆に『何言ってるのコイツ!?』って顔されたけど、続ける。
「宿は広いから、部屋はあるし。
子供でも手伝える仕事もあるよ。
家賃も生活費もいらないし、税金の確保くらいで済むなら、来年以降も何とかなるんじゃないかな?」
「それは助かるけど…」
「迷惑かけるよ」
ヒッピとアダムが、遠慮する。
「ロイじいや、マイク、デイジーにも聞いてみてよ。
皆が来たらヒッピが寂しくなくなるし、僕も助かるし。宿の受付とか、食器の片付けとか、馬の世話とか、お使いとか…。
仕事は僕だけじゃ無理だもん」
「詳しく、聞かせてもらえんかな?」
ロイじいが起きて来た。
しっかりした足取りで、大丈夫そうだな。
ポーション飲んで2時間以上は寝てたから、すっかり元気そうだ。
ロイじいには料理を、子供達にはお菓子を出す。
桃ジュースも忘れない。
僕は、さっきの話だけでなく、召喚された事や、生活魔法しかなくて戦えない事、自立しなくちゃいけなくて宿を開く事、いろんな事を話した。
ロイじいや子供達が質問したり、僕が答えたり、ザックさんとヒッピが補足したり…。
やがて、ロイじいが決断した。
家を処分して、宿に来ると。
僕は、彼らの衣食住を提供する事になった。
彼らは、外で働いて税金分を稼ぐ。
働きにいかない(いけない)人達は、出来る範囲で手伝ってくれる事になった。
後、ザックさんも僕の護衛の事が終わったら、退職して宿に移住する。
宿の用心棒だ。
男の子達に剣や馬の世話も指導してくれる。
衣食住と別に、年間金貨3枚で引き受けてくれた。
「貰い過ぎな位だ!」
って、ザックさんは控えめだよ。
宿の住民兼従業員が増えた。
段々、賑やかになりそうだ。
ロイじい達は、引っ越し準備や家の売却手続きをして、来週以降の引っ越し予定だ!
ザックさんは、来週にでも勇者達が来たら、引っ越しするそうだ。
退職手続きはギリギリにするらしい。
別の兵士が来たら困るし、僕もその方が助かるよ。
夕方になって来たし、カイルさん達が待ってるといけない。
僕達は、沢山の料理と食材、ポーションと丸薬を置いて、帰ってきた。




