20 驚き!桃の木
ユニーク総数777!
改稿作業の合間に、記念の閑話を。
お楽しみ頂けると幸いです(^-^)v
勇者が帰った翌日。
朝、顔を洗いに裏庭に出た。
[生活魔法]ですっきりしたハズの庭に、大木が数本あるのに気が付いた。
何の木だろうと[鑑定]してみたら、
【御神木】
桃源郷の桃の大木
と出た。
どうやら、初日に埋めた種が、桃の大木に…
《桃栗3年、柿8年…。
異世界では違うのか!?》
何が違うんだろう…
土か!? 種か!?
地面をじっと見て考えてたら、
【聖域】
桃結界と御神木により、聖域となったエリア。
桃源郷。
[鑑定]が発動して、何か凄いのが見えた。
うん。
…聖域なら、安全だな。
なるべく、宿に引きこもって過ごそう…
いろいろ、余分な事は考えるな!?
あるがままを受け入れよう…
何気なく植えたら、凄い事になってた!
しかし、立派な木…
いや、立派な桃がなっている。
風がそよぐと、完熟した桃の甘く素敵な香りがする。
ゴクッ
喉が鳴る。
《あの桃は、美味しそうだ!》
今、目の前に、食べ頃の桃が沢山実っている。
ここでほかっておいて、実をダメにするなんて、もってのほかだ!
食べ物を粗末にするなんて、太郎には出来なかった。
[生活魔法]で、木製の表彰台の様な物を作成した。
《桃を採ろう♪》
いそいそと、台に上がる。
桃の収穫をする。
収穫しては、収納へ。
また収穫しては、収納へ。
エンドレスだよ!
収穫しても、桃が減らない!?
かなり収穫したが、木になる桃は、減った感じがない。
《む、無限の桃か!?》
ヒッピとザックさんが、探しに来るまで、ムキになって収穫してしまった。
《全部、採れなかった…
って、言うか、減ってない…》
悔しいが、ここまでか…
桃に負けた様な気がする。
2人に引きずられるように、宿の中に戻った。
「ねぇ、2人はあの大きな木に気がついてた?」
何日か、気がつかなかった。
「ここに、泊まりに来た時からあったよな~」
「うん、初日は見てないけど、2回目に来た時からあったよ。
木がどうしたの?」
ザックさんもヒッピも、気付いていたのか…
僕は、今朝まで気付かなかったよ!?
「…、あの木、初めて来た時に種から植えたんだよ…って、言ったら信じる?」
ザックさんとヒッピが顔を見合せる。
「…まあな、太郎だしな?」
「そうだよ、今更だよ!?」
釈然としない言い方だが、信じてくれるようだ…
桃チートには触れず、事実は伝えておこう。
「鑑定したら、【御神木】ってでたんだ。この宿には結界が張ってあるんだけど、相乗効果でこの地が聖域になってた…」
「…」
ヒッピの顔が崩壊した。
「…、まぁ、安全になってるんだから、いいだろ…」
ザックさんが、自分に言い聞かせるように呟く。
「朝食にしようか…」
「そうだな」
「…そうだね…」
僕は、話題を変えた。
ザックさんとヒッピも乗ってきた。
食べて、落ち着こう。
2人共、昨日のご飯を、気に入ったようだし、和食にした。
おにぎり
味噌汁
だし巻き卵(甘くない物)
浅漬け
お浸し
白和え
マグロステーキ
桃
桃ジュース
3人共、無言でゆっくり食べた。
その日の午前中は、3人で桃の収穫をしたり、桃の加工をしたりして過ごした。
お昼は、海老とアスパラとセロリのパスタ。
ガーリックトースト。
サラダ。
桃ジュース。
午後からは、僕は加工にまわろうと思った。
僕が加工するか間は、2人にアイテム袋にしまって貰った。
「…、これもなるべく人目につかないようにしろよ?
貴族や大商人とかしか、もってないからな!?」
ザックさんが、念を押す。
ヒッピは、唖然としている。
「気を付けるよ。ザックさんとヒッピと僕以外には、普通の袋にしてあるから、多分、大丈夫だよ!?」
収穫を任せて、桃を加工した。
定番の桃ジュース。
桃ゼリー。
桃ムースケーキ。
桃タルト。
桃クッキー。
桃のフルーツサンド。
桃ジャム。
桃のドライフルーツ。
…
夕方、おやつに食べた。
2人も、ムキになって収穫していたが、桃は少しも減らなかった。
御神木だからかな?
御神木から収穫しても良かったのか!?
今更ながら、気になった。




