18☆勇者が宿にやって来た①
勇者達→太郎→勇者達
の視点です。
異世界7日目の夜
太郎の居なくなった部屋に、大勢の男子が集まっていた。
【緊急勉強会】
《太郎の取説》
特別講師:上妻&小出
依頼人は、緋であった。
緋は悟った。
このままの対応じゃ駄目だと言う事を。
今《太郎が1番に心を開いている両氏から学び、太郎の心をより掴もう》と。
この呼び掛けに、大反響が起こり、強行&緊急開催となった。
異世界8日目夜、 太郎に会いに行く。
それは皆の中で、決定事項だった。
初めてのお泊まりだ。
(例え、お邪魔虫が多くとも)
何か起きるかもしれない!?
ワクワク&ドキドキ、ソワソワしていた。
皆の心は、1つだった。
《太郎が可愛い!》
《仲良く成りたい!》
《嫌われたくない!》
《太郎に好かれたい!》
《太郎に愛されたい!》
太郎が全て!
ただ、それだけだ!
渋々、講師の口から語られたのは、3箇条!
勝手に触らない!
押し付けない!
見下ろさない!
こちらからは触らず、太郎から触ってくるのを待つ事!
自分のチャームポイントをコンプレックスに思ってるからな。
太郎独自の感性で、どんな受け止め方をするか未知数!
一般的な反応は忘れろ。
意気込んで話すと表情が強張って、怖がられる。
座って話せ。同じ目線が大事だ!
すると、のびのびと可愛い太郎が間近でみれる♪
運が良ければ向こうから、近寄ったり触ってくるぞ~
目から、鱗だった。
特に成田と手島が、受講後に講師に詰め寄る場面もあった。
大反響のまま【太郎の取説】は、幕を閉じた。
◇◆◆◆◆◆◆◆◆◇
「太郎~!会いに来たぞ~♪」
「泊めてくれ~♪」
「太郎~、元気だったか!?無事か!?」
「会いたかったよ~」
皆と別れて宿に移り住んだ翌日の夕方、2台の大型馬車に乗った勇者18人がやってきた。
明日は休み、給料を受け取り、送迎を手配して…
手際いいな!?
まぁ、クラス男子には、委員長や、緋、上妻とか…
段取りや調整に、慣れた人がいるからな。
部屋のリフォームも、備品の補充も、昨日と今日で済んだし、泊まってもらうのは問題ない!
夕食はまだだし、皆で食べよう~♪
【生活魔法】で、完成した料理が盛り付けられてるのをイメージ…
大皿大盛での取り分けスタイルだ!
<夕食のメニュー>
チキンの唐揚げ
豚カツ
ミネストローネ
クラムチャウダー
アスパラ&ソーセージのソテー
ジャーマンポテト
ハムステーキ
ポテトサラダ
グリーンサラダ
ロールパン
ガーリックトースト
カットした桃
桃ジュース
よし、出来た♪
スープは50リットルの寸胴サイズ。2種類あるし、足りるだろう。
料理も直径50センチの大型サイズの器だ!
パンも大量だし、大丈夫!
テーブルに載せ、ブッフェStyleで。
取り皿20センチサイズを60枚。
木のカップ60個。
スプーン、フォーク、ナイフも60本。
サラダやスープ用に、深い器60枚。
カウンターに並べた。
陶器のピッチャーに桃ジュース。
金属のピッチャーに水を入れた。
馬車から降りるとバラバラに、宿の探索に行った皆を、夕食が出来たと呼んだ。
無論、ヒッピやザックさんも一緒に食べる♪
男ばかり、総勢21人だ!
圧巻!
あれだけあったが、見事に完食した。
皆の顔も満足そうだ。
ザックさんとヒッピは、いつも通り1階で休む。
皆が一緒がいいと言ったので、屋根裏の大部屋に夕食後、上がった。
階段がキツかった。
バレー部の高木と谷口が手を引いてくれ、バスケ部の鈴木が後ろから押してくれた。
ありがとう!
屋根裏の50畳はあろう大部屋で、19枚の布団を並べた。
圧巻だな!
ふふっ、リフォームの時に、和室にしたんだ♪
ベッドいくつも…よりは、皆が泊まりに来た時にいいと思ったんだ!
そう言えば、熊谷がいないな…と、聞いたら
《泊まりなんで、熊谷は不在。彼女の北川さんを連れて来るのはマズいかと…。
御守りや服のお礼だって、コレ預かった。スゲー感謝してたよ》
と。
同室の委員長から、小袋を貰った。
中からは、金貨5枚!
勇者の月給1/2だ!
僕の全財産より大金が、突然、目の前に!?
アワアワしてたら、
「俺からも!」
「礼だ!!」
「休みに来るし、宿代!?」
「飯代なっ!」
更に皆が金貨5枚づつ!
僕の前に金貨の山がっ!?
金貨95枚!
更にアワアワしてたら、
小出が
「皆の気持ちだ。貰っとけっ!?」
って、ポケットに入れる。
落ち着かない僕も、皆が頭を撫でたり、背中を擦りながら、優しく声かけしたりしてくれて、落ち着いていった。
ハグしてくれた奴もいて、ちょっと照れくさい…
異世界に来てから、皆の優しさが身に沁みる。
「皆、ありがとう…」
聞いて欲しいと、生活魔法で、いろいろ作れることを話した。
皆は優しく聞いてくれた。
クラスの様子も教えてくれた。
クラス女子も皆じゃなくて、熊谷の彼女・北川さんや福岡さんは、まともだって。
男子でもクラスの奇人変人、原、曳地、堀田の3人は、前からなのか!?
…でも、おかしいらしい。
なんだか分からないから、なるべくまともな人で、つるんで行動してるみたい。
僕は上妻に、こっそり話した。
「僕達の部屋、桃の種を四隅に置いて《結界》してあるんだ。内緒で他の皆の部屋にも出来ないかな?」
種は結界にすると見えなくなるし、
「…やれると思う」
って、引き受けてくれた。
御守りもあるけど、心配だしね!?
種と桃をこっそり渡した。
例の3人組と一緒だった加茂が、僕達の部屋に移ったり。
この2日間にも変化はあったみたい。
第二王女や、侍女が、最近やたらベタベタ、話しかけて来てウザイ…。
いろいろ話してた。
ずっとお風呂に入ってなかったから、皆がお風呂を凄く楽しみにしてる。
お風呂は、大きいけど、1度に19人は、さすがに無理で、何組かに別れて入った。
戦闘訓練で皆の体が凄くかっこ良くなってた。
太った加茂でさえ、筋肉が凄い!
太鼓みたいだったのに、腹筋が割れてた!
触らせてもらう代わりに、僕も触らせた。
他の男子も触ったり、触られたりになって…
皆で、触りっこした。
皆も自然体で、のびのびしてる。
いろんな話も出来て、笑いあって、ふざけあって、この世界に来て1番リラックスできた。
その夜は、遅くまで、楽しく過ごした。
朝食は、僕らが起きるのが遅かったから、いつもよりも遅くに食べた。
生活魔法の話をしたから、隠さなくていいやと、和食にした。
ご飯
おにぎり
味噌汁
豚汁
鮭の塩焼き
サワラの糠漬け焼き
納豆
生卵
焼き海苔
お浸し
酢の物
野菜の荷物
ソーセージのグリル
だし巻き卵(甘くない物)
桃
桃ジュース
皆が涙ぐみながら、食べてた。
朝食後に別行動。
買い物や散策、風呂、昼寝…。
昼頃戻った人と、宿でゴロゴロしてた人とで昼食をとった。
午後は皆にお土産を作った。
かつサンド、卵サンド、野菜とハムのミックスサンド。
バンダナsizeの布で包む。
この国で一般的な水筒に桃ジュースを詰めた。
夕食か夜食に食べて貰おう。
桃飴も作って瓶に詰めた。
熊谷の分は、彼女や福岡さんの分も一緒に、委員長に頼もう。
普通のトートバッグを作って、1人分づつ入れて、準備完了だ!
喜んでくれたらいいな~♪
夕方16時頃に、手配してた馬車が来た。
裏の馬車止めスペースに回ってもらう。
上妻が中を点検してから、2台の馬車に分乗して、
「来週も、来るから!」
「弁当、ありがとう♪」
「気をつけてろよっ!?」
等々、騒がしく帰って行った。
◇◆◆◆◆◆◆◆◆◇
上妻が、結界をしたことを知っている為、馬車の中では、くだけた会話も多かった。
「太郎が可愛いかった♪」
「あんなリラックスした表情、初めて見た!」
「手を繋いだんだけど、小さくて柔らかかった…」
「押し上げる時にお尻を触ったんだが、柔かくて弾力があった。」
「体かっこいいって…お腹触らせてくれって、代わりに触らせて貰えた…」
「本当に太郎から、来るんだな~」
「俺も、一緒に風呂入った!
皆が自然体なら、太郎も自然体なんだな!?」
「色白で、キューピッドみたいで、可愛かったな…」
「ら、来週は、別の奴だからなっ!?」
「順番だぜ!?」
だの盛り上がってたり。
「太郎、やっぱチートだったか…」
「…他に、漏れないようにしないとな!」
「あぁ、女子も、姫さんも、あいつらも、ヤバい!」
「ここ以外で、太郎の話するなよ!漏れたらヤバい!」
「太郎の安全の為だ。盗聴リスクもある。一平とも、話すなよ!」
と、心配したり。
「手作り愛妻弁当だ♪」
「違う!!お前のに、愛情は入ってない!」
だの、太郎の話題で満載だった。
《上妻&小出講師に、学んだ事は本当だった!無防備な太郎は、最高だ!!》
全員一致した思いだった。
《訓練頑張って、俺もかっこいいって、体触っもらうんだ!
そして、代わりに触らせて貰うんだ!!》
強い決意だった。




