16☆僕の宿
早起きして廊下の角で、皆を待ち伏せた。
起きて来た男子から順番に、こいこいと手招きする。
収納がバレないように、背中で隠しながら取り出す。
意外に難しい。
御守りを渡して説明すると、直ぐ身に付けてくれた。
皆、肌身離さず身に付けてくれるって。
良かった~
身に付けたのを確認したら、次だ。
同様に、後ろから下着の山を出す。
渡して、いつも着て欲しいと、説明した。
下着を剥き出しで渡したからかな、皆の顔が赤い。
まあ、着てくれるみたいだし、安心だ。
いそいそと下着と共に消えて行く。
うん、女子に見られる前に、仕舞っときたいよな!?
一変して、朝食してる皆の顔が暗い。
「本当に大丈夫!?」
って、皆に言われた。
「大丈夫、大丈夫!
良かったら休みに、皆で見に来てよ~」
って、何度も安心させる。
《皆、優しいなぁ~》
皆を見送り食堂で待ってたら、ヒッピが
「おはよーございます!!」
って、元気に来た。
十分寝て、元気そうだ。
ヒッピから、お金を貰った。
銀貨200枚(金貨2枚分)。
日本円にしたら、200万円相当の大金だ!
僕が今までに持った事のある大金の、軽く100倍…
全財産を無くさないように、ポケット経由で収納に保管!
よし、抜かり無い!
ザックさんの待つ、馬車に向かった。
幌馬車は、大型で軽量、スピードの出せるタイプだ。
本来は2頭引きだが、荷物も少なく王都内のみ、この軍馬は力があるから、今回は大丈夫との事。
ザックさんの操るのは、僕の幌馬車だ。
※正確には、太郎、上妻、小出の3人の馬車※
荷馬車より、大きく、立派な僕の幌馬車~♪
上と左右が幌布でおおわれてて、前後の幌布は開閉できる。
中古らしいけど、立派だ!
満足だ!
軍馬も、荷馬車を引いてた馬より、2周り位大きい!
この子も、家の子♪
※これは、正解。太郎の馬※
名前、何にしようか…
<松風>とか、<黒王>とか、そんな名前が浮かんだけど、茶色の馬だしな…
今ザックさんの横、操縦席に座って、説明を聞いてる。
馬の世話も、馬車の管理も、これから覚えていかなくちゃね!!
東橋から東門方面へ。
東地区の市場で、買い物とリサーチをする。
見なれた食材が、野菜や果物、穀物に多い。
もちろん、見たことも無いものもある。
値段は、銅貨1枚からある。
大きい物や高い物が、1個単位の販売。小さい物や安い物が、複数単位だ。
肉は生もあるが、加工されたのも多い。
冷蔵庫もないし、傷むからかな。
塩漬け、燻製、干したもの…
あ、ハムが1本、小銀貨2枚。2000円位かな。
贈答品みたいな立派な大きさと、価格だな。
10センチ位のソーセージは、1本銅貨1枚!
100円位。
どれも手作りで、美味しそうだ。
塩は100グラム位で銅貨5枚。500円位する。薄味に納得だな。
砂糖は100グラム、小銀貨5枚。5000円かぁ。甘味は、気楽に使えないな。
スパイスが見当たらない。
どこに、あるのか…!?
露店のに使われてたから、どこかには、あるだろう。
植物油750ccで小銀貨2枚。
オリーブやブドウの種を、絞ってるみたいだ。
2000円。
有ればラードとかのが、手頃かもな~。
醤油や、味噌は無い。
豆腐や、米も見当たら無い。
食べようと思ったら、チートしかないな!?
卵やミルクも、あまり無い。
少しあったが高いし、いつもある訳じゃないらしい。
チーズはあった!
大きくて丸い、固いやつだ。
10キロはありそうなチーズは、小金貨2枚、20万円。
全財産の1/10。味も分からず、即決では買えないな~。
ハムとソーセージを買って銀貨をくずす。
お釣りで受け取った、小銀貨と銅貨をじっとみる。
色と大きさで、違いがはっきり分かるから、間違える事は、無さそうだ。
ラードやガラについて聞いたら、頭を撫でられて、
「あるぞ、オマケだ!」
って、肉屋のおっちゃんがくれた。
八百屋で、野菜を見て買う。
じゃがいも、玉ねぎ、人参、キャベツ、ブロッコリー、トマト、キュウリ、アスパラガス。
とりあえず、見慣れた野菜の味見だ。
無駄遣いはしない。
銅貨20枚を握りしめ、果物も見たが、予算オーバーだ。
見てた果物をやっぱり止めて、選んでた野菜だけに…。
野菜だけ《下さい》と言うと
「偉いわね~」
と撫でられて、リンゴを1個貰った。
解せん!
何故、撫でる!?
それから、パン屋を見つけた。
食べてないパンが、食べてみたいな。
黒パン、白パン以外でないかなぁ~。バケットを見つけて、2本買う。
銅貨6枚。
高いけど、オリーブ油、塩も買った。
雑貨屋で、皿、スープやサラダ用の深皿、飲み物用にカップ、スプーン。
とりあえず、5個づつ。
木製で、素朴な感じがなかなか良い。
フォーク、フライパン、鍋、寸胴鍋も買った。
荷物は、ヒッピとザックさんも持ってくれたが、大量になったので、買い物を終了した。
馬車を預けた所に戻り、荷物を載せて出発した。
宿に着いた。
もう、ボロ宿じゃない!
なかなか立派な、僕の宿♪
営業前に名前を決めて、看板も取り付けなきゃ!
ヒッピに荷物を1階の厨房へ運んでもらい、ザックさんには馬の世話と、馬車の事を頼んだ。
僕は、その間にリフォームをするんだ。
先に降りる。
この2日間に、ちゃんと間取りを考えて、方眼紙に書いて来たのだよ!
抜かり無い!
2人が馬車にいるうちに、1階から開始だ~♪
鍵を開ける。
裏側から入って、右側に個室。
テーブルのサイズは2×4メートル、王さま席のある、8席。
ドア側に、コートかけも作る。
通路に出る。
その先にトイレ3つ、中に洗面所もつけた。
トイレ奥に収納を。
手前の通路側、店の中央付近に、2つ洗面所を作る。
よし、1/4終了。
左側は2階への階段のまま。
階段の先に厨房。
オープンキッチンで、ラウンド形、客席カウンターをつける。
ゆとりの6席。
階段とカウンターの間、反対のカウンターと壁の間に、厨房への通路を2箇所つくる。
階段横の壁に受け付け職員用のソファーを置く。
店内を見回せ、表玄関がよく見える。
食堂が忙しくない時は、宿の受付横で、寛いで過ごせそうだ。
隣に、レジ、受け付けカウンターと椅子。こっちは、壁に向いている。事務作業向きの場所だ。
厨房から奥に行き、階段裏側に、階段収納。
その奥からは地下収納への階段がそのままある。
厨房奥の右側にあったパントリーを仮眠室にした。
収納は充分あるし、スキルもある。劣化する部屋に大量に置く必要がないからね。
部屋の外にトイレ、部屋の中にシャワーブースをつける。
トイレや洗面所、コンロ、ランプは、魔導式魔道具!
魔石の中にある魔力がエネルギーで、スイッチを入れると魔法が発動する道具だ。
魔法スキルが無くても、触ると発動するんだ。
魔導式魔道具は、買うと高い!
魔石も、結構な値段だったりする。
でも、僕の生活魔法は、材料無しで出来る!
【魔力∞】もあるから、ランニングコストも無い!
下水の配管とかも関係ない、異世界不思議仕様!
ベッドは、幅2×長さ3メートルの異世界サイズ。
こっちの人は、230センチ位のムキムキ騎士とか、本当に大きい人もいるからな~
兵舎のベッドが、このサイズだったんだ。
厨房の中は、カウンター裏に、流し台を2箇所、真ん中にコンロ3つ。
流し台とコンロ間に、作業スペースが2箇所。
下を収納にした。
仮眠室裏には収納や、オーブン、フライヤーをL字形に配置。
よし、これで裏口側が済んだ。
半分終了だ!
今度は表通り側だ。
内開きのダブルドア、その両側、壁沿いにラウンジソファーを。
右側には2列。
1.5×3.5メートルのテーブルが2台。
横向きに、離して並べた。
それぞれに8人以上が、ゆったり座れる。
左側は、3列配置に。
まずは1列目、1.5×2.5メートルのテーブルを2台1列に並べる。
離して4・5人、繋げれば10人以上座れるようにした。
2列目は2×4.5メートルの大きいテーブル。
10人は座れる。
少し離して、間にパーティション。
3列目、1.5×3.5メートルのテーブルで8人以上。
半個室風だ。
最後に中央。
表通りドアから3メートル離して、高さ1メートルの飾り棚を置く。
1×2メートルのテーブルが3台。
2~3人席を、縦配置だ。
手前に2台、奥に1台と分け、ミニパーティションを間に置いた。
うん、計画通り!
どのテーブルも3メートルは離したから、椅子が後ろに1メートル位下がっても、通路が1メートルは確保できる!
1階は終了した。
いい時間だし、お昼にしよう。
ちょうど、ザックさんやヒッピも入って来た。
料理しようとして、包丁とか、まな板とか、いろいろ忘れてた事を思い出し、慌てそうになる。
ふっ、慌てないさ。
慌てかけてから、生活魔法がある事を思い出す。
寸胴鍋に水とガラを入れて、豚骨&鶏ガラスープをイメージして魔法を発動。
いい匂いだ~
別の鍋にスープ、トマトとキャベツを入れて煮込み、塩で味を整えた。
2人が、1階を見て回ってる間に、こっそり包丁、まな板、お玉、菜箸…
買いそびれた道具を魔法で作った。
トマト、キュウリ、ハムをスライスして、バケットにはさむ。
収納から冷えた桃を出して、皮をむき、カットした。
せっかくなので、食堂のテーブルで食べよう。
ヒッピと、ザックさんに声をかけた。
「ザックさん! ヒッピ! お昼作ったから、食べようよ~」
「あぁ、今、行く」
ザックさんに連れられて、ヒッピも来た。
「悪いな、俺達の分まで」
と、ザックさんに言われた。
「僕も食べるし、ついでですから」
トマトとキャベツのスープ
ハム野菜サンド
桃
ヒッピも、ザックさんも、よく食べる。
60センチ以上あったバケットサンドも、大鍋いっぱいあったスープも、10個の桃も完食だ!
2人は、満足と申し訳なさの合わさった複雑な表情をしてる。
僕は、気になってた重要事項を、確認する。
そう、ちゃんと、夜も一緒にいてくれるのかを!?
夜も2人は泊まっていってくれるとの事、一安心だ。
部屋割りをどうしようかと、相談した。
ザックさんが、1階の仮眠室で充分と。
護衛だから、1階がちょうどいいらしい。
それならヒッピが自分も1階でと言い出した。
2人が1階仮眠室なら、僕もだ!
結局、3人で仮眠室を使う事にした。
…2人が折れてくれた。
だってしょうがないよね!?
1人、屋根裏部屋は、怖いし…
実質的には4階、毎日の階段の登り降りも厳しいし…
僕も、譲れなかったんだ!
手前がザックさん、奥がヒッピと僕になった。
ザックさんも、ヒッピも、
「あれは、何だ!?」
と、生活魔法の事を聞いてきた。
1カ月、一緒に暮らすし、前より詳しく話しておく。
2人から、忠告されたのは《何も無い所から、作り出すのは、隠せ》だった。
知られれば、利用され、危ないと。
ザックさんが噛み砕いて、何度も言う
《金や銀も、作り出せるんだろう!? この危険性は分かるな?》
…、ようやく、分かった。
自分の利用価値を…。
《金の卵を産むガチョウ》が、自分に当てはまる事を、ようやく理解したんだ。
2人が真剣に言ってるのが分かる。
《人前では使わず、気をつける》と、約束した。
国がつけた国側の人間なのに、僕の立場で考えてくれる。
僕についた人が、ヒッピとザックさんだったのは、とてもラッキーだった。
午後からも、僕のリフォームは続いた。
ザックさんが、警護を気にしてたから、ますは強化だ!
桃の種結界は見えないから、分かりやすく木製の塀を、敷地にぐるり1周。
表玄関に繋がるドアをつける。
塀のドアと宿のドアは板で繋げたから、敷地には入れない。
二重扉になった、木製のトンネルだ。
裏側は開閉できる門を作った。馬車用だ。
人が出入り出来るドアもつけた。
よし、夜は締め切り出来る。
馬小屋も、強化だ。
元々の小屋は、上半分が開いたような、中も区切りの無い物だ。
一部は1頭づつ入れるように区切り、残りは複数頭入れるままにした。
また外側に全て板で覆われた小屋作り、小屋を2重にした。
馬の安全や、暑さ寒さ対策にもなるだろう。
馬車停めの一部に、3台分の車庫も作った。
勿論、オーナー用だ。
有料で貸したり、クラスの男子達の馬車を入れてもいい。
裏庭に風呂とシャワーブース、洗い場を作る。
風呂は、有料時間貸し。
シャワーブース、洗い場は無料解放の予定だ。
部屋割りで、2階は風呂、トイレ、洗面所、ミニキッチンもつけた特別室に。
3階は、室外にして、安い料金にする予定だ。
桶の水で体を拭いたり、冬の井戸で水浴びなど、僕の宿ではさせないぞ!
勿論、汚いままでの入場も断る!
それに、しばらく1階で生活するのに、風呂なしシャワー生活なんて、僕は嫌だ!
勢いに乗って、2階、3階、屋根裏とリフォームした。
頑張った!けど、木柵と門を作った事を、ザックさんに怒られた。
解せん!
ザックさんの負担軽減の為、頑張ったのに…




