1☆プロローグ
初めまして、三河みかんと申します。
素人の処女作です。お手柔らかにm(__)m
システム不慣れ&ガラケーからの入力で、読みにくかったらごめんなさい…
古代より桃は、魔を祓う神聖な食べ物であった。
また、不老長寿の食べ物、神の食べ物とも言われていた。
桃太郎しかり、桃源郷しかり…
◇◆◆◆◆◆◆◆◆◇
世界のTAYOTA自動車で有名な多良田市の市街地から、少し離れた佐奈木山地区。
3代続く豊田桃農園に男児が産まれた。
名付け親は、桃農園の創業者で、当時は存命の曾祖父・亥十だった。
命名【太郎】
[一番][優れもの]などの意味を持ち、長男に名付けるに相応しい、伝統的な名前。
昔話の[桃太郎]にも通じ、桃農園の長男に相応しい!!
曾祖父、渾身の名付けであった。
曾祖父は、本当はダイレクトに[桃太郎]と名付けたかったが…
《豊田桃農園・豊田桃太郎じゃあ、名前が被りすぎる!》
《昔話の偉人の名前を頂くなど、烏滸がましい!》
《余り大層な名前で、名前負けしたら可哀想!》
…だの、家族一同から反対されたのだった。
家族の力で[桃太郎]は避けられたが、曾祖父の力で[太郎]の名前は決定してしまった。
家長の力のが、やや優勢だった。
もう少し家族に力があれば、彼の学生生活はもうちょっと平和であっただろう…。
◇◆◆◆◆◆◆◆◆◇
「桃・太・郎~!
喉渇いたから、いつものジュース買って来てくんないかな~!?」
「あ、オレのもなっ!!」
体育の授業後。
クラスの手島祥と成田翔に声をかけられた。
《また、たかられた!》
内心、不快に感じつつも、買いにいく。
《お小遣い、少ないのに…》
太郎の小遣いは2000円と、高校3年生にしては、かなり少ない。
オタクである事を考えると更にだ。
だが彼は、この金額で遣り繰り出来ていた。
何故ならば彼の家族も、マンガ、小説、アニメをたしなむ。
3世代でのオタク家族だったから。
曾祖母は、さすがにたしなんでいない。
祖父母、両親、姉、弟、8人家族中、7人でたしなむ。
彼のオタク費は、家族の生活費から捻出されるのだった。
それでも小遣いから、何度も他人のジュース代等を負担させられるのは、嫌なものだった。
《もう、5月!後、10カ月だ!!》
自分に言い聞かせる。
断ったからと言って暴力を受けるたりはしない。
『なんでだよ~!?』
『今月、ピンチか?
なら、逆に俺がおごってやろか~!?』
頭がぐらつく程、ぐしゃぐしゃに乱される髪。
乱暴にぶつかってきたり、肩や腰に回される手。
脇腹や、尻をつついて来る。
痛いし、ウザイし、面倒なのだ。
断りたいが、断って絡まれるのは、もっと嫌…
卒業まで後10カ月…。
そうやって、自分を[騙し騙し]していた高校生活が、その日、一変した。
◇◆◆◆◆◆◆◆◆◇
6限目は現国の授業だった。
始まって暫くした頃、急に教室の床が光り、魔方陣らしき物が浮かび上がった。
「な、なんだこれ!」
「キャー!!」
「静かに!
皆、お、落ち着いて!!」
「ヤッター!!
異世界召喚キタコレ!!」
ざわつく教室の中、意識を失った。
◇◆◆◆◆◆◆◆◆◇
ざわめきで目を覚ます。
石造りの神殿のような場所。
中世フェスのコスプレ会場に相応しい人達…。
騎士、貴族、魔法使い、教会の神父達、ドレスにティアラでお姫様のような人…。
《何の集まりだろ!?》
彼らは、僕達を見つめていた。
《観察、されてる!?》
嫌な視線を意識しつつ、こちら側を見た。
国語教師の浅野美帆、クラスメイト。
僕を含めて、授業中に教室にいた39人が全員いる。
目が覚めたのが遅かったのか、すぐに全員が起き上がった。
「静かにしろ!!」
騎士の中でも、豪華な装備で偉そうな者が、大声を出す。
ざわついていたクラスメイトが静かになる。
《まずは話を聞かないと、状況も分からないし…》
お姫様っぽい人が話し出す。
「ようこそ、勇者さま方。
私はイメリア王国、第2王女、エリザベッタ・タレロ・イメリア。
突然の召喚に応じて下さり、ありがとうございます。
魔物や魔族の脅威により、我が国を含めた大陸中が被害にあっています。
我々だけでは対処出来ないため、古の勇者召喚の儀を行いました。
我らをお救い下さい。」
《っぽい人じゃなくて、本当の王女様か!?》
僕が、[コスプレ]って思った人達、どうやらガチなようだ!
「か、勝手な事を!」
「何言ってんだよ!!ふざけんなよ!!」
「帰してよ!!」
「戦えるわけないじゃん!!」
再び、ざわめきが起きる。
さっきより、大きな。
「無礼者!!不敬だぞ!!」
さっきの騎士が大声で一喝した。
一斉に騎士達が剣や槍を向ける。
魔術師が詠唱を唱え始める。
「構いません。攻撃を止めなさい!」
エリザベッタ王女の声で攻撃が解除されたが、警戒体制はそのままだ。
「皆さま、疲れて混乱している様子ですね…。
まずは部屋に案内させますので、今日のところはお休み下さい。
明日、説明を致します。」
と一方的に話し、エリザベッタ王女は、小声で騎士達に指示を与えると、部屋から出て行ってしまった。
《疲れさせ、混乱させたやつが何言ってるんだ》
武器を持ち簡単に攻撃しようとする者と残され、不満や不安を抱えつつも皆黙った。
王女の指示を受けた騎士が、
「ついて来い!」
と、大声を出す。
他の騎士が剣や槍を構える中、皆黙って歩いた。
騎士に連行されるように、部屋出る。
神殿の地下から、地上に上がる。
その後、屋外をしばらく歩く。
目の前に、兵の宿舎のような建物が見えた。
中に入って、男女別に4人づつ、勝手に先頭から部屋を割り振られる。
「次!」
「お前達は、ここだ」
最後に僕達だ。
一番後ろを歩いていた、僕達だけ3人で1部屋だ。
上手い事、手島や成田とは別室になれた。
ありがとうございましたm(__)m
見切り発車ですが、頑張りたいです。