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魔眼使いの今

その日に投稿するはずが、悩んで悩んでこんな短さ…泣ける…

廃墟。


回りは全てそれしかない。見渡せば見渡すほどの瓦礫の山と壊れた建物、ひび割れた道。


そんなものしかない場所で、俺は必死に逃げていた。


「し、死ぬ! マジ死ぬ!」


愛用の剣を背中に吊るし、必死でこの町から出るべく足を必死に動かしていた。


何故俺がいきなり逃げているかというと、それは…


「オレサマノジョクジヲカエセエエエエエエエエエエエエ!!!」


「俺じゃねえええええええええええ!!」


後ろから爆走してくるゴブリンキングから逃げているためである。


何故こんなふうになったか。


それはただ単に運が悪かっただけである。


ゴブリンキングの食事を手下のゴブリンが食って、その場に運悪く俺が通りかかってそのゴブリンと戦闘になり、戦って倒した時にコブリンキングが帰ってきて、自分の飯がないことを見て、そして手下が死体になっていてそして俺は血の付いた剣を持っていた。だからゴブリンキングは俺が食ったと判断。そのまま追いかけっこ開始というわけである。


ちなみに、このゴブリンキング。ゴブリンと名のついてるくせに人間に並ぶくらいデカイのだ。普通のゴブリンは120あるかないかなのに、このゴブリンキングは160とデカイ。おまけに知能も高く、非常に厄介。危険度で言えばランクC。普通の冒険者なら戦わず逃げる。それくらい危険。中堅冒険者が当たるレベルの相手である。


かく言う俺は、果てしなく弱い。ゴブリンくらいなら余裕をもって倒せるが正攻法じゃゴブリンキングを倒すなんて夢のまた夢。この町にいるキックラビットというモンスターを血みどろになってようやく倒せるくらいの強さしかない。


そんな人間がゴブリンキングなんて倒せるわけがない。だから逃げるのだ。


「今日を生きるため、そして借金を返すため!!」


だから俺は


「自由への逃走だああああああ!!」


全力で今までいた廃墟の町、通称廃墟の城下町の門を駆け抜けた。


俺、有瀬(あらせ)海斗(かいと)は少し前までどこにでもいるふつーの高校生だった。親友たちと一緒に帰っていたらいきなり勇者召喚とかでユスティア聖王国とかいう国に召喚されたのである。


なんでも魔族との戦いが起こり、劣勢になっているため人類側を助けるために召喚したという。まあそこで俺の親友が安請け合いしてしまい、それぞれ職の適合を調べたところ、俺は無職だった。


正直「は?」である。


呼ばれたのにまさかの無職である。他の奴らは重剣士とか賢者とか聖剣使いであるのに、俺は無職である。


そこから神官たちの態度はすごく悪くなった。まあ、国王様とかは罪の意識にさいなまれたのか帰還までの間、城に留まってくれていいと申し訳なさそうにいってくれたから俺はご厚意に甘え、城の書庫などに入りびたり俺の親友を…七瀬明を影から手助けするために情報を収集し続けたたりいろんな武器の鍛錬の鍛錬をした。


お蔭で書庫に入り浸っていた女の子と仲良くなったり見習い騎士の子と仲良くなったりこの世界について知ることができた。だがある時神官長に無理やり明と一緒に魔人封印強化の旅に同行させられお隣のアルトス大陸に行かされ、そしてまさかの封印されていた魔人が復活する現場に居合わせるなど本当に運がない。


護衛の人が次々やられていき、明も気絶したため後ろにいた兵士に明を回復させてるように頼み、俺は足止めするために残った。


それから二時間か三時間かわからないがずっと一人で足止めをし続けたのだが、そこでついに体が限界を迎え魔人に捕まったのだが、何をどう思ったのか魔人は俺を殺さず近くにあった川に俺を投げ捨ていや違うな、投げこみ生きていたらまた会おう!などとのたまったのである。


そこで俺の意識はなくなり、その時に誰かの声を聴いた気がした。


次に目を覚ました時には知らない天井が見えた。


そして隣には白衣を着た凄く不健康そうな顔をした女性が居た。


そして、その女性との初めての会話を、俺は永遠に忘れることはないだろう。












だって目が合っていきなり












「なんだ、死ななかったのか。折角生きのいい死体を手に入れるチャンスだったのだが」


「開口一番死を望まれるとかねえよ! てか悔しがるのそこ!?」


「そこ以外何があるというんだい。ああ全く最近の若者はなぜ死体の良さが分からないんだ」


「わかるのはあんただけだああああああああああああ!!」


である。ロマンもテンプレの欠片もない。


その女性、フィアナさんの話によると俺は館の前で半死半生の状態で倒れていたという。本来なら俺は見捨てていいはずなのに助けた理由、それは


「うちの管理人が君を助けた理由はね、君のその‘目’さ」



「かつて魔人が現れた時代、魔人を封印できる‘目’持った者たちが現れた。」



「かの者たちは‘目’の力を使い各地に魔人を封印した」



「今なおその‘目’、蛇目を持つものは少ないが存在している。」



「だが、君の‘目’はそうじゃない。あんな紛い物の目じゃなく、純粋な、それも混じり気のない‘目’…本物の‘魔眼’。その力は蛇目とは比べ物にならないほど強力だそうだ」



「だが、その目を得るにはその時一番強い思いと幾らかの記憶を対価を支払わなければないない」



「君は、記憶と思いを引き換えに何を望んだんだい?」


だそうだ。


だから詳しいことは覚えてないし明以外の奴の姿も名前も覚えてない。何か大事なことを忘れている気もするが、それがなんだったかも覚えていない。そんな俺にフィアナさんはこう言った。


「ああそうだ。君の治療費だが、薬代・包帯代・針代・糸代と部屋の契約料と部屋数日分の家賃含めて1000000G。きっちり耳を揃えて返すんだぞ」


「ちょっと待てえええええええええええ!?」


そして、今に至る。ご丁寧に俺の字で書かれた契約書見せられたんだから諦めるしかない。だから俺はこのアルトス大陸唯一の魔人たちが闊歩する危険地帯及び無法地帯、バリアス地方で賞金稼ぎをやっているのだ。


ああ、いい加減に現実逃避はやめよう。


え? なんでかって?


そりゃそうさ。だって、マウントポジションを取られて思いっきり槌を振りかぶられてるんだぜ?


潔く死ぬさ…。


そして槌が振り下ろされた。

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