二人で歩く道
彼の実家の近所の道。
傍の神社へ初詣……と、その後洗車に行くから駐車場までの散歩道。
子供達はお義姉さんを引っ張って、大騒ぎで公園に行っちゃったから珍しく夫婦二人きり。
以前は普通だったこんな時間も、今は逆に慣れなくて何となくくすぐったい。
けど本当は嬉しい、貴重な時間。
「寒い」って言い訳して、ぶっきらぼうに珍しく繋いでくれた手は、彼のジャンバーのポケットに突っ込まれた。
でもすぐに「歩きにくい」って、あっさり離されちゃった。
うん、そうなんだけどさ……そんなに恥ずかしい?
ゆっくりと二人で歩く風景は、彼には懐かしく、私には珍しい。
少し寂れた漁港の町は、何気なく積まれた道具も味があって心が弾む。
空には獲物を狙う強かな鳶が舞い、港には漁船が波で揺れている。
記憶と違う景色と想い出を、少しずつ語る彼の言葉が嬉しい。
私の知らない彼の時間が、ほんの少しでも埋まるような心地がする。
太陽を背にして歩けば、長く伸びる影が先を行く。
私はこっそり、でも嬉々としてその影にカメラを向けた。
不意に鳴った電子音に、彼は不思議そうな顔を向ける。
けど、「写真撮ったの」って私は曖昧に笑っておいた。
だって、たぶんまた恥ずかしがるから内緒にしとく。
被写体は仲の良い私達。実際の距離より近い二人の姿だもん。
もうその先は駐車場。すぐ後ろは公園で、走り回ってる子供達の姿が見えた。
二人だけの時間は、もうそろそろ終わりかな。
んー? 洗車に行くからもう少し二人っきりでいられるかな?
「洗車だから君達暇だよ」って、ついて行くって言う子達を二人で拒否。
「帰っておやつ食べようか?」お義姉さんありがとう、ナイスアシストです。
うんうん、おやつ食べてて下さい。
じゃぁ、もう少し二人で楽しんできます。
結婚してもう少しで9年。付き合いだしてからは13年くらい?
ずっとこれからも、何年経ってもこうしていられるように。
ずっとこれからも、好きだって想われるように。
さぁ、頑張れ私。捨てられないようにしないとね。
だから、大好きなままでいさせてくれる?
ずっとこれからも、『大好きなあなた』でいて下さい。
変則的な「季詞」です。
そして、日記です(笑)