新しい星
「どうしましょう」
「どうしようか」
僕たちは別天津神の命により生命体の生きていける星を創ることになった。
様々な神に会い、仕事について分かったことで天沼矛を使って混沌とした場所に星を作った。
これで1つ目の仕事を終えたと思っていると後ろからものすごい力で落とされた。
隣で困惑していた妹の手をつかみ衝撃に備えていると、星の上に落ちた。
そこは天沼矛を持ち上げた際に滴り落ちた場所であり、他の大地に比べ狭い場所でもあった。
「他の大地に降りるつもりでしたが、ここは…」
「国を創れそうにないな。」
2つ目の仕事は生命体が国を作るように手伝うことだ。
しかし、降りた場所は狭すぎる。僕たちだけなら問題ないが、他の生命体が生きるには窮屈かもしれない。
このでかい水たまりを飛んでいくか話し合っていると上から声をかけられる。
「よ~。無事か?無事そうだな。」
「おもだる…」
「その呼び方は…オオトノ奴らか。まあいい。好きに呼べと言ったからな。」
淤母陀琉神はこちらへの挨拶もほどほどに周りを見渡す。
ふんふん言って水に触れたり土を掬ったりしていたが、こちらに顔を向ける。
「どおせ生命体が生まれるまで時間がかかる。ましてや国を作れるほどの知能ともなるとね。しばらくは遊ばせてくれよ。」
「…まずは突き落としたことの説明をするべきでは。」
「なんとなく。下手にいじられると自然らしさってのが減っちまうだろ?」
そういうとおもだるは水の中へ入っていく。
少なくとも水の中からいくつかの生体反応を感じたため問題はなさそうだ。
…現時点では。
「どうします?」
「どうもできない。おもだるの言っていることは間違いではないからな。」
間違っていない。今の生命体は知能がない。生きることしか考えておらず協力しようとは考えていなかった。
つまりは生命体が発達するまで待たねばならない。
しかし、
「このまま生活してもいいが、どれほどかかるかわからない。高天原とつながる場所を作ろうか。」
「それなら、私、建物を作りたいです!」
「建物…あまり大きくは作れないが…」
「構いません!私たちの家を作っておけば国の中心も考えやすいでしょう?」
それなら広い大地でやるべきでは。
そう考えていると新しい生命体と同じ場所では互いに意識してしまうとイザナミが強く意見を出してきたことでこの狭い島で作ることになった。
「この島、何て名前にしましょう。」
「名前…」
「神の名前は役職で定められることが多いと言っていましたが、島はどうなんでしょう。」
「…なあ、イザナミ。」
「はい!なんでしょう?」
先ほどから、いや、ずっと前から気になっていたことを口にする。
「なぜ、僕に敬語を使うんだ。」
「…っえ」
「いや、兄妹だろう。僕たちは。オオトノ2柱や別天津神の方たちは互いには緩い話し方だったから。」
「ええっと、その…」
イザナミは顔を赤らめながらうつむいていく。
そんなに嫌なのか、それともこの短時間で僕に尊敬の念を抱いているのか
……それだけは無いな。そう思う理由がなさすぎる。
「イザナギと話していると緊張してしまって。そのせいで堅苦しく…。」
「なるほど。これからも共にいるんだ。なれるために少し話さないか。」
「えぇっと。はい。いぇ。うん!」
少しづつ話していき建物の素材となる物質を作り続ける。
とても短く感じる時間だった。
その間もいろんなことが周りでは起きていた。
海の中から大きな生物が飛び出したと思いきや首の長い生物に食われていたり、
大陸の様子を確認すると様々な生物が異なる環境や形で生活していたり、
平原でゆったりと昼寝をしている生物や夜でも木の上で警戒している生物がいたりと。
ー長い時間だった。その生物のうち何割が今も生きているのだろう。
いるよ。いると信じたい。
もちろんあの時の個体ではないだろう。
その子供か、さらに子供か。
あんなにいた生命体は建物が完成するころにはいなくなってしまった。
生命体の儚さをよく知った理由だ。理解した時期だ。




