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はじまり
はじめ、宇宙には何もなかった。
…いや、混ざり続けた結果、区別される物質がなかった。
空気には窒素や酸素が含まれている。窒素と酸素も原子により構成されている。
しかし、このときには全ての原子が混ざり、今のように明確な物質がなかったのだ。
この時代を混沌とした時代と呼ぶ。
混沌とした時代の中、とある神格が生まれた。
ーそれは形作られているが、不明瞭
ーそれは認識できるが、説明不可能
ーそれは生命体であるが、不死
ーそれは原初の生命であり、自他の区別をした
一つの神格が生まれた後、星が形成され、宇宙は整理された。
しかし、これから語るは宇宙の誕生ではない。
読者の興味の有無はどうでもいい。
1柱寂しく生きていた存在は気にしなくていい。
そんなものは学者に任せればいい。
この話は…
はじめての夫婦、親、そして生死を定めた存在…
ーー伊邪那岐・伊邪那美の話であるーー