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北斗の拳考  作者: 宇占海
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拳王軍考

 ゴッドランドでの戦いの後、ジャッカルや牙一族との戦いを経て、いよいよ北斗の拳の作中最大の悪役のひとつと言える拳王軍が登場する。


 拳王配下としてジャギがまず登場し、アミバ、ウイグル獄長と続くわけだが、彼らはいずれも、拳王に大人しく服従する従者には見えない。


 アミバは「おれは天才だ!!」と豪語していたし、ウイグル獄長は「なにびとも、このカサンドラすなわち、わたしの伝説をやぶることは不可能!!」と自信たっぷりに言っていた。


 拳王の配下となり、拳王に頭を下げて言いなりになっているような男達が、こんな大言を吐けるものだろうか?


 ジャギにしても、拳王に命令されてケンシロウと戦ったのではない。


 ケンシロウに対する私怨から、自らの意思でケンシロウに挑戦したのだ。(それは大変な逆恨みなのだが。)


 彼らは拳王配下であるが決して、拳王の言いなりになって動くだけのロボットなどではない。

 そのような卑屈さを全く感じさせないばかりか、

逆に、自立して自分の足で歩く英雄といった風格すら漂わせている。

(もっとも、風格があっても悪党であるには変わりない。だから結局は皆、英雄らしくない、ぶざまな最期を遂げるのだが。)


 これは何を意味するのか。


 考えてみれば、ジャギたちは各々自分の軍団、自分の根拠地を持っている。

 自分の根拠地で自分の軍団を指揮しているのであって、普段から拳王の側にいて頭を下げているわけではない。

 だから拳王配下というより、自分の軍団の大将という意識が強いのかもしれない。

 というより、一応、拳王を盟主に立てているだけで、実際には自分たちは自主独立だ、そういう気分でいるのではないか。


 第一、拳王軍なるものは、核戦争前には影も形も存在しなかった。

 そこへ拳王軍の創設者のラオウが急ごしらえで組織を作り、自らを拳王と名乗ったのだから、その実態は雑多な集団の寄せ集めで、ラオウに対する忠誠心が薄いというのは、むしろ当然だろう。


 ましてラオウという人は、

組織を動かす手腕とか、

人を引き付ける人望とか、

そういうものに長けているわけではない。


 もっぱら己一個の武勇だけを頼りに道を切り開いてきたに違いないわけで、その結果として、ラオウについてくる人々が現れたというのが拳王軍の始まりだろうから、ラオウの指導力は自ずと限界があるのだろう。


 かくて、拳王ことラオウは一見、強大な権力を握っているように見えるが、実はその指導力はそれほどでもないということが推測されるのである。

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